車いすバスケの選手たちと懇談される天皇ご一家 /(C)JMPA
連日のメダル獲得に沸いた日本。一方で、感染者数の増加には歯止めがかからない。連日、1日あたりの感染者数が全国で1万人を突破する事態となり、パラリンピック開催が危ぶまれている。
天皇陛下は今回、オリンピックだけでなく、パラリンピックの名誉総裁にも就任されている。陛下は長年パラスポーツに関心を寄せられ、'18年6月には、今大会にも出場する女子マラソン(視覚障害)の道下美里選手の伴走者を務められた。
また、車いすバスケットボールの日本選手権は両陛下で3度観戦されている。'17年には愛子さまもご一緒だった。観戦後にはご一家そろって選手たちとご歓談され、愛子さまは「トレーニングはどうしているんですか」などと熱心に質問されたという。
天皇ご一家が観戦された'17年大会で優勝した宮城MAXの藤井新悟選手(43)に話を聞いた。藤井さんは現在、チームの代表兼ヘッドコーチも務めている。
「試合後に、上位4チームから4人ずつ、代表で歓談させていただく機会がありました。宮城MAXからは私のほか、今回のパラリンピック代表に選ばれた豊島英選手や藤本怜央選手も歓談に参加させていただきました。
皇后さまは『おけがなどは大丈夫ですか?』とおっしゃいましたが、本当に熱心に観戦されているので、激しいスポーツであることもよくご存じだったのだと思います。
『どのくらいの頻度で練習していますか』とのご質問も、私たちが仕事をしながら練習していることを踏まえて聞いてくださったのだと思います。いろいろな方から取材を受けていますが、両陛下はふつうの記者さんより車いすバスケにお詳しいと感じました。
チームには学生から社会人まで、年齢も職業もさまざまな人が所属しています。私は富士通コミュニケーションサービスという会社に所属し、職場の協力も得ながら平日に3時間、週末に4時間ほど練習しています。
両陛下に観戦していただくことで、私たちもより頑張ろうという気持ちになります。いいプレーを見ていただきたいという思いで、より集中できるのです。また、車いすバスケの認知度もかなり上がったと思います。観客も年々増えています。今回の日本代表チームは過去最強といっていいほどに強い。選手たちがベストを尽くし、それでいい結果が出れば最高ですね」
天皇陛下は、五輪の開会式当日、各国首脳らとの会見で、次のように述べられた。
《この大会が、わたしたちが平和と調和というオリンピズムの精神に改めて思いをいたし、その精神の灯火を未来へとリレーする大会となることを願います》
陛下は「平和と調和」という理念を、繰り返し強調されていた。忘れられかけているオリンピック・パラリンピックの“理想”が体現されることを、陛下と雅子さまは強く願われている――。