横浜DeNAに電撃加入して1年目のシーズンを終えたトレバー・バウアー投手(32)が16日、横須賀市夏島町の球団施設「DOCK」で報道陣の取材に応じた。日本球界に話題を振りまき続けた米大リーグサイ・ヤング賞右腕は、「非常に楽しかった1年。自分を温かく迎えてくれた球団、ファンの皆さんに非常に感謝している」と振り返り、注目される来季の去就についても言及した。
右肩の張りの影響で来日デビューは5月と出遅れたが、8月30日の阪神戦(甲子園)で負傷離脱するまでに驚異的なペースで登板を重ねた。
19試合で10勝4敗、防御率2・76をマークし、「最初の頃の巨人戦とカープ戦で打ち込まれてしまったが、それを除けばセ・リーグトップクラス級の投手のパフォーマンスができたと思う。満点評価ではないが、合格点のB評価を自分にあげたい」と自己採点した。
球団とは1年契約で、メジャー復帰の可能性も含めて動向が注視されている。萩原龍大チーム統括本部本部長が残留要請の意志を表明したことについてバウアーは「非常にうれしく思っている」と感謝した上で、「まだ何も決まってない。メジャーでも日本でも韓国でも、話を頂いたら考えたい」と説明した。
契約で重視する条件として、「優勝を狙えるチームか」「個人タイトルを狙わせてくれるか」「ファンが喜んでくれる選手になれる環境か」という3点を挙げた。
ユーチューブでの活動など、野球以外にも好奇心旺盛のバウアーには人生で「やりたいことリスト」があり、メジャーでも日本でもやり残したことがあるという。
「(ベイスターズは)長く優勝できてないので、優勝の持つ意味はひしひしと感じている」と語ったバウアー。ベイスターズ優勝もそのリストには載っているとしつつ、「リストの中には子供の頃からずっとしたいと思っていたこともある。その中でベイスターズの優勝がどこに位置しているのかということは、まだまだ自分の中で考える必要がある」と含みを持たせた。
来日1年振り返る 印象に残った登板と選手は?
来日1年目のシーズンを終えた横浜DeNAのトレバー・バウアー投手(32)が16日、報道陣の取材に応じ、自身の去就などについて語った。
◆(CSで)投げて勝利をもたらしたかった
-シーズンを終えた。
「今シーズンの終わり方は我々にとって残念なものだった。シーズン中に勝てる試合があったし、ポストシーズンも勝ちたかった。ただ、選手はベストを尽くして頑張ったと思う。シーズンを勝利で終えられるのは1チームしかない。できればその1チームになりたかった。来年はその1チームになれるようにしたい。今シーズンも個人を見ればかなり光るものがあるシーズンだった。先発だと東が最多勝、今永も活躍した。ブルペンではウェンデルケンが大車輪の活躍をした。個人に目を向けるとたくさんの光るものがあったが、チームの勝利にもう一歩つなげられなかったのは後悔している面がある」
-CS3戦目は投げる予定だった。
「1戦目、2戦目が残念な結果で終わってしまったが、どちらか勝っていれば3戦目に勝利してCSのファーストステージは突破できたと思っている。自分自身そういった大舞台で戦うことは何よりも楽しみにしている。投げてベイスターズに勝利をもたらしたかった。(負傷後の)リハビリでは、最初は足を上げるのもままならないところから、可動域を取り戻したり筋力を取り戻したりして、ブルペンに入ってライブBP(実戦形式の打撃練習で登板)も3回やって自分なりに最善の準備をしてきた。投げられなかったのは残念だが、自分としてはできることはやってきたと思う」
◆メジャーにない応援や声援が後押しになった
-ベイスターズで過ごしたシーズンはどうだったか。
「非常に楽しかった1年。まずは自分を温かく迎え入れてくれた球団の人たちにとても感謝している。おかげで自分のやりやすいようにプレーできた1年だったと思う。温かく迎え入れてくれたファンの皆さんにも非常に感謝している。メジャーリーグにはないような応援や声援が自分の大きな後押しになった。とても楽しい1年だったと思う」
-10勝4敗、防御率2・76の成績はどう感じているか。
「今シーズン冒頭に巨人戦とカープ戦で打ち込まれてしまったイニングが2、3イニングあったと思うが、そのイニングを除けばかなりよいピッチングができたのではないか。相対評価でこのセ・リーグのトップクラス級の投手のパフォーマンスができたのではないかと思っている。今季冒頭と後半に異なるケガで離脱してしまったことは非常に残念。自分自身ローテーションを1年間守り通すべきだと先発投手として思っているので、それができなかったことは残念だが、トータルで見た場合に満点評価ではないが、合格点、B評価を自分にあげたい」
-印象に残った登板と選手。
「印象に残った登板はやはりカープとの対戦。2イニングで7失点した試合と、反対に10回無失点の登板が1番印象に残っている。10回を無失点に投げられたのはメジャー時代を合わせても初めてだったので、非常に思い出深い登板になった。思い出に残った打者としてはカープの秋山選手。もともとメジャー時代に同僚だったので親交はあったが、彼がもともとプレーしていたNPBなので、彼の持っている本来のパフォーマンスが出せる環境だと思うが、そういった環境で彼が躍動する姿を見られたのは非常に印象的だった。あとは中日の細川選手や、ベイスターズの宮崎選手。他にも挙げるとキリがないがこの3選手がパッと思い浮かぶ」
◆優勝が狙えるチームであるかどうか
-来季について
「正直まだ何も決まっていない。ここ6週間はプレーオフに間に合わせるためにリハビリをずっとやってきて、プレーオフのことばかり考えていた」
-次の環境は日本もメジャーも、どちらも可能性があるか。
「メジャーでも日本でも韓国でも、話を頂いたら考えたい」
-いつかメジャーでもう一度プレーしたいか。
「自分のやりたいことリストがあって、やりたいことリストをチェックしていくという意味ではメジャーリーグでやりたいことは残っているが、逆にNPBでやりたいことであったり、それ以外のリーグでもやりたいこと、やり残したことがあるので、やりたいことリストはMLBに限った話ではない」
-来年以降の契約で重要視したいことは。
「優先順位でトップ3をつけていくと、まず1つ目が優勝を狙えるチームであるかどうか。優勝を狙えないチームだとあまりワクワクしないというのもあるので、まずは優勝を狙えるチームで戦いたい強い希望がある。2点目としては個人タイトルを狙わせてくれるチームであるかどうか。過去に所属していたチームだと、自分が個人タイトルを狙えるだけの余力が残っていたにもかかわらず、そこまで投げさせてくれなかったケースも何回かあった。自分が個人タイトルでたくさん投げさせてくれるようなチームだとうれしい。理由としては、個人タイトルが取れると、その分だけチームに貢献できたと言えるからだ。最後はどれだけ多くのファンの方を喜ばせることができるか。野球界はファンあってのものだと思うし、ファンがつかない選手は、お金をチームや自分にももたらすことができないと思う。ファンの人が喜んでくれる選手になれる環境にあるかも重要」
-萩原チーム統括本部長が魅力的な提案をしていきたいと話した。
「まだ話を頂けてはいないが、そういった話があるのは非常にうれしく思う。良い関係であるためには球団と選手がウィンウィンである必要があると思う。自分も今シーズンはベイスターズで楽しい思いをさせてもらったし、ベイスターズが同様に思ってくれていたら光栄です。率直にうれしいコメントだと思う」
-来年ベイスターズを優勝させるために残ることは、やりたいことリストに入っているか。
「やりたいことリストには載っている。ベイスターズは長い間優勝できてないので優勝が持つ意味合いはひしひしと感じている。ただそのリストの中にも、自分がもう子供の頃からずっとしたいと思ってきたことなどが入っているので、その中でベイスターズの優勝がどこに位置しているのかは、まだまだ考える必要があるのかなと思う」
◆YouTube更新続けたい
-やりたいことリストの中でベイスターズでできたことは。
「一番大きなことはNPBでプレーできたこと。ベイスターズが契約してくれなければNPBでプレーすることはできなかったので、ベイスターズあってのこと。そのおかげでリーグであったりとか、チームメートとか、文化、環境、全てに新しい学びができたので感謝している。やりたいことリストの中にある沢村賞にはチェックが付けられていない。ケガをしたこともあり、今年は受賞は難しそうだと思う。残念だが、またの機会があればチャレンジしたい」
-来週以降もYouTubeは更新するか。
「これまでのように週1回の更新かはわからないが、更新は続けていきたい。ポストシーズンに向けた準備の動画をアップロードする予定だったが、負けてしまったので再生回数がどうなるか分からない」