(写真:時事通信)
23日、政府諮問機関「規制改革推進会議」の新議長に就任した株式会社KADOKAWA社長で、慶応大学特別招聘教授の夏野剛氏(56)。そんな夏野氏の過去の発言が大非難を浴びている。
菅政権における重要施策である規制改革。各メディアによると菅義偉首相(72)は同日の規制改革推進会議で「悪しき前例主義に捕らわれず、国民目線であるべき姿を考える」と意気込みを見せていたという。そんな中、白羽の矢がたったのが、デジタル業界に詳しく、これまでも同会議の委員を務めていた夏野氏だ。
しかし、夏野氏は7月に出演した『ABEMA Prime』で、東京五輪が無観客で行われることが子供の発表会なども無観客で行われていることへの配慮ではと唱えた別の出演者の見解に対して「そんなクソなピアノの発表会なんてどうでもいいでしょう、五輪と比べれば。だけどそれを一緒にするアホな国民感情に、今年選挙があるから乗らざるを得ないんですよ」と発言して大炎上したばかり。
ネット上では新議長就任発表直後から、子供にとっては大切な発表会を“五輪と比べればクソ”と断じた夏野氏の議長就任に対し、懐疑的な声が相次いでいた。
その流れで、夏野氏の過去の発言を問題視する動きが広がっている。渦中にあるのは、'13年1月3日に夏野氏がツイッターに投稿した《税金払ってないくせに格差を問題視する若者、将来に希望なし。》という発言。納税の有無と、格差を問題視する権利を関連付けたこの投稿には、当時から疑問の声が多くあがっていた。
発言当初、税金を払っていないと格差を問題視してはいけない理由をツイッター上で問われた夏野氏は《払っている人に依存しているからだよ。》とピシャリ。税金を払えない層こそ格差が問題になるのでは?との指摘には《日本に格差があると思ってること自体甘えだな。日本で克服できない格差を克服できる国が今どこにあるというのか。》と反論していた。
再度注目を集めたこれらの暴論に対し、同じIT業界の著名人たちからも続々と非難の声が上がっている。オープンソース開発者で作家の小飼弾氏は《若者の頃に消費税も払ってなかったくせに今ほど社会保障費も払ってなかったくせに双方とも払わされている若者を問題視するおっさん、将来に希望なし》と夏野氏の発言を痛烈に批判した。
また、クリエイティブディレクターで株式会社arcaのCEO・辻愛沙子氏は、夏野氏の発言を引用し《こんなことを悪びれもなく発信するような年配者が、曲がりなりにも責任あるポジションにつけてしまう事こそ希望なしだわ。》と、政府の人選のあり方に疑義を呈していた。
菅首相のいう“国民目線”とはどう考えても乖離のある発言ばかりの夏野氏の就任に対し、SNS上でも否定的な声が集まっている。
《岸博幸内閣官房参与といい、デジタル庁の伊藤穣一氏といい、何か世の中をとらえそこねている人事》
《税金を多く払っているのが、そんなに偉いのか》
《二代目竹中平蔵》
「夏野氏は’12年にも《年収400万円以下は事実上所得税払ってません。まさか消費税だけで税金払ってるとか言うなよ。》と投稿していました。当時は、税金の支払い額が少ない人は、社会に対して意見を言う資格がないと考えていたのかもしれません」(ITジャーナリスト)
日本経済新聞によると、内閣府幹部は夏野氏に対し「一貫して『とがった』発言をする人。世間への発信力も強い」と期待を寄せているという。夏野氏の“とがった”発言や発信力が、仇とならなければよいが――。