国税庁は、11月24日、今年6月までの1年間に実施した所得税などの調査結果を公表。高所得者や不動産の大口所有者など、いわゆる富裕層の所得の申告漏れが、前年比で72.3%も増加し、過去最高の839億円にもなったことがわかった。
一方で、最も目を引いたのが、マッチングアプリを利用した「ギャラ飲み」における申告漏れだ。4000万円の所得を申告しなかった女性に対して、加算税を含む1100万円の追徴課税があったという。
「所得が4000万円なら税率は45%で1800万円。これに1100万円が加わったということは、追徴額から考えて無申告だった可能性が高い。じつは昨年、ギャラ飲みのマッチングサイトの大手運営会社に税務調査が入っており、税務署が問題視していることがわかります。
当時、その運営会社は、女性への報酬に消費税を加算していなかったことを指摘されました。運営会社は会員女性が獲得したポイントを清算して現金化するシステムを取っていたため、一般的な労務報酬とは違うと反論したようですが、税務署は報酬認定したようです」(週刊誌記者)
もう少し詳しく説明しよう。
ギャラ飲みの多くは、マッチングアプリを介して知り合った人と飲食をともにすることを指す。多くの場合、男性会員が女性会員を選ぶことでマッチングが成立。女性は、男性たちに “お呼ばれ” するわけだ。
女性会員は、運営会社が決めた「ランク」や「派遣実態」で、1時間あたりの報酬として獲得できるポイント数が決められており、男性会員はクレジットカード等で運営会社にポイント代金を支払う。男性会員は1ポイントを1.2円で買い、女性会員はほぼ等価で清算ができる仕組みだ。
「これまでギャラ飲みで得た現金を所得申告していたほうが少数派なので、確定申告が終わった3月末あたりから、女性会員の自宅に税務署から所得税に関する『お尋ね』の手紙が続々と届いたようです」(同)
今回のように、1年で4000万円もの報酬が得られるとなると、1カ月のうち25日稼働したとしても、1日あたり13万円以上の報酬があった計算になる。
だが、平均的なギャラ飲みの場合、時間は2時間程度。この金額は、“時間報酬” だけで達成できる金額ではない。じつは、ギャラ飲みでは、時間報酬のほかにもポイントが獲得できるという。
某大手ギャラ飲みアプリで上位ランカー(一定期間の獲得ポイントが高かった女性会員)だった都内の総合職女性のAさんが、本誌にこう明かす。
「もともと、ギャラ飲みの報酬には、“交通費” 名目の、まったく別口のインセンティブがあります。5000ポイントから、運営会社によっては30万ポイントくらいまで設定されています。
清算すればほぼ等価の報酬ですから、30万ポイントなんて、常識的にもただ楽しかったからいただける金額じゃありません。すべてがそうとは言いませんが、肉体関係も含めた、ほかのサービスの対価ですよ」
ギャラ飲み女子たちは、時間報酬のほかにも、そういったインセンティブで収入を得ているという。
税務署がギャラ飲みに目をつけて以降、女性たちも “悲鳴” をあげている。年末調整で給与外所得があることが勤務先にバレたり、扶養家族になっていた女子学生の報酬が世帯所得に加算されたことで、住民税や健康保険が前年比で倍近くまで跳ね上がるトラブルもあったという。
「私の場合、リモート勤務が実質2年ありましたから、ほぼ毎日、ギャラ飲みをしていました。年収に匹敵するような副収入が会社にバレてしまい、けっこう焦りました。親戚の遺産分けがあったと誤魔化しましたけど、もうこりごり。通常勤務に戻ったので、もうギャラ飲みはしません」
「納税」は国民の義務。きちんと守ってほしいものだ。
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