横浜DeNAの石井琢朗コーチ(53)は昨季のチーフ打撃コーチに加えて、今季は走塁兼一塁ベースコーチも担う。古巣で指導に当たって3年目。今キャンプでは、チームの積年の課題である走塁に向き合っている。
―コーチの担当領域が広がった。
「攻撃は打つだけではないとずっと思っていたし、走塁を絡めた中でどうやって得点していくか。そういう意味では今まで以上に力を入れてやっている」
―走塁は意識付けが大事だと言っていた。選手の意識に変化は。
「こればかりは選手に聞いてみないと。選手がどれだけ実戦で実行できるか。僕らも言い続ける、意識させ続けることはすごく大事」
―ここまでの手応え。
「まだ練習段階なので思い切りやらせているが、失敗を重ねてくるとどうしても尻すぼみになって、結局は何も事を起こさないで終わってしまう。そうならないようにしたい」
―チャレンジすることが大事。
「そういうところをしっかり評価してあげたい。何か事を起こした中で、成功なり失敗なりがないと次にもつながらないし、チーム力は上がっていかない。失敗を恐れることがないように選手の背中を押してあげたい」
―自身は現役時代に4度の盗塁王に輝いた。
「僕は数をこなしただけ。失敗も多かった。その失敗から僕自身も学んだ。失敗を次にどう生かしていくかが大事」
―昨季33盗塁は両リーグワースト。
「とにかく経験していかないと、いいも悪いも分からない」
―昨季は1、2番が固定できなかった。
「ただ足が速いから1、2番にあてがって、それがいいのかと言ったらそうでもない。候補はいるが、まだ模索中」
―出塁率が高い2人を並べて中軸に回せるか。
「中軸がしっかりしているので、その前を打つ選手がすごく重要。それはどこのチームもそう。昨年はその選手がいなかったので中軸(の佐野)を前に持ってきた」
―去年はマシンガン打線を凌駕(りょうが)する打線をつくりたいと話していた。今年目指すのは。
「新風を吹かせそうなのが、新人の度会君(ENEOS)かなと思っている。うまくいい方にはまってくれると、今までにないものが出せるんじゃないか。ただ未知数なので。それにここ2年間戦列を離れる機会が多かったオースティンがどういうスパイス的な役割を果たしてくれるか」
―度会は明るい性格がチームにマッチしている。期待したくなる。
「本当に未知数。今は0点か100点か、というところなので。楽しみではある」
―度会の打撃で優れているところは。
「僕は柔らかさかなと思っている。あれは天性なのかなという気がしている。打球が飛ぶし、打球の飛ばし方も、力というよりも体の柔らかさで飛ばせている」
―体はまだ細い。
「周りのプロの選手と比べてひ弱いという感じはする。ただ、その中でも芯の強さがある」
―遊撃争いは激戦だ。
「ショートは打つことも大事だが、守備はもっと大事。みんな頑張っていて、いいんじゃないか。刺激し合っていて。どこのチームもそうだが、センターラインはすごく大事。それこそ固定できればベスト」
―高卒5年目の森敬は2軍キャンプとなった。
「彼自身も思うところはあると思うので、忘れられないように頑張らないと」
―開幕が近づく。残り期間は何に取り組むか。
「やることは変わらない。走塁のことも特に珍しいことをやっているわけではなく、当たり前のことをやっているだけ。当たり前の繰り返しをやっていく中で、当たり前のレベルをどれだけ上げていけるかだ」
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