(写真:時事通信)
「Got it(いった),got it(いった),got it(いった)! 33!」
大谷翔平(27)の勢いが止まらない。打った瞬間、現地の実況者も思わず3度こう繰り返した9日(日本時間10日)の特大33号本塁打で前半戦を終えた大谷。ホームランダービーでトップを独走したまま、オールスターに臨むことになる。
後半戦でどれだけ本塁打を積み上げられるか、そして日本人初のメジャー本塁打王のタイトルを手中にできるかどうかが注目を集めているが、じつはさらにすごい記録の更新にも期待がかかっているという。
「それはメジャーの“真の”年間本塁打記録の更新。大谷選手がこのペースで本塁打を積み上げていけば十分に可能です」
そう語るのは日米の野球に詳しいスポーツ紙記者。メジャーの年間本塁打の最多記録は2001年にバリー・ボンズが記録した73本。さすがに大谷でも、後半戦でさらに40本の本塁打を積み上げるのは至難の業だと思うが……。
「ボンズは筋肉増強剤を使用していたことがほぼ確定しています。'07年にはハンク・アーロンがもっていた755本のメジャーの通算本塁打数の記録を更新しましたが、記念すべき756号のボールは“注釈”を意味する*(アスタリスク)マークを刻印されたうえで、野球殿堂博物館に寄贈されました。これはオークションでボールを落札した人が、インターネット投票で野球ファンから意見を募った結果、行われたこと。つまり、薬物に頼ったボンズの記録は“注釈付き”、正式には認められない記録だとファンは考えているのです」(同前、以下同)
ボンズは762本まで通算本塁打の記録を積み上げて引退したにもかかわらず、野球殿堂入りは果たしていない。年間本塁打の2位から6位までの記録は、マーク・マグワイア(2位70本、4位65本)とサミー・ソーサ(3位66本、5位64本、6位63本)によるもの。
「ボンズを含め、これらの記録はメジャーで筋肉増強剤などの薬物が野放しだった2000年前後に集中しています。マグワイアは薬物の使用を認め、ソーサも使用が濃厚。2人ともすばらしい記録とともに引退しましたが、いずれも野球殿堂入りは果たしていません」
ファンが“クリーン”と考えている本塁打記録は、1961年にロジャー・マリスが記録した61本。これは記録上、歴代7位の本塁打数だ。
「今もマリスの61本が“真の”年間本塁打記録と思っているファンが多い。大谷は後半戦で29本積み上げれば、この記録を更新できます。もちろん、厳しい道ですが、現在の勢いを維持できれば十分可能にも見えます。62本を打った瞬間、大谷はメジャー史上最強の“クリーンな”ホームランバッターになるのです」