(撮影:竹中圭樹/アーティストフォトスタジオ)
「速水は、やりたいことに向かって忖度なく、どんな手段を取っても突き進んでいく人。僕自身は、騙し騙されみたいなのが苦手で、なにか策を講じて行動するってことができない性質(たち)だから。彼のようなタイプはある意味うらやましいです」
そう話すのは、崖っぷちの出版社を舞台に雑誌の生き残りをかけた騙し合いバトルを描いた映画『騙し絵の牙』(3月26日公開)で、“人たらし”でミステリアスな編集長・速水を演じた大泉洋(47)。
原作のベストセラー小説は、大泉洋を主人公に当て書きした作品。しかし、発案当初は一抹の不安を感じていたという。
「企画を聞いたときに、ありがたい話だなと思ったんです。でも、それと同時に、もしその小説がつまらなかったらどうしようって心配しましたね(笑)。結果的に、ものすごく面白くしてくれたからいいけれども、始まったら逃げ道ないじゃん! っていうのは思ってましたね(笑)」
いざ映像化となり、実際に演じるなかで苦労したことが……。
「当て書きなのに『今の大泉さんっぽかったからNG』って言われるんですよ!ちょっとでも隙をみて面白い顔しちゃうとNG。会話の“間”だとか、僕っぽさが1ミリでも出たらNGになってましたね。結果、今まででいちばん僕らしさを出せなかった役になりました(笑)」
’20年、『日経エンタテインメント!』の「タレントパワーランキング」男優部門では1位に。好感度を維持する秘訣を聞くと、意外な答えが返ってきた。
「よく三度の飯より好感度が好きって話はしてるんですけどね(笑)。計算してるわけじゃなくて、僕の興味っていうのが、娘かゴルフか食べることしかない。好感度が上がるのは、テレビに出るとほぼ娘の話になっちゃうからですかね(笑)。ただ、妻が言ってましたよ。『パパはこれだけ娘の話してるのに、1回もベスト・ファーザー賞がこないね』って(笑)」
「女性自身」2021年4月6日号 掲載