11月26日のジャパンCでGI・6連勝を達成したイクイノックス(牡4)の引退が明らかになった。
同馬の馬主であるシルクレーシングの米本昌史代表は会見で、「レース後のチェックで疲れが見えた。中3週で有馬記念に万全の状態での出走は難しく、出走を見送った。検討した結果、種牡馬入りするのがベストだと判断した」と引退の理由を語っている。
ジャパンCでも圧巻のパフォーマンスを見せたイクイノックスの“電撃引退”にはSNSでさまざまな声が上がった。
《あの震えるような強く衝撃的な走りをもっと見たかったし、早すぎる引退は本当に残念!》
《もっと走ってどこまで高みに行けるか見たかったのに…》
そう惜しむ声もあるいっぽうで、“納得”の意思を示す意見も。
《有馬走って欲しかったけど…この方が良いのかもしれんな》
《後世に残したいからその決断は正しいよ》
競馬ライターは、今回の引退についてこう解説する。
「イクイノックスは、ジャパンCの前から、これが引退レースになるともっぱらの噂でした。ジャパンCの優勝賞金は5億円ですが、ここに今年のドバイシーマクラシックも勝っているので、ボーナス約3億円が上積みされます。これでイクイノックスは獲得賞金約22億円と合わせ、約25億円稼いだことになります。さらに種牡馬入りすることで、会員にはその売却代金も支払われます。『もう十分に稼いだ』というのが、引退の大きな理由のひとつです。
有馬記念は1着賞金5億円。イクイノックスの場合、天皇賞・秋とジャパンCと合わせ秋3冠のボーナスもあるので、もし勝てば7億円稼ぐことになります。しかし、人気種牡馬となることが確実な同馬に、真冬のレースをさせるというリスクを回避したという意味合いもあります」
有馬記念は2022年すでに勝っているため、今回再び勝利したところで、種牡馬としての価値は上がらないという事情もあるようだ。
「4歳秋での引退、種牡馬入りは特別早いわけではありません。ディープインパクトは4歳の有馬記念、ディープ産駒の三冠馬コントレイルも4歳秋のジャパンCを最後に引退しています。確実に人気種牡馬になると見込まれた馬であれば、レースによって故障するリスクを回避するのは当然のことです。
加えて、同馬を所有するシルクレーシングは、ノーザンファームという、日本最大の競走馬生産・馬主グループに属しています。そのなかで、イクイノックスばかりが稼ぎまくるのはどうなのか、有馬記念くらいはほかの馬に勝たせてやったらどうか、という“忖度”的な判断があったとも考えられます。
これら、ビジネス的な観点を考え合わせれば、このタイミングでの引退は当然だろうと思われます」(前出・競馬ライター)
競馬はレジャーやスポーツであると同時に、ビッグビジネスでもある。イクイノックスが無事に種牡馬となれば、産駒のデビューは2027年の夏になる。
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