8月22日、お笑いコンビ「おかけんた・ゆうた」のゆうた(本名・井元保則)さんが、脳内出血のため亡くなった。享年61。
ゆうたさんは、NSC(吉本総合芸能学院)1期生だった、おかけんたと1983年にコンビを結成。ダウンタウンとは同期にあたる。若手時代は心斎橋2丁目劇場の看板メンバーに選ばれ、大阪でレギュラーテレビ番組を持つなどして活躍した。その後、舞台を活動の中心に移し、1999年には上方漫才大賞を受賞している。
その一方で、晩年、ゆうたさんは腎臓病を患い、15年にもわたる期間、人工透析治療をおこなっていたという。そもそも人工透析とは、病気などの影響で正常に機能しなくなった腎臓を、代わりに人工的に補う治療法。これにより、血液中の老廃物などを除去する。2021年の日本透析医学会統計調査によると、透析患者数は全国で35万人程度いると報告されている。
人工透析患者は、脳内出血などの脳血管障害がおきるリスクが高いといわれるが、一般に広くは知られていない。医療法人社団NALU理事長の、尾崎聡医師が解説する。
「透析患者さんは、脳卒中の原因である生活習慣病を抱えていることが多く、動脈硬化が進行し、脳出血や脳梗塞を発症しやすい傾向にあります。脳血管障害のほか、心不全や感染症になるリスクが高いのは事実ですが、そうならないために医師の指導に従い、予防や治療をおこなうことが大切です。
具体的には、塩分や水分の制限、栄養バランスの取れた食事、血圧の管理などを、患者さんの状態に合わせておこなっていきます」
近年、人工透析患者は増加の傾向にあるが、将来的に、透析治療を受ける可能性の高い疾患に自身が罹患していることさえ気づかず、生活している人もいるという。
「とくに、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病は、腎臓に直接、負担をかけたり、腎血流を低下させたりするなど、慢性腎不全の原因となります。慢性腎不全が悪化すると、透析が必要となります。肥満の方、喫煙の習慣を持っている方は注意が必要です」
4時間の人工透析を週に3回、受けていたというゆうたさん。ひとたび治療が始まると、精神的にも肉体的にも、大きなストレスとなる。尾崎医師は、人工透析にならないためには、生活習慣を見直すことが重要だと話す。具体的に、5つのポイントをあげてくれた。
「1つめは食事です。肥満の予防や減塩を心がけ、規則正しい食事をとることです。腎機能が低下した場合には、タンパク質の摂取を適切な量に止めることが推奨されます。
2つめは運動。適度な運動は体力・筋力の維持、適正体重の維持や血圧安定など、生活習慣病の予防に効果があります。
3つめに、禁煙。喫煙は腎臓の血流量を低下させ、腎機能を悪化させる原因となります。喫煙をしている人はこの機会に禁煙を考えてください。
4つめに、すでに高血圧や糖尿病など、生活習慣病がある人は、医療機関を受診して、きちんと治療をしておくことが大切です。
そして最後に、定期的な健診。生活習慣病の早期発見や早期治療のためにも、自身の体の状態を把握しておくことが大事です」
生活の質を低下させる恐れがある人工透析。まずは健康管理が大切だ。
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