ふと体にできたプツプツ。ただの湿疹かと思っていたら、突然に激痛が! そんな症状をもたらす帯状疱疹は、50代の女性こそもっとも警戒するべき疾患ですーー。
「新型コロナウイルスが世界中を震撼させていますが、これからの季節、気をつけたいウイルスはほかにもあります。その代表例が『水痘ウイルス』です」
皮膚科医で、まりこの皮フ科院長の本田まりこ先生はそう警鐘を鳴らす。水痘ウイルスは、幼少時に水ぼうそうにかかっている人の体内にずっと潜んでいるもの。それが大人になってから「帯状疱疹」という形で発症することがある。
「体の一部に、最初にピリピリした痛みやひきつりのような違和感があり、日を追うごとに痛みの程度が強くなります。痛みが出始めたときは虫刺されのようなポツポツとした赤い点が、数日で水膨れになり、放置していると水疱がみるみる大きくなる。これが帯状疱疹の典型的な症状です」(本田先生・以下同)
子どものころのウイルスが、なぜ今になって悪さをするのだろう。
「通常は、私たちの免疫力が感覚神経の根元の神経節の中で、潜んでいる水痘ウイルスを抑え込んでいます。しかし、免疫力が低下するとウイルスが活性化し、神経を攻撃しながら皮膚の表面に水疱を作ります。神経系の痛みを感じるのも、ウイルスが神経を伝って活動するからなのです」
このように、帯状疱疹が発症する最大の要因は“免疫力の低下”によるもの。すなわち、免疫力を下げてしまう不規則な生活、ストレスの多い生活環境などがリスク要因となる。また、糖尿病や関節リウマチを発症している人は帯状疱疹が悪化しやすいので注意が必要だという。
「80歳までに3人に1人が発症するといわれていて、免疫力が低下しがちな50歳以上の女性の罹患者が増えているという調査結果も発表されています。帯状疱疹は進行が非常に早い疾患ですから、皮膚に異常を感じたら早急に医療機関を受診してください。痛みを感じた翌日には発疹ができ、2日もすればそれが水疱になります。それでも放置していると、水疱がどんどん大きくなり、どんどん赤みを増しながら広がります。ここまで進行すると治療をしても水疱の痕が残ってしまったり、場所によっては『帯状疱疹後神経痛』といって痛みが残ることもあります」
胸、脇腹、顔、首など、帯状疱疹が現れやすい部位もある。
「体の中でも特に免疫力が落ちているところに症状が出やすいと考えられています。明確な理由はわかっていないのですが、帯状疱疹は体の片側だけに出るという特徴もあります。たとえば左の乳房付近に帯状疱疹が出た場合は、左の肺や乳房に別の疾患を抱えているケースもあります」
50代以上の女性は最警戒を!
「女性自身」2020年4月21日号 掲載