アクションや人柄で、多くの人を魅了してきた千葉さんが旅立ってから1週間が過ぎた。しかし、その予期せぬ死は残された人々に波紋を――。
「オヤジは、“自分が死ぬ”なんてこれっぽっちも思っていなかったでしょう。いつも、『俺がやりたいことをやるには、あと80年足りない』と言っていましたから」
新型コロナウイルスによる肺炎のため急逝した千葉真一さん(享年82、本名・前田禎穂)のことを、“オヤジ”と呼び慕う俳優の若山騎一郎(56)は、千葉さんとの突然すぎる別れをこう振り返る。
初七日法要が営まれた8月25日には、千葉さんの長女・真瀬樹里(46)、元妻のA子さん、次男である眞栄田郷敦(21)ら近親者約10人が、千葉県君津市にある自宅に集まった。
「遺骨は、喪主の樹里さんが納骨までしばらく預かることになりましたが、四十九日まで誰かが焼香に来てもいいように、定期的に君津市の自宅に持ってくることにしたそうです」(千葉さんの知人)
千葉さんの“遺志”を継ぐように、長男の新田真剣佑(24)は、仕事のため渡米中で、父と最後の別れができていない。
「10月に予定されている真剣佑さんの帰国後に、改めて納骨の時期などを話し合うことになっています」(前出・知人)
だが、映画に情熱を傾け続けた千葉さんの人生には、常に“借金トラブル”がつきまとってきた。
■千葉さんの死後、自宅には借金取りが押しかけ…
「1990年に千葉さんは10億円の製作費をつぎ込んで監督を務めた映画は不入りで、負債は2億円まで膨らみました。さらに2008年に開校した俳優養成学校をめぐる金銭トラブルは訴訟にまで発展して、騒動の果てに3千万円もの借金を作るなど、どんどん膨らんでいきました。千葉さんは、総額で5億円近い借金を負うことになったのです。
1973年に結婚した野際陽子さんも、ご自身の私財や土地などを売らざるをえないほど、千葉さんの借金に苦しんで、1994年に離婚しています。現在は数千万円台までに減っていると聞きますが、『借金はもっとあるんじゃないか』と、関係者はみんな心配しているんです」(映画製作会社関係者)
実際に千葉さんが亡くなってから、“借金取り”たちが自宅に押しかけてきたという。
「千葉さんは交友関係が広く、また積極的に映画ビジネスに関わってきましたから、金銭関係の全容を把握している人がいない状況なんです」(千葉さんの知人)
さらに、真剣佑ら子供たちにとって、もうひとつの“騒動”が起きているという――。
「千葉さんが入るお墓について、親族にとっては“寝耳に水”の話が持ち上がっているんです」と明かすのは、千葉さんの後援会関係者だ。
「もともと前田家には、先祖代々のお墓が千葉県内にあります。しかし、千葉さんを支援してきたOさんという女性が、『生前に千葉さんと話して、もうお墓を購入している』と言うのです。
千葉さんは長男で、先祖代々のお墓があるなら、そこに入るのが筋だと思うんですが、Oさんは長く千葉さんを支えてきただけに、親族や関係者も困惑しているんです」(前出・後援会関係者)
8月20日、遺骨となって自宅に戻った千葉さん。そのとき位牌を抱いていたのは、Oさんだった。
彼女は、都内で飲食店などを経営し、チャリティイベントなどに携わってきた。彼女のSNSには、千葉さんもたびたび登場している。本誌がOさんに、“お墓を買った”件について聞くと――。
■親族に無断で墓建立した支援者が語った真相
「私が独断で、お墓を準備していたわけじゃありません。千葉さんご本人が、『あそこの寺がいい』と、東京都内にある寺を希望されたんです。そこで私が、その寺の住職を千葉さんに紹介したらお互いにすごく気が合ったんです。もともと千葉さんは別の宗派だったんですが、それをきっかけに改宗したんです」
Oさんは、千葉さんがその寺のお墓を望んだ理由をこう話す。
「千葉さんは、富士山が大好きでしたから……。そのお墓は、富士山が一望できる場所にあります。皆さんには、『千葉さんのご意向に従ったことをしましょう』と話しているのですが……」(前出・Oさん)
だが、千葉さんの愛弟子で、最期を看取ったJAC(ジャパンアクションクラブ)代表の西田真吾さんに尋ねると、「(墓のことは)まだ決まっていません」と話す。
千葉さんが急に天国へ旅立ったということもあってか、遺言書は残されていないという。
「少し前に会ったとき、オヤジはすこぶる元気で、『また映画を作る!』と言っていた人が、遺言なんて作っているはずがありませんよ」(前出・若山騎一郎)
新しい墓の建立を聞かされていたというのはOさんだけ。遺族たちは困惑しているというのだ。千葉さんのように急に亡くなり、遺言書などがないために、残された家族が困るケースは少なくないと話すのは、家族問題評論家の池内ひろ美さんだ。
「借金は相続放棄すればいいのですが、そうすると家などの不動産や遺品も相続できないので、“やっぱり放棄しない”と言って揉める、ということもあるんです。ですので、親は元気なうちから”エンディングノート”をつけておくことで、相続やお墓の問題などでトラブルを回避することができます。どんな親も、自分の死後に子供たちが揉めることは望みませんから……」
予期せず旅立った千葉さんも、混乱が長引くことはけっして望んでいないはずだ――。