チームにもたらす相乗効果は計り知れない。未来を想像すると、興奮を通り越して脅威すら覚える。
6月25日付で浦和レッズへの加入が発表された江坂任のことだ。
実績については今さら説明する必要もないだろう。
略歴を記せば、流通経済大学を卒業した江坂は、2015年にJ2のザスパクサツ群馬でプロのキャリアをスタートさせると、ルーキーイヤーに13得点をマーク。翌年、大宮アルディージャに移籍すると2シーズンを過ごし、2018年からは柏レイソルに在籍した。
直近では3月に日本代表に初選出され、25日の韓国戦でデビュー。初出場初得点とまではいかなかったが、途中出場ながら3本もシュートを放ち、83分にはCKから遠藤航のゴールをアシストした。
その日本代表でもトップ下で途中出場したように、江坂は1.5列目を筆頭に、FW、サイドと、幅広いポジションでプレーすることができる。
利き足は右足だが、左足でも強烈なシュートを叩き込んでいるように、両足を遜色なく扱えるところも魅力のひとつだ。柏ではJ2だった2019年に11得点、昨季は二桁にあとひとつと迫る9得点を挙げるなど、得点力、決定力も備えている。
また昨季はアシストでも二桁を記録。自らのゴールで試合を決めることもできれば、周りを活かすこともできる。
昨季のJ1を席巻したオルンガが28得点を挙げて、得点王&MVPに選ばれた背景には、間違いなく江坂のサポートと関係性があった。
その姿を思い起こし、浦和レッズでのプレーに重ねると、キャスパー ユンカーとのコンビネーションはすぐに連想できるだろう。
リーグ戦7試合で7得点とゴールを量産するユンカーは、対戦相手のマークが一段と厳しくなってくることだろう。
ユンカーは、それでもなおゴールを取り続けてくれる予感が漂うが、フィニッシャーが2人になることで、相手のマークが分散すれば、互いを活かすことも可能になる。
江坂が引きつけてユンカーが決める。
もしくはユンカーの落としから江坂がフィニッシュする。
カウンターではユンカーが独走するシーンが目立つが、江坂もそこは得意とするところ。ふたりが飛び出し、ふたりで得点を決めてしまう。Jリーグ屈指のコンビと言われる日もそう遠くはなさそうだ。
また、江坂の得点パターンをさらに増やしそうなのが、すでに加入が発表されている酒井宏樹である。酒井からの右クロスに江坂が走り込みゴールを決める。ユンカーとのユニット同様、すでにリプレイのように映像が思い浮かぶ。
チームとしては、ユンカーと江坂が2トップを形成することによって、小泉佳穂を1列下げたボランチで起用する選択肢も出てくることだろう。
キープ力のある江坂は、タメも作れるだけに、それを小泉が受けて展開すれば、浦和レッズの攻撃パターンはさらに増え、リズムも、テンポも2段階で上げられることになる。
はたまた、江坂はドリブルで突破もできるだけに、サイドで起用するのも面白いかもしれない。彼がひとり加わることで、チームは無数の選択肢を手にすることになる。
江坂に加えて、前述したようにサイドバックには酒井宏樹、センターバックにはアレクサンダー ショルツが加わった。
攻撃、守備と戦力は大幅にアップし、これで死角はなくなったと言えるだろう。
まさにタイトルを獲れる陣容が整った。江坂、酒井、ショルツ、そしてユンカーと、彼らがピッチで躍動する姿を想像すれば、やはり興奮を通り越し、思わず身震いしてしまう。
(取材/文・原田大輔)
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