「僕らのように、ジャニーズに所属していなかった被害者に対して、ジャニーズ事務所は、謝罪と補償をしてくれるのでしょうか」
こう不安を吐露するのは、元俳優のA氏(55)だ。「9月7日の会見後、事務所に電話をして性被害に遭ったことを伝えました。しかし、先方は『今は何も言えません』の一点張りで……」
A氏は中学時代、劇団に所属し、「全農」のCMに抜擢されるなど、子役として活躍。14歳のときには、近藤真彦主演の映画『ハイティーン・ブギ』にも出演した。
「当時、私はマッチに憧れ、共演を夢見ていました」と語るA氏が、故・ジャニー喜多川氏による性被害に遭ったのは、18歳のときだ。
「ジャニーズ事務所に入りたいと思い、履歴書を送ると、ジャニー氏から直接電話がかかってきたんです。『今から川崎のスタジオに君も来ないか』と。
現場に行くと、光GENJIのプロモーションビデオの撮影がおこなわれていました。そこで、『今度、東山(紀之)が主演するドラマがあるから、君も出て。それまでは東山の運転手をやって』と、ジャニー氏から言われたんです。
撮影が終わり、ジャニー氏が運転する車に乗せられ、諸星(和己)くんや赤坂(晃)くんらと一緒に原宿の合宿所に行きました。その日の夜は、僕だけ広いダブルベッドに寝かされ、そこへジャニー氏が襲ってきたんです。
翌朝、すぐに帰ろうとする僕に、ジャニー氏は無理やり3000円を渡してきました。拒みましたが、『連絡するから』と言ってポケットに押し込まれた。でも、連絡が来ることはありませんでしたね」
あれから約40年が経過した今も、男性に体を触れられるのは耐えられないという。
「あんなことがなければ、僕の人生は変わっていたと思います。ずっと思い悩んできた。この話をしたのは、過去につき合っていた女性2人だけです。母親には打ち明けられないまま、亡くなりました」
9月15日に、同事務所は被害者の補償受付窓口を設置。A氏は、申請を決意した。
「フォームに被害を受けた時期や、面談の希望について書き込みました。直後、『受理しました。ジャニーズ所属が確認されたら順次連絡します』と、自動送信メールが届きました。ということは、所属していなかったら弾かれるのでしょうか。
性被害を受けたうえに、ジャニーズにも見放されるのか。今は精神的につらく、カウンセリングを受けようと考えています」
ジャニーズ事務所に問い合わせると、「所属されていない方につきましては、被害者救済委員会と今後検討していきたいと考えておりますので、今しばらくお待ちください」との回答だった。
所属いかんにかかわらず、被害者は平等に救済されねばならない。
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