5月10日、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)新大統領(61)の就任式が、ソウルの国会議事堂前でおこなわれた。尹氏の船出とともに熱視線を浴びたのが、金建希(キム・ゴンヒ)夫人(49)だ。韓国メディアは新ファーストレディーが着用した真っ白なドレスを速報した。
朝鮮半島問題に詳しい、龍谷大学の李相哲社会学部教授がこう話す。
「韓国国内では、彼女の一挙手一投足に注目が集まっています。大統領就任式では、尹大統領の3歩後ろに下がってうやうやしく歩いていました。
韓国の世論調査では、66.4%が『静かに内助に集中するべき』という意見。民主化されているとはいえ、まだまだ女性がでしゃばるのはよくないと考える国ですから」
2012年、検察官だった尹氏と結婚。芸術分野の展示企画を手がける会社の代表を務め、画家としての顔も持つ。東京・銀座で個展を開催するなど日本にも縁がある。
「バリバリのキャリアウーマンなんです。日本で美術品の展示会をやった際は、建築家の安藤忠雄さんと1時間ほど対談しています。建築から世界的な美術品まで造詣が深い。美人で背が高く、知性的で博士号も持っている。まあ、嫉妬もされるわけです」(李教授)
大統領選ではスキャンダルでも注目を集めた。2007年、大学の客員教授に応募した際、志望書に虚偽の経歴を書いたり、受賞歴を誇張した疑いが持たれ、2021年末に謝罪会見を開いている。
このとき、尹氏との出会いや子供を流産した経験まで明かし、「私が愛し尊敬する夫を前に、私の過ちが恥ずかしい」と語った姿が評価され、疑惑を払拭することにつながった。
「韓国は競争社会のため、有力者や家族の経歴に世論が厳しいんです。ただ、記者会見で『よく見せようと膨らませ、間違って書いたものもある』と率直に認めたことで、国民は『法に触れるような不実記載ではなく、大した問題ではない』と判断したのです」(同)
2022年1月には、一部メディア記者と通話している内容が7時間ぶんもリークされた。窮地に追い込まれたが、そのときのサバサバした物言いが好感を呼び、さらに人気が上昇することに。
「彼女がバーや水商売で働いていたのではないかと記者が聞いても、『私は騒がしいところは嫌いなの。クラシックを聞いたり、知的な会話をするのが好きなの』と答えています。録音テープが暴露されたことで、逆に疑いを晴らしてくれた。
文在寅政権は、大統領候補の尹氏をなんとか追い落とすため、捜査チームを作って徹底的に調べさせたんです。
金建希夫人には12年前の株価操作疑惑も出たけれど、結局、おとがめなし。逆に、疑惑を晴らしたことで、人気がうなぎのぼりになったのです。
『ゴンサラン(愛)』という彼女のファンサイトの会員数も、今年初めは3万人ほどだったのが、いまは9万人近くになっています」(同)
文在寅前大統領の金正淑夫人が、さまざまな疑惑に見舞われたことも、結果としていい影響を与えたという。
「金正淑夫人は、ラオスでは大統領の前を歩いて手を振ったり、フランスでは、4000万円といわれるシャネルのドレスを着たり。対して、金建希夫人は、3000円のものでもよく似合う。彼女が履いていた3500円の白いサンダルがすぐに売れ切れ、『完売の女』などと呼ばれます。
金正淑夫人がメディアに叩かれたこともあり、金建希夫人は、展示企画を手がける会社を休眠状態にして、内助に徹するようです。
表に出ないのはちょっと残念ですが、彼女は英語も話せるし、ファーストレディーとして各国を訪問するときは、大統領を輝かせる役割を果たせるのでは。
5月20日にバイデン大統領の訪韓が予定されていますから、まずはそこに注目です」
日本でも目が離せない存在となりそうだ。
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