4月2日に報じられた、音楽家・坂本龍一さんの訃報――。がん闘病の末、3月28日に亡くなった坂本さんのもとには、世界中から追悼の声が寄せられている。
坂本さんは壮絶な闘病のさなか、小池百合子都知事にとある手紙を送っている。それは、現在進められている「明治神宮外苑の再開発」に抗議するものだった。
「再開発は、神宮球場など老朽化したスポーツ施設を解体して、場所を入れ替えたうえで、高層ビル2棟を建てるというもの。
しかし、神宮外苑の樹木を大量に伐採する必要があり、日本イコモス(国際記念物遺跡会議)国内委員会も、『3000本の樹木が伐採されることになる』と指摘しています。
坂本さんは3月初旬、小池都知事や永岡桂子文部科学相らに、『目の前の経済的な利益のために、貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではない』と再開発の中止を訴える手紙を書いたといいます」(週刊誌記者)
3月17日、小池都知事はこの手紙について会見で言及している。「さまざまな思いをお伝えいただいた」としたうえで、都知事はこう語ったのだ。
「ぜひ事業者でもある明治神宮にも送られた方がいいのではないか」
「この発言に、“私に言われても” という気持ちを感じた人は多いでしょう。たしかに再開発の事業者は明治神宮、三井不動産、伊藤忠商事、日本スポーツ振興センターなどで、民間の事業者が中心ですが、都だって再開発の認可をおこなっているわけです。
このときの “塩対応” には、当時から『当事者意識に欠けている』といった批判が寄せられました。そして、坂本さんが亡くなった今、ネット上では『あのときの冷淡な対応を忘れまい』と、発言が再び炎上しているのです」(同)
再開発の本格的な工事は、3月22日から始まっている。坂本さんは天国で、何を思うだろうか――。
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