「まさか岐阜で “ホンモノ” に会えるなんて感動しました!」
こう歓喜の声を上げるのは、岐阜市内在住の60代・主婦だ。
11月5日・6日に岐阜市で開催された「ぎふ信長まつり」。コロナ禍の影響もあり3年ぶりの開催となったが、メインイベント「信長公騎馬武者行列」で織田信長役を木村拓哉が演じることが発表されて以降、大きな注目が集まっていた。前出の主婦が言う “ホンモノ” とはもちろんキムタクのことだ。
木村が現れる約30分前、記者が祭りの舞台となる岐阜駅前を訪れると、すでにあふれんばかりの人混みである。
木村が登場したのは、6日の午後1時過ぎ。地元高校の吹奏楽部による演奏とともに、信長姿のキムタクが馬に乗って現れると、あちこちから観客の黄色い声が響く。その後、約1キロを1時間かけてパレード。同市出身の俳優、伊藤英明も参加した。
事前に抽選された武者行列の無料観覧チケットには、1万5000人の定員に対し、約96万6000人と岐阜市の人口(約40万人)の2倍以上の応募があった。無料観覧エリアに設置された柵のそばには、抽選に外れた人が木村を一目見ようと集まっていた。
毎日新聞によると、人ごみで転倒したり、気分が悪くなったりするトラブルも。6日午後3時までに救急車5台が出動し、うち2人が病院に搬送されたという。いずれも重篤な症状ではないとのこと。
本誌記者は、望遠カメラを持った30代・会社員男性に話を聞いた。
「残念ながらチケットは外れてしまったんですが……どうしても信長姿を見たくて来ました。柵の外からでしたが、伊藤英明さんとのツーショットも撮れて大満足です」
懸念されていたのが、チケットの転売だ。主催者側は、当選者に対し、本人確認を義務づけ、転売は自粛するように呼びかけていた。 しかし、思わぬ落とし穴があったようだ――。会場に居合わせたパート・飯田美南さん(61・仮名)がこう話す。
「1人の代表に対して、3人まで同行できるんですが、同行者には本人確認がないので “誰でも” 行けるんです。私の場合は、2人で行く予定だったのですが、もう1人が行けなくなってしまって、急遽、昨晩にオークションサイトで『キムタク同行者募集』と呼びかけてみたんです。
2時間経って携帯を見たらビックリしましたよ。もともと無料のものが4万円以上になっていましたからね(苦笑)。
しかし、さらに転売されたり、冷やかしだと困るので、メッセージをやりとりして本当に木村さんのファンだと確信した人を同行者に決めました」
オークションサイトで “敗者復活” を遂げた無職・田中陽子さん(58・仮名)は、目を潤ませながらこう語る。
「愛知県から来たんですが、チケットが外れてしまったので、ダメ元でオークションサイトを見たんです。そしたら『同行者募集』を見つけて。すぐに飯田さんに連絡し、1万円で落札させてもらえました。もう本当に飯田さんが神様に見えましたよ。
30年間キムタクのファンですが、SMAPが解散してから生でお目にかかれることなんてなくなったでしょ。キムタクを見られて感無量です」
報道によると、“キムタク効果” で来場者は約62万人にのぼったという。はたして、経済効果はどれほどなのか――。
(写真・馬詰雅浩)
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