世間を騒がせるニュースは、連日尽きることがない。ウクライナ侵攻、統一教会、芸能人による性加害報道ーー。それらをわかりやすく解説し、ときに鋭く追及するのが、ニュース番組やワイドショーのコメンテーターだ。彼らのコメントいかんで、注目度も変わってくるという。民放局のプロデューサーがこう語る。
「情報番組でいちばん気にするのは視聴率ですが、最近はアーカイブが普及し、視聴者の率直な反応がわかりづらい。そこで、いま現場が注目しているのが、『ネット記事』。出演者の方がコメントした内容がタイムラグなしにネット記事になると、それをきっかけにアーカイブを見に来る方も多いんです。人を貶(おとし)めるような発言は許されませんが、本音では『話題になってより多くの記事になってほしい』という気持ちもある。そんな、ネットで話題になる発言ができるコメンテーターは、番組にとって非常に重宝する存在です」
そんななか本誌は、大手広告代理店が調査した「好きな・嫌いなコメンテーター」ランキングの資料を入手。
「嫌いなコメンテーター」ランキングを見ていくと、トップ10のうち6人が「マスコミ出身者」という結果になった。
視聴者からもっとも不評だったのは、『ミヤネ屋』でよく目にする高岡達之。読売テレビ報道局解説委員長で、もともとは『ミヤネ屋』のプロデューサーだったが、2019年からコメンテーターとして出演しはじめた。「とにかく慇懃無礼」(36歳・男性)、「腕組みをして話したり、顎を突き出す話し方が感じ悪い」(47歳・女性)と、振舞いに関する反発が多く寄せられた。
2位は玉川徹。『モーニングショー』に出演中だが、彼はテレビ朝日報道局の局員。「自信家なのか、いつも上から目線」(36歳・女性)、「この人がまっとうな意見を言っても、胡散臭く感じる」(50歳・男性)などの嫌われぶり。
■不評トップ2は恒例の結果に
じつは1位の高岡と2位の玉川、このランキング調査の常連だという。
「前回の調査では玉川さんが1位でしたが、今回は高岡さんに僅差で明け渡しました。エラそうな態度に対する反発や、コメントがネット上で問題になるパターンは、2人ともよく似ています」(広告代理店担当者)
マスコミ出身者以外でのトップは、3位の落合陽一。情報学者という肩書で、若手の論客としてよく見かける彼だが……。「テレビに出るのならばもう少しTPOを考えた服装にしてほしい」(24歳・女性)、「もごもごと話すので、コメントが聞き取りづらい」(19歳・女性)という批判が。キー局ディレクターも、「嫌われているツートップを脅かす存在になってきました。見た目の印象やコメントの内容は、テレビ向きではないのではないでしょうか」と疑問を呈した。
4位は末延吉正。元テレビ朝日政治部長という経歴を持つ。「末延さんの悪評も、ほとんどが高圧的とも取れる態度が原因のようです。ただ、彼の場合はテレビ朝日時代に起こした暴力事件の印象が若年層を除く多くの視聴者に、いまだに根強いようです」(広告代理店担当者)。
6位には元キャスターとして知名度が高い古舘伊知郎。
「この人の上から目線は一生直らない」(49歳・女性)、「ほかの人を遮って話しだすなど、自分勝手すぎ」(33歳・女性)と、 やはり “エラそう” という印象がマイナスになっている。さらに広告代理店担当からは、こんな苦言も……。
「制作サイドからすると、ギャラが高いんです。『報道ステーション』元キャスターですから、もともとの設定が高いとはいえ、これだけ人気がないと……」
マスコミ出身者のランクインは、ほかにも9位の青木理、10位の吉永みち子、13位の田﨑史郎、23位の星浩と続く。
■「Z世代を取り込む」局の狙いも不発
この「嫌いなコメンテーター」ランキングでは、局側の狙いが視聴者の心を掴めていない現状が判明したという。広告代理店関係者がこう分析する。
「新しいコメンテーターをキャスティングし、多様性を打ち出して、若者を番組に取り込もうとする局側の試みが失敗しているのです。その代表例が、落合陽一さんや若新雄純さん、辻愛沙子さん。もっとも、ここにランキングされることすらないコメンテーターもいることを思えば、視聴者に不評でも名前が挙がることはまだ幸いなのかもしれません」
番組では日々、舌鋒鋭く共演者と議論を交わすコメンテーターたち。だがその裏では、熾烈な人気争いが、今後も続いていく。
*インターネットによる事前登録者から性別と年代をランダムに3000人を抽出し、好き&嫌いなコメンテーターを3人挙げてもらい、1位=3ポイント、2位=2ポイント、3位=1ポイントとして集計した
写真・本誌写真部、共同通信
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