3月7日、松本剛明総務相は、放送法の政治的公平性の解釈をめぐり、第2次安倍政権内でのやりとりを記した文書について「すべて総務省の行政文書であることが確認できた」と認めた。一方で、記載内容の正確性が確認できていない文書が一部にあるとも指摘した。
A4で約80枚にわたる文書は、立憲民主党の小西洋之参院議員が、総務省職員から提供されたとして3月2日に公表。
従来は、放送法上の政治的公平性について、「放送事業者の番組全体を見て判断する」としてきた政府解釈に、「一つ一つの番組を見て、全体を判断する」との補充的解釈が加わるまでの経緯が記されている。
文書には、礒崎陽輔首相補佐官(当時)が『サンデーモーニング』(TBS系)を政権に批判的だとして解釈変更を主張したことや、安倍晋三首相(同)の「現在の番組にはおかしいものがあり、ただすべきだ」などの発言が記載されていた。
当時総務相だった高市早苗経済安全保障担当相は、3月3日の参院予算委員会でこの文書を「悪意を持って捏造されたものだ」と断言。小西参院議員から「もし捏造でなければ議員辞職するのか」と迫られると「けっこうですよ」と応じ、自身に関する記述が事実なら議員辞職する意向を示していた。
また、総務省がなぜ高市氏に悪意を持つのか問われると、「受信料引き下げなどでNHKに対して厳しい姿勢をとっていた。私の態度が気にくわなかったのだろう」とも語っている。
松本総務相が、文書を「すべて総務省の行政文書」と認めたことを受け、小西氏は同日、自身のTwitterに見解を連投した。
《行政文書を「ねつ造」と国会で批判した高市大臣は、》《当時の解釈の改変の事実関係の説明責任を果たした上で、速やかに大臣と議員を辞職すべきだ》
ジャーナリストの有田芳生氏は同日、自身のTwitterに文書の写真を貼り付けたうえでこう書きこんだ。
《知人から総務省の一連の文書が届きました。今日は高市早苗大臣の誕生日だそうです。総務省からのプレゼント》
この日は高市氏の62歳の誕生日。だが、SNSでは祝辞ではなく、高市氏に議員辞職を求める厳しい声が多く上がった。
《高市早苗氏、議員辞職しなければ嘘つきってことで》
《ここで辞職しないなら、貴女これから何一つ成せないよ 高市さん、お辞めなさい》
《その行政文書が作られた時の総務大臣って、高市さんご自身ですよね? 高市総務大臣の下で「捏造」行政文書を作られたとしたら、責任取るのは高市さん自身だと思うんですが・・?》
高市氏は同日の会見で、「私に関係する4枚の文書は不正確だと確信を持っている。ありもしないことをあったかのように作るというのは捏造だ」と強調。閣僚辞任や議員辞職を迫るのであれば、文書を公表した小西参院議員に立証責任があるとの考えを示した。
8年も前の文書が公表されたことで窮地に立たされた高市氏。残酷な62歳のバースデーとなってしまったが、窮地を脱することができるだろうか。
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