1月27日未明、沖縄市富里の路上で、バイクを運転中だった男子高校生が、巡回中だった沖縄署の男性巡査に警棒で殴られ、高校生が右目を失明した事件が発生した。
それから9カ月、沖縄県警は男性巡査を「故意犯」と判断、特別公務員暴行陵虐致傷の疑いで書類送検する方針を固めた。県警は起訴を求める「厳重処分」の意見をつける。
さらに沖縄県警は、警務部長名で謝罪のコメントを発表。一般市民に重傷を負わせたことについて、「被害者やご家族をはじめ県民の皆様に、深くお詫び申し上げます」「再発防止と県民の皆様の信頼回復に努めてまいります」とした。
事件発生直後は、沖縄署前に少年らが多数集まり、署に対し投石をおこなうなど、「沖縄署暴動」として注目を浴びた。
当初、男性巡査は「停止を求めたが、進行してきたので手を伸ばして止めようとして接触した」と説明。一方、被害高校生は「隠れていて突然飛び出してきて、警棒を水平打ちして殴打された」と主張しており、食い違いを見せていた。
沖縄署の署長、副署長らは11月1日、高校生やその家族と面会、「警棒の使用は不適切だった」と謝罪。警察と面会した高校生の母親に話を聞くと、苦しい胸の内をこう明かした。
「やっとここまできたかという思いです。書類送検されて裁判はこれからです。警察は謝罪に来ましたが、いまだに『制止した』と言っていましたから、裁判でもそう主張するかもしれませんね。
息子は前向きに生きています。『早く解決させて前に進みたい』と言っていますが、これから裁判だというと、『これからか……もう関わりたくない』と言っていました」
また被害にあった高校生の親族はこう話す。
「元気に高校に通っていますよ。もともと明るい子で、これまでどおり登校しています。もっとも、この事件が頭から離れることはないでしょう。
当初はサングラスをかけたり、眼帯をしていましたが、いまは何もせず生活はできています。ただ本人は高校3年生で、見た目も気になるようで、たまにサングラスをかけています。
『見えないものはしょうがない。早く全部終わらせたい』と言って頑張っていますよ。警察としては沖縄署に対する投石事件は許せないことでしょうが、私たちとしてはあの投石事件があって、全国区のニュースに流れたことで、今回の結果につながったと思っています。今後は刑事裁判の結果を見て、民事でも裁判を起こすことになると思います。まだ長いです」
ちなみに書類送検された男性巡査は、高校生に対し『けがを負わせたのは事実なので謝罪したい』と言っているという。事件後は沖縄署で内勤になり、警察官を続けている。
「沖縄署は、『自分たちも捜査対象になっているので、詳しくは答えられない』としながらも、『補償はしっかりしていく』と言っていました。男性巡査は裁判後に依願退職するのではないでしょうか」(前出・高校生の親族)
事件が決着するのはまだ先になりそうだ。右目を失明した高校生が、「早く解決させて前に進める日」が1日でも早く来るといいのだが……。
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