保険金の不正請求問題で世間の耳目を集めている、中古車販売大手「ビッグモーター」。7月18日、同社の兼重宏行社長が報酬全額を1年間返上する方針であると、『共同通信』が伝えている。
記事によると、社長以外では、副社長が報酬の50%、専務が30%などをそれぞれ返上するとしている。
事故車の修理を請け負った際に、ゴルフのドライバーで車に傷をつけたり、靴下にゴルフボールを入れて車を叩いたりするなどして、車両を故意に傷つけ、不要な部品交換をするなどの手口で、自動車保険の保険金を不正に請求していたビッグモーター。全国33カ所の整備工場すべてで、不正請求があったとされる。
現場の従業員の多くが「工場長らの指示」で不正をおこなったと証言。その背景には、整備工場に対する「ノルマの達成」があったとされている。調査では、修理件数の4割強で不適切と見られる行為が見つかったという。
ノルマは「アット」の隠語で呼ばれ、工場には本部から事故車両修理の収益として、1台当たり14万円前後の収益をあげるよう要求。また、作業の多くは未経験者や外国人が、見よう見まねでおこなっていたことも判明している。
第三者委員会の調査報告書では、従業員が経営陣に対し不正を告発したにもかかわらず「告発をもみ消したと言わざるをえない」と指摘している。
こうした悪質な行為が次々と発覚するなかで出た「社長報酬返上」報道に、SNSでは辛辣な意見が飛び交っている。
《その程度のことで済む話ではない。そもそも、これまでダンマリを決め込んできており、状況についての発表も説明も無いままだ。全国展開する企業とはとても思えない所業だ》
《それで済むわけないでしょ。刑事で責任を取ることになるだろうし、民事でも保険金返還だけで済まない可能性もあるのでは》
《社長辞めないんだ。ここに問題がある様にしか思えんのだが。図太いな》
《それだけで許されると思っているのだろうか。保険会社を含めて大問題だと思う。辞任しないという姿勢がこの会社の姿勢が現れている》
ビッグモーターは、1976年に兼重社長が山口県岩国市で創業。徐々に規模を拡大し、20年ほど前から全国展開。公式HPでは「買取台数6年連続日本一」をアピールしている。
7月18日、斉藤鉄夫国土交通大臣は閣議後の会見で、「もしそういうことがあったとしたら、言語道断の話」と語り、ビッグモーターに聴取をおこなう方針を明らかにしている。
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