「米ドル定期預金 特別金利キャンペーン 年8.00%(税引後、年6.374%)」
5月2日付けの毎日新聞朝刊に掲載された大和証券(大和ネクスト銀行)の広告だ。キャンペーン期間は2022年7月29日まで。預入金額は1万米ドル(約130万円)からとの条件がつくが、現在の日本の1カ月定期預金の平均年利が0.003%ということを考えれば、破格の金利といえる。
円安傾向が続くなか、米ドル定期預金は有効な資産運用といえるのか。経済評論家の杉村富生氏に聞いてみた。
「いいんじゃないですか。基本的に、いまは資産を円で持つことが最大のリスクです。これから円安が続きますし、個人のキャピタルフライト=資本逃避が始まります。
いま日本にある2000兆円の個人金融資産のうち、現預金が動き始め、壮大な円安トレンドが起こってきます。だから円での現預金をドルに変えるか、日本の株式に投資するかの二者択一だと思うんです。
株式はリスクが大きいと考える人は、ドルに変えればいい。これからはドルがいちばん強いと思いますから。もうそういう選択をしなくてはいけない時代になっています」
いまの円安傾向は、日米の金利差だけで生まれているわけではない、と杉村氏は言う。
「日本人は気がついたと思うんです。日本で個人金融資産が1000兆円の大台に乗せたのが1992年。それを現在の2000兆円に乗せるのに30年かかっています。この間、アメリカでは個人金融資産が7倍になっている。
日本は個人金融資産の54%が現預金。アメリカは51%が投信と株式。その差が極端に出ている。
今年の円安は日米の金利差だと言われていますが、それだけじゃない。壮大な金融資産の移動トレンドが発生している。機関投資家や法人はドル資産を増やそうとしますが、海外で稼いだお金は海外に置いたまま、日本には持ってこない。
日本は貿易赤字は5兆円。経常収支は黒字でも、結局、その黒字は日本には持ってこない。そのうえ、さらに個人資産家もドルに流れ込んでいるわけです」
このキャンペーンでは、満期以降の金利は、大和ネクスト銀行所定の預金金利が適用される。広告によれば、現在の通常金利は、1カ月定期で年0.50%(税引後・年0.398%)だ。
「0.5%でもいいと思いますよ。アメリカのインフレ率は現在8.5%ですけど、いまがインフレのピーク。米FRBの理事も『ピークアウトした』と言っている。来年になったら3%くらいまで落ちると思います。0.5でも十分だと思います」
手数料、元本割れのリスクなど考慮すべき点はあるが、円安時代の資産防衛術として「米ドル定期預金」を選択肢の一つに考えるのはありかもしれない。
※本記事は投資を推奨するものではありません。あくまで自己責任でお願いします。
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