(写真:アフロ)
東京五輪の開会式まで残り58日と迫るなか、IOCトップの失言が相次いでいる。
「五輪の夢を実現するために、誰もがいくらかの犠牲を払わないといけない」
5月22日に開かれた国際ホッケー連盟のオンライン総会で、こう挨拶したトーマス・バッハ会長。“誰に向けたのか”が物議を醸し、後にIOC側は「日本国民にではなく、五輪関係者、五輪運動に向けた発言」と釈明。
しかしバッハ会長はこれまでも、日本国民から反感を買うような発言をしてきた。
4月22日には、緊急事態宣言が発出される方針を受けて「五輪とは関係ない」と発言。同月28日にも、「日本の社会は連帯感をもって、しなやかに対応している。日本国民の精神は賞賛の的です」などとコメント。そして、「今回の五輪についても非常に厳しい状況であるなかで、乗り越えることが可能になってきます」と“精神論”を展開した。
さらにジョン・コーツ副会長も5月21日に、「緊急事態宣言下でも五輪を実施する」と強調し批判が相次いだ。
そんな強腰のバッハ会長とコーツ副会長の訪日も近づいている。各紙によると、まずコーツ氏が6月15日に来日予定。当初5月に来日する予定だったバッハ会長も、6月中旬に来日すると報じられている。その後、開幕10日前の7月12日に改めて来日するという。
■指摘されてきたIOC役員のセレブ体質
現在10都道府県に発令されている緊急事態宣言は、再延長される見通しだ。変異株の感染拡大や医療逼迫、ワクチン接種の拡大は喫緊の課題となっている。また百貨店や映画館など休業要請を強いられている業界もあり、経済活動面でも厳しい状況が続いている。
国内では五輪の「中止論」が高まるいっぽう、“厚待遇”とされるバッハ会長らの訪日には冷視線が注がれている。
大会計画の「立候補ファイル」によると、IOC関係者は5つ星ホテルでの宿泊が提供されるという。
そのホテルとは、「The Okura Tokyo」「ANAインターコンチネンタルホテル東京」「ザ・プリンス パークタワー東京」「グランドハイアット東京」の4つのホテル。提供率は「100%」と記載されており、全室貸切となるようだ。
また「特別交渉による宿泊料金」としてシングル、ダブル/ツイン、スイートに関わらず、IOC役員は一泊の上限料金が一律35,200円と定められている。
いっぽう立候補ファイルには、《大会組織委員会は、この特別料金と大会時の実際の宿泊料金との差額を保証するため、予算として適切な額を見積もっている》とも明記。
なかでも「The Okura Tokyo」には、720平米で1泊300万円の国内最大級のスイートルームが備えられている。仮に同室にIOC役員が宿泊するとなれば、1泊290万円以上の差額を組織委が負担することに。つまり税金で賄うことになるが、IOCの“VIP扱い”は譲れなかったようだ。
「昨年9月に組織委とIOCはコロナ禍に配慮し、人数削減や運営を簡素化することで合意。IOC関係者が集まる総会の開会式を中止し、彼ら向けのラウンジを縮小するなどしました。いっぽうで感染防止策とはいえ、IOC関係者の移動手段は新幹線の一両借りやハイヤーなど“VIP扱い”のようです。
もともとIOC役員は、“セレブ体質”ともいわれていました。コロナ禍以前にも組織委が『ホテルのグレードを下げる。もしくは全額負担』を提案したところ、IOCは強く反発したそうです。『立候補ファイル』に5つ星ホテルが保証されているのは、彼らが最後まで譲らなかったということなのでしょう。そのため、早くも冷ややかな声が上がっています」(全国紙記者)
各紙によると、招致段階では約7,340億円と見積もられていた五輪大会経費。しかし延長に伴う追加経費や新型コロナ対策費用も追加され、昨年12月に発表された予算は1兆6,440億円まで膨らんだ。
日本国民の信頼を失いつつあるなか、“厚待遇”で迎えられるIOCトップには冷視線が注がれそうだ。