昨今、街のいたるところで見かけるようになった「電動キックボード(電動キックスケーター)」。2023年7月には一部規制が緩和され、最高速度が時速20キロなどの基準を満たし、16歳以上なら運転免許がなくても利用できるようになった。
しかし、それが引き金となっているのか、電動キックボードによる危険走行が後を絶たない。
利用者の中には2人乗りや、歩行者の間をすり抜けるように走る人がいて、不安視する意見も多かったが、ついに東京・池袋駅近くの歩道で、電動キックボードで“ひき逃げ”をしたなどの疑いで、23歳の女性が逮捕・送検された。
警察車両の後部座席で涙を浮かべる様子が報じられたのは、無職の伊藤明理那容疑者(23)だ。
伊藤容疑者は9月6日、東京・東池袋の歩道で、商業施設から出てきた60代の女性に衝突し、肋骨を折る怪我を負わせたが、そのまま立ち去ろうとした疑いがある。捜査関係者によると、伊藤容疑者は、事故現場に駆けつけた警察官の腕をペットボトルで叩いたとして、公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕されていたが、このたび道交法違反(ひき逃げ)などの疑いで再逮捕された。
警察の取り調べに「走行していい場所が完全に理解できていなかったので、そのまま歩道を走ってしまった」と供述している伊藤容疑者。「時速10キロ以上は出ていた」とも話しているという。
一方、「歩行者の女性とは当たってはいないと思いますが、女性が転倒してしまったのは私が原因です」として、容疑を一部否認しているという。
この報道を受け、タレントのビートきよしはX(旧Twitter)に、
《こんな乗り物次々事故起こるぞ》
とポスト。ほかの一般人からも、
《ルール無視もしくは理解しないまま乗ってる人が多いですね。(中略)国は何故規制強化ではなく規制緩和したのか意味が分からないです》
など、キックボードに対する否定的な投稿が相次いだ。
一方、容疑者が実名&顔出しで報道されたことに対して、
《ひき逃げ死亡事件と比較してこれは明らかに行き過ぎ》
《晒上げのような扱いですね。通常の自動車事故ならこんなに報道されないし顔まで出ないのに、この件が珍しいからか顔と実名が公開されてる。ガバガバな国の制度設計にも原因があるのに、そんなやり方で犯罪抑止を狙うのか…》
などの驚きの声も上がった。
フランス・パリでは、2022年のキックボードによる事故の負傷者が約430人と多発したこともあり、住民投票によって9月1日から電動キックボードのシェアリングサービスが廃止された。一方の日本は、警察庁の発表によれば、国内のルールが緩和された7月の検挙件数は406件に上ったという。
容疑者が顔出し実名報道されたことで、電動キックボードの利用者に「事故を起こすと、最悪こうなる」という“ルール順守”の意識が芽生えてくれるといいのだが……。
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