(写真:本社写真部/雑誌協会代表取材/宮内庁提供/時事通信)
雅子さま皇后3年目へ――豪華な装いを総ざらい! 「和ごころ光るドレスコレクション」と題して、ロイヤルファッションの中でも特に注目される華やかなドレスの“和の心”が麗しい装いのポイントを解説。解説してくれたのは、皇室をはじめ、セレブの装いにも幅広い知識を持つ石原裕子さん。
■ティアラを際立たせる「ローブ・デコルテ」
ローブ・デコルテは豪華なティアラやネックレスを際立たせるためのドレス。胸元や腕など肌の露出も多くシンプルに作られている。
【'93年】ご成婚
布地は金糸、銀糸を織り込んだ明暉瑞鳥錦(めいきずいちょうにしき)。ノースリーブと、ダイヤモンド形にカットされた胸元に新妻の若々しさが感じられる。
【'19年】即位後朝見の儀
半袖にハート型のVネックと皇后らしい落ち着きのあるドレスに、第一ティアラとネックレスを。
■細部に気品が宿る「ローブ・モンタント」
フォーマルな海外王室の式典では、ハイネックに長袖、ロングスカートで肌の露出を抑えたスタイルに。細かくあしらわれた刺繍やビーズで気品をプラス。
【'13年】オランダ王国即位式
シルクジャガードの光沢が印象的な布地。とても軽い素材で、歩くとスカートの揺れが優雅。共布のトーク帽で統一感を。
【'15年】トンガ国王戴冠式
ペイズリーをイメージさせるレースのドレス。花びらのようなデザインの襟、胸元の金糸、銀糸を使った刺繍でゴージャスに。
■宝石のような「海外ご訪問ドレス」
【'94年】カタール・ハマド宮殿
ルビーのような色合いのシルクに、胸元から腰、袖に鮮やかな金糸とベビーパールで立体的に入れられた刺繍が豪華。
【'94年】カタール・ラヤーン宮殿
雅子さまの誕生石、ターコイズの色合い。胸元と袖口に天から差し込む光のような飾りを。
【'94年】サウジアラビア・ヤマーマ宮殿
肩を膨らませた袖、裾にフリルを重ねたスカート、エレガントなブルーサファイアの装い。
【'95年】アラブ首長国連邦・ムシュリフ宮迎賓館
裾へ滝のように流れる左腰の大きなリボンが、ベビーピンクと相まって、女性らしさを演出。
【'95年】クウェート・バヤーン宮殿
和服の裏地に使われる紅絹色のドレス。白いショールを羽織られ、日の丸をイメージ。
【'95年】ヨルダン・ナドワ宮殿
金糸で花模様を刺繍した厚みのあるレース素材の左上半身。右肩から裾にかけてはサリーのようにサテンのシルクを重ねて。
■賓客をもてなす「晩餐会ドレス」
【'93年】東京サミット各国首脳
ご成婚の翌月、初の皇室外交の場でお召しになったアップルグリーンのシルクドレス。レースの花が飾られた繊細な作りで新妻らしく。
【'14年】オランダ国王
アール・デコ調のティアラ、ネックレスに優しい印象のドレスを。
【'15年】フィリピン大統領
レースの持つ繊細さを上手に演出。華美になりすぎない装い。
【'19年】アメリカ大統領
ニューヨークの州花・バラをあしらったジャケットで、令和初の国賓・トランプ大統領をおもてなし。
■雅子さま流、着こなしポイント5
ご成婚以来、雅子さまはカラフルな色のお召し物でよくお出ましになっていました。それが強く感じられたのが、ご成婚の翌年から天皇陛下(当時は皇太子)と2度訪問された中東諸国でのドレス姿。
このときの色鮮やかなドレスを、ご訪問先で見事に着こなしていらした雅子さまはとても素敵でした。それからお年を重ねられ、平成から令和への御代替わりとなる前、そして皇后となられてからの雅子さまは、優しい淡い色合いのドレスが多くなりました。
特に賓客のおもてなしなどでは、決して華美な装いはされません。けれどもその装いは一見すると無地に見える布地にも金糸、銀糸が織り込まれていたり、繊細な刺繍で装飾されていたりと、ミセスらしい落ち着きに優雅な風格をたたえているのです。
雅子さまのドレスには、よく見られる5つのポイントがあります。1つ目は、ハイネックやタキシードを思わせるウイングカラー。2つ目は、ふっくらとした肩から袖口に向かって細くなるレッグ・オブ・マトン・スリーブ。3つ目は、アシンメトリーに左腰に寄せたドレープ。4つ目は、左腰にボウで結んだリボンや飾り。5つ目は、滝のように流れ落ちるカスケードライン。
この5つの特徴がよく表れているのが、ご成婚後の饗宴の儀でお召しになっていた淡いオレンジのドレスでした。さらに、ドレスのスカートを着物のように重ねるデザインや地紋のある絹地からは、和のテイストが感じられます。
これは、日本のさまざまな伝統美を上手に取り入れていらした美智子さまの装いから引き継がれたものです。その和のこころを、雅子さまは独自のデザインで継承されています。
これからは華美になさらなくても格調の高い、皇后らしい装いが増えてくると思います。コロナ禍で賓客の接遇や外国へのご訪問がなく、新しいドレスを拝見できないのが残念ですが、今後が楽しみです。(石原さん)
「女性自身」2021年4月27日号 掲載