17年、スペイン国王を歓迎する宮中晩餐会にて(写真:アフロ)
12月9日に皇后となられて2度目、57歳のお誕生日をお迎えの雅子さま。残念なことに皇后としての2年目は、コロナ禍の拡大でご公務が極めて少ない一年となり、国民に優しく接してくださる雅子さまのお姿を拝見できず寂しい思いをされた方も多いだろう。それでも11月8日の「立皇嗣の礼」では、天皇皇后両陛下に「立皇嗣宣明の儀」を終えた秋篠宮さまが挨拶される「朝見の儀」において、雅子さまと紀子さまがティアラにローブデコルテの盛装でお出ましになったときの輝きは、不安な時代にあって国民の心に華を感じさせてくれるシーンだった。
私たちに夢を与えてくれる、雅子さまのロングドレスの盛装を一緒に振り返りたい。
【93年6月 ご成婚】
森英恵さんがデザインしたご成婚の日のローブデコルテ。生地は最上級のシルクで、京都の龍村美術織物が織り上げた明輝瑞鳥錦。光沢の美しい絹糸で鳳凰と龍の地紋を浮かび上がらせる銀から金のグラデーションが美しい。ご成婚パレードのお車に乗られるときには襟元に花弁をあしらったジャケットをお召しになり、美智子さまから贈られたティアラを輝かせドレスと共布のバッグを手にされていた。
【93年6月 宮中饗宴の儀】
オレンジがかったシャンパンゴールドのシルクのロングドレス。ご成婚を祝う昼の宮中饗宴の儀には肌の露出を抑えたローブモンタント姿で。スタンドカラーに膨らんだ袖、左のウエストに大きなリボンを飾り、スカートにかけて大きなドレープがデザインされている若々しい新妻の装い。
【94年11月 バーレーン】
ご成婚後、天皇陛下と初めてお出かけになった海外ご公務で中東4カ国を歴訪。バーレーンの王宮でお召しになったのは、フロントに金糸で流水のような模様をあしらった真っ赤なロングドレス。中東の風習を考慮して首回りを詰めて長袖にされ肌の露出を抑えている。バッグと靴は金と銀で統一、ゴージャスさを演出されていた。
【95年1月 ヨルダン】
2度目の中東ご訪問。ナドワ宮殿で催されたヨルダン国王主催の晩餐会での装いは、イスラム圏の女性の衣装・アバヤで使う長い布を感じさせるような、上質なシルクの布を右肩から裾にかけて用いられている。左上半身には花をあしらったレース素材でとてもエレガントな一面をお見せに。アシンメトリーなロングドレスは肌の露出を抑えながらも女性的な装いになっている。
【13年4月 オランダ国王即位式】
アムステルダムで行われたオランダのアレクサンダー国王の即位式。久しぶりの海外ご公務に出席された雅子さまは、スタンドカラーからスカートの裾まで、日本のシルクの美しさが際立つローブモンタント姿。地紋には可憐な花々が描かれていて、お帽子から足元まで統一された姿にシンプルな日本的美意識が醸し出されていた。
【スライドショー】
【15年7月 トンガ国王戴冠式】
南太平洋のトンガ王国の国王トゥポウ6世の戴冠式へ。雅子さまは胸元に金糸を使ったベージュのロングドレスでご列席。花びらを思わせるようなスタンドカラーから胸元に施したレースが美しく、パールの控えめなアクセサリー使いをされながらも豪華なバッグを持ちアクセントにされていた。
【17年4月 スペイン国王来日、宮中晩餐会】
スペインのフェリペ国王夫妻の来日を歓迎する宮中晩餐会。雅子さまは四角く開いた胸元のラインと少し長めの袖口にデザインを施した爽やかな淡いブルーのローブデコルテ姿でご臨席。豪華なティアラとネックレスが際立つように開いた首回りの美しく見えるドレス。
【19年5月 即位後朝見の儀へ】
皇后となられ初のドレス姿。第一ティアラとネックレスをおつけになるにふさわしい、最上級のシルクで作られたシルエットのたいへんに美しいローブデコルテ。2連にされたネックレスに合わせたハート形の首回りに少し長めの半袖で、華美に肌を露出されずミセスらしい装いになっている。
【19年5月 トランプ大統領夫妻来日、宮中晩餐会】
令和初の国賓、トランプ大統領とメラニア夫人をもてなす宮中晩餐会での装い。皇后として初めての晩餐会で、雅子さまはバラ模様のシャンティレースのジャケットに、体のラインに沿ったロングドレスで華やかな大人の女性の装いをなさっていた。珍しく金を基調にされたアクセサリー使いを。
【20年11月 祝賀御列の儀】
祝賀御列の儀に出発される両陛下。雅子さまは即位の礼の際のローブデコルテに、フロントに縁取りの三つ編みと淡いゴールドの花びらを飾ったボレロ風ジャケットをお召しに。第一ティアラとネックレスをおつけになり、全体のシルエットから皇后らしい貴賓が感じられる。
当初の予定では、イギリスへ訪問されたり、習近平国家主席を国賓としてもてなされたりするはずだった2020年。来年こそは、再び雅子さまの華やかなドレス姿を拝見できることを期待したい――。