9月30日、大手回転寿司チェーン「かっぱ寿司」を運営する「カッパ・クリエイト」の田辺公己社長が逮捕された。ライバル会社ゼンショーホールディングスが運営する「はま寿司」の情報を不正に持ち出した疑いが持たれている。
「田辺容疑者は千葉県出身。1998年に東海大学を卒業後、ゼンショーHDに入社しました。2014年に『はま寿司』取締役に就任したほか、ジョリーパスタやココスジャパンなどの取締役を歴任しています。
田辺容疑者は、2020年11月、カッパに入社し、翌月すぐに社長に就任しました。移籍前から『はま寿司』のデータをUSBメモリーなどに保存して持ち出していたと見られます。
また、元同僚から複数回にわたり『はま寿司』全店舗の売上データをメールで受け取っていた形跡が指摘されています。他社の情報をこうした形で入手することは、とうてい許されるものではありません」(経済部記者)
田辺氏は今年5月、毎日新聞の取材に対し、「違法という認識はなく、営業秘密に当たるとも思わなかった」と話しているが、認識の甘さを指摘する声も多い――。
実は、2022年になって、いくつもの回転寿司チェーンで事件が起きている。
4月、山梨県甲府市の「くら寿司」の39歳男性店長が、店の駐車場で自殺。店長は上司から日常的にパワハラを受けていたと「文春オンライン」が報じている。6月には「スシロー」で、大々的に宣伝した商品が実際には仕入れさえされておらず、「おとり広告」だったと判明。7月には生ビール半額イベントで品切れが続出するなど、炎上案件が相次いでいる。
「『スシロー』『くら寿司』『はま寿司』『カッパ寿司』『元気寿司』が回転寿司大手5社と言われており、激しく鎬を削っている状態です。大手5社の店舗数は、この10年で1.6倍に増えたというデータもあり、競争が激化していることが伺えます。
『カッパ寿司』の社長の件にしても、『スシロー』『くら寿司』のことも、すべてはそうした状況下で出てきたこと。競合各社による “チキンレース” の結果と言えるでしょう」(同)
大手回転寿司チェーンの不祥事が続いていることで、SNSではさまざまな反応がある。
《回転寿司業界、闇が深すぎる》
《元々薄利多売で大変な中でコロナ禍突入で色々無理していたのが剥がれているのですかね》
《生き馬の目を抜く回転寿司業界、と言うとちょっと違う気がする 安売り競争でどの会社も限界を超えてる感じですね》
値上げの波は回転寿司業界にも押し寄せており、「スシロー」「くら寿司」では10月1日からの値上げが発表されている。「安く美味しく」は理想だが、そんな時代は長く続かないのかもしれない。
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