東京・大手町にあるビルのロビーにずらりと展示された約1千700枚のキルト。木や花をあしらったものが多く並ぶなか、異彩を放つ一つのキルトが。その作品には、ボールを投げようと構えている水球選手が刺しゅうされている。
その制作者の欄には百恵さん(62)の名前がーー。
「6月末まで開催されていたキルト展で、東京五輪・パラリンピックで来日する選手団に贈ろうと、専門誌で募集した『おもてなしキルト』プロジェクトの一環です。百恵さんもその趣旨に賛同し、キルト作家の一人として作品を寄せたと聞いています」(キルト展関係者)
開催が目前に迫り、日夜準備が進む東京五輪にキルトで“エール”を送った百恵さん。いっぽうで、いまだ収束の見えないコロナ禍での開催に疑問を呈する声も強まっている。
そんな6月下旬、夫の三浦友和(69)が自ら出演する映画『唐人街探偵 東京MISSION』のイベントに出席。「今、あなたにとって聞きたいことは?」という質問に対して、こう答えたという。
「ずっとおかしいと思っているのは、なんでずっとオリンピックをやろうとしているのかな、この人たち」
さらに「探偵に解決してほしいことは?」という質問に対しても、
「理由を話してくれない。理由も教えてくれないのは、なぜなんだ? これを何とかしてほしい」と苦笑しながら疑義を唱えたのだ。
■百恵さんがおもてなしキルトに水球を選んだ訳
明治安田生命が行う「理想の有名人夫婦」調査では15年連続で1位を獲得し、殿堂入り。友和はインタビューで常に「一度もケンカをしたことがない」と語るなど、2人は結婚以来“完璧な夫婦”をキープし続けてきた。
しかし、結婚41年目で五輪を巡って正反対の主張をし、“初の衝突”を見せた百恵さんと友和。一体、何が起きているのか。
長年、三浦家を取材してきた芸能リポーターの城下尊之さんは百恵さんがキルトの題材に水球を選んだ背景についてこう語る。
「百恵さんが小さいころから水泳教室に通わせたことも高じて、息子の三浦祐太朗くん(37)と貴大くん(35)はともに高校では水球部に所属。百恵さんは彼らの水球の試合があれば、必ず駆けつけて応援していました。百恵さんもすっかり水球の大ファンになったそうです」
さらに、水球は貴大の俳優人生にも大きな影響を与えていた。
「貴大さんは高校の水球で挫折したものの、体育関係の大学に進学。周りにはオリンピックを目指す仲間もいたそうです。そうした経験が、俳優を目指すきっかけになったとインタビューで語っています。
’19年の大河『いだてん』(NHK)では水泳日本代表チームの助監督役として起用されたのですが、彼の水球経験もオファー理由の一つだったと聞いています。勧めた水泳をきっかけに、俳優として羽ばたいた貴大さんの姿に百恵さんもとても喜んでいたそうです」(テレビ局関係者)芸能界引退後は、決して表舞台に立たなかった百恵さん。しかし、これまでキルト作家として、亡き母の着物を使ったり、妹への思いを作品に込めて発表してきた。
そして、今回の水球キルトにも百恵さんの“祈り”が込められていると城下さんは言う。
「引退後、百恵さんは自分の時間を家族にささげて生きてきました。そんな日々の中で2人の息子と培ってきた水球の思い出を、東京五輪を応援する作品として出した。日本代表として戦う水球選手たちに届いてほしいという、彼女の願いがあるのだと思います」
■友和の疑義の“真意”
東京五輪での水球選手を待ち望む百恵さんの裏で、コロナ禍での開催に疑問を呈した友和。友和を知る映画関係者は言う。
「友和さんは’64年の東京五輪をリアルタイムで見ていた世代。’12年に出演した映画『ALWAYS 三丁目の夕日’64』のイベントで当時の女子バレーボール代表選手に会った際も、感激していました。コロナ禍前は東京五輪の開催をとても楽しみにしていたそうです。
とはいえ、エンタメ業界は今も観客制限など厳しい制限を受けている状況。キャリアの長い友和さんとしては、未来ある後輩たちの生活を守りたいという思いもあるはずです。友和さんは東京五輪そのものを否定しているわけではありません。ただ、五輪だけは強行しようとする政府の姿勢に、立場ある役者として思わず苦言を漏らしてしまったのでしょう」
城下さんも「百恵さんと友和が不仲になることはない」と断言。
「百恵さん夫妻は今でもずっと仲よし。祐太朗くんは昨年結婚しましたし、孫世代のことも考えるべき大人として、友和さんの発言はとてもまっとうです。すでに夫婦で話し合って理解し合っていると思います。夫婦で考え方が異なるのは当たり前。今回、初めて表面化しただけであって、それほど稀有な夫婦関係なんです」
かつて本誌のインタビューで「ずっと一緒にいても、もめ事もなく、疲れもしない」と語っていた友和。コロナ禍の東京五輪開催は、日本一の“理想の夫婦”をも揺るがす国民的な懸念なのだーー。