横浜DeNAの東克樹投手(26)が秋季練習で異例の投げ込みを行っている。5年目の今季は初の開幕投手を務めながら1勝(6敗)に終わった。屈辱を糧に己と向き合い、投球の軸となる直球を追い求める。
阪神との息詰まる投手戦を繰り広げた10日のクライマックスシリーズ第3戦。中継ぎとして待機していた東には、最後まで声が掛からなかった。「終わった瞬間、今シーズンのすべてが走馬灯のようにフラッシュバックした。何も力になれなかった」。ロッカールームに戻ると、悔しさが涙となって頬を伝った。野球人生で初めての経験だった。
左肘手術から復帰2年目のシーズン。春季キャンプ、オープン戦と順調に歩みを進め、三浦監督から開幕投手を託された。だが、登板7試合目となった6月下旬まで初勝利をつかめない。終盤戦にプロで初めて救援のマウンドにも立った。
「何をやってもうまくいかなかった。今年を一言で言うと『ふがいなさ』。本当にチーム、ファン、自分自身の期待を裏切った」
秋季練習の面談でも小谷正勝コーチングアドバイザーから「俺の期待を今年3番目に裏切った男やぞ」と告げられた。東は「2番、1番は誰?」と笑いつつ、「来年見返してやるという強い気持ちになれた」とすでに吹っ切れた様子だ。
一筋の光も差し込んでいた。シーズン終盤に149キロを計測。その感覚を忘れないように、3勤1休の秋季練習では初日に60球、3日目に100球程度の投げ込みを課す。「空振りを奪える真っすぐをとにかく追求している」。体重の平行移動を意識しながら、グラブの位置にも微調整を加えているという。
来季の起用法は白紙の状態だが、背番号11は迷いなく言い切った。「先発がいっぱいいる中で1枠を奪う。その一心で取り組んでいる」。新人王に輝いた1年目のように、ローテーションを守ることを最低限の目標にしている。
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