《精神的にもハードで38キロから33キロにやせちゃってね。太ろうと思ってもご飯が食べられなかったもの》
11月26日付の『夕刊フジ』のインタビューで“激やせ”したと告白したのは、芸歴67年となる女優・浅丘ルリ子(81)。浅丘は11月28日から放送が始まる舘ひろし(71)主演連続ドラマ『生きて、ふたたび 保護司・深谷善輔』(NHK BSプレミアム)の役作りで苦闘していたというのだ。
「今作で浅丘さんは息子を殺した元服役囚という難役に挑んだため、役になりきるのに予想外のストレスを感じていたそうです。悪態ばかりつく役が抜けず現場でイライラすることもあったそうです」(ドラマ関係者)
激やせの原因はハードな役作りだけではなかった。実は浅丘は撮影中も、ある病いと闘っていたのだ。
「昨年12月、出演した朗読劇の取材会で、浅丘さんは帯状疱疹に悩まされていると語っていました。ご本人が『この半年ほど弱っています』と話していましたから、昨夏に発症したようですね」(演劇関係者)
前出のドラマ関係者は言う。
「撮影現場ではフラつく浅丘さんを舘さんが優しくエスコートする一幕もありました。 それでも浅丘さんは撮了まで気迫の演技で乗り切り、まさに円熟の女優魂を見せていました」
■「60歳以上の15%は3カ月以上痛みが残り…」
帯状疱疹は、水ぼうそうウイルスが原因で起こる病気。強い痛みが出ることがあり、髪の毛や衣服が少し触れただけでも焼けるように痛む場合も……。中野皮膚科クリニック・松尾光馬院長は言う。
「帯状疱疹は、発疹が出る前に痛みの“前駆痛”というのがあり、その後4〜5日たって発疹が出るのが通常です。そして、症状が体の片側だけに出ます。これは大多数の日本人がかかったことのある水ぼうそうのウイルスの再発によるもので、それが帯状に固まって発疹となるのです。よく知られている激痛は、発疹が出ているときの最初の痛みでも起こりますが帯状疱疹後の『神経障害性疼痛』という神経が壊れてしまった場合でもみられます」
一般的には、50〜60歳代からかかりやすくなるという。
「加齢により免疫が落ちてくるなか、疲れやストレスが引き金になりやすい。だから特に50歳以上で多くなるのです。ほとんどの場合は軽症で済み、若い人は痛みを残さない場合が多いのですが、後遺症として先ほど言った神経痛や、まれに運動神経障害、顔面神経まひ、筋まひによって腹部がふくれる、腕が上がりにくくなるといった症状も出ます。
しかし、60歳以上の人の15%は3カ月以上、神経痛の痛みを残す人がいます。特に免疫不全の人などは帯状疱疹になると重症化する可能性が高まり、年単位でひどい痛みが出ることもあります」(前出・松尾院長)
ここ数年、ハイヒール・モモコ(57)やいしだ壱成(46)など、帯状疱疹を公表する有名人も増えてきている。
「モモコさんは3カ月間、口が開けられないほど顎の痛みに悩まされ、ソフトクリーム以外は食べられず10キロ体重が減ったそうです。発症から3年たったいまも神経痛に悩まされ、口の中の左側が痛くてかみづらいそうです。いしだ壱成さんも、帯状疱疹の後遺症として、顔面まひを患ったことをブログで告白していました」(医療ジャーナリスト)
■薬丸裕英も…コロナ禍で患者が増加中
今年9月にも薬丸裕英(55)が帯状疱疹を発症したと明かしていたが、昨今のコロナ禍により帯状疱疹の患者は増加しているという。前出の松尾院長が続ける。
「発症が増えているデータがあるのは事実です。理由として考えられるのは感染予防のために人との接触が減ったことで、ウイルスに対する免疫活性化の機会が減少したこと。また、コロナ禍のストレス増大により免疫のバランスが崩れやすくなったことも影響していると思います」
高齢者には重症化の恐れもある帯状疱疹。どう予防すればよいのだろうか。
「ストレスなく睡眠をよくとって健康的な生活を送れればいいのですが、現実的には免疫の維持は難しいので、いちばん確実なのは帯状疱疹のワクチンを打つことです。ワクチンは2種類あり、1つは1回打つだけでいいもの。これは5割ほどの効果があります。もう1つは2回打つタイプ。こちらは90%以上、防げます。8〜10年くらい効果が続きます」(前出・松尾院長)
実際に帯状疱疹のワクチンを打つ人は明らかに増えてきたという。
「神経障害性疼痛だと普通の痛み止めは効かないので、専用の薬を内服して治療します。 しかし、年単位で痛みが続くのはかなりQOL(生活の質)が損なわれるので、ワクチン接種のメリットは大きいです。特に免疫不全やがん患者、50歳を超えた人はワクチンを打ったほうがいいと私は思います」(前出・松尾院長)
帯状疱疹闘病に加え、役作りに苦心して5キロもやせた浅丘。いまの体調は大丈夫なのだろうか。映像関係者は言う。
「もともと浅丘さんはデビュー前から少食で体重はずっと30キロ台。ブランチと夕食の1日2食でご飯はほとんど食べず、小皿にメインとおかず2〜3皿を並べて少しずつ食べているそうです。『24歳のときがいちばん太っていて42キロだったの』と笑顔で話していたこともありました。
撮影が終わった今は、体調もだいぶ回復してきたそうです。長年の趣味であるアクセサリー作りもストレス解消になっているようで、仕事の現場でもよく共演者やスタッフにプレゼントしています」
浅丘のように80歳までには3人に1人はかかるといわれている帯状疱疹。50代からはワクチン接種も選択肢に、まずは免疫力をつけて重症化しないよう用心する必要がありそうだ——。