8月4日、大正製薬が、広告代理店・ハットトリック社との訴訟をめぐり、コメントを発表した。三浦知良選手の広告起用をめぐり、猛烈な “お気持ち表明” となったリリースで、大いに話題を呼んでいる。
「同社は『リポビタンD』の広告に、三浦選手を長年起用してきました。しかし、リポビタンDの錠剤タイプの広告に起用しようとしたところ、ハットトリック社側が、錠剤については契約書に規定がないとして、拒否したといいます。
さらに、ハットトリック社は、サントリーウエルネス社が出している錠剤タイプの健康食品の宣伝に、三浦選手を出演させたとも。これに対し、大正製薬側が訴訟を起こしたのですが、結果は敗訴に終わりました」(週刊誌記者)
リリースはさらに続いており、企業の広告宣伝には高額な契約金がかかっていると指摘。《これは、業界の慣習として、出演者が競合禁止規定に基づき競合する他社製品の広告に出演しないことを当然の前提に、出演者とともに安定的かつ長期的に製品イメージを築き上げることを念頭においてお支払いしているものです》として、こうも語っている。
《仮に他社の競合製品の広告への出演が許されてしまうのであれば、長時間をかけて、また、莫大な金額を費やして築き上げたイメージを競合他社に瞬時に奪われるおそれがあることとなり、これまでのように高額な出演料をお支払いすることは難しくなります。
その意味で、本件はスポーツ選手や芸能人の広告起用にかかる業界の慣習を揺るがす事態といえます。》
三浦選手を起用したサントリーウエルネス側にも非があるとしたうえで、《以上のような理由から、業界において、このような事態が今後起こらないように本件をここに公表いたします》と、訴訟を公開した理由をつづった。
2016年から「リポビタンD」のCMに出演していた三浦選手。企業側は、長年の投資がふいになったと捉えたため、リリース公表に至ったのだろうが、一方で、競合他社のCMにタレントが移籍するのは、そう珍しいことではない。
「2009年からキリンビールのCMに出演していた野球のイチローさんは、2017年からサントリーのプレミアムモルツのCMに登場しています。
また、木村拓哉さんは2004年から長年トヨタ・カローラフィールダーのイメージキャラクターを務めましたが、2020年には日産のブランドアンバサダーに就任しました。
今回当事者となった三浦選手も、缶コーヒーのCMで、ジョージアからキリンファイアへ移籍したことがあります」(前出・週刊誌記者)
なお、大正製薬HPの「リポビタン広告の歴史」というページには、三浦選手の記述はいっさいない。大正製薬の怒りは、相当なものなのだろう。
外部リンク