「最近、夫のLINEにストレスを抱えている妻は多いのです。LINEをしても返信がない、返信が来ても『はい』で素っ気ない。夫からのLINEは『今夜接待』『遅い』と単語だけでイラつく。その不満は夫婦関係の黄色サイン。放置しておくと家族崩壊につながることもあるので、早めの対処を」
そう話すのは、年間200組が駆け込む家族問題カウンセラーの山脇由貴子さん。新著『夫のLINEはなぜ不愉快なのか』(文春新書)では、豊富なカウンセリング経験をもとに夫婦のリアルな声を紹介。関係改善の秘訣を紹介している。
なぜ、夫のLINEは、妻をイラッとさせるのか?
「そもそも、女性と男性とではコミュニケーションの基本的なスタンスが大きく異なります。妻は、LINEでも共感を求めてコミュニケーションをとろうとしますが、夫は伝える必要が生じたときだけメッセージを送る『用件のみ』や『業務連絡のみ』の人がほとんどなのです」
これではコミュニケーションをとるのは難しいはず。さらにーー。
「女性の場合は、ふだんからママ友同士や職場での会話が多いうえ、そこでの人間関係もシビア。常に細かいところまで気を使いコミュニケーション能力を磨いています。一方男性は、仕事以外では用もないのにメールを送ったり、話したりすることが少なく、言葉のスキルを磨く機会がありません」
それならば、いっそのこと夫婦間でLINEのやり取りをやめてしまったらどうなのだろう?
「そのまま放置すると老後の夫婦生活が大変になりますよ。夫のLINEに妻がイラついている夫婦は、リアルのコミュニケーションもうまくいっていないことが多い。不愉快だからと、LINEさえしなくなってしまうと、関係はより悪化します。また、夫のコミュニケーション能力が低いままだと、退職後友人ができず、家にこもりがちになることも。その結果妻の外出を嫌がり、妻を監視するなどのケースも起こりえます。そんな生活を防ぐためにも、今のうちから、夫への“LINE教育”が必要です」
なかには、「6時に帰る」と送ってきたのに「7時になりそう」「やっぱり8時」とLINEが来るたびに遅くなっていったり、連絡がないまま、実際の帰宅時間が深夜になったりというケースも。
「男性には、希望的観測で最も早く帰れる時間を伝えてしまう性質があります。その裏には妻を喜ばせたいという心理が働いているのですが、妻が知りたいのは本当に帰ってくる時間。私の夫も最速の帰宅時間を伝えてきていましたが『いちばん遅くなる時間を教えて』とか『電車に乗ったときにLINEして』と言い続けました(笑)」
「晩ご飯、何にする?」「週末の旅行、どこに行く?」に対する、夫の「なんでもいいよ」も妻をイライラさせる。
「『なんでもいいよ』に妻がイライラするのは、夫から雑に扱われた気がするから。しかし、男性は『自分の気持ちは後回しでいいから、妻の気持ちを大事にしたい』と思っていることが多いのです。また、数あるメニューの中から夫が晩ご飯を決めるというのは、そもそも無謀なことでもあります。『ハンバーグとカレーどっちにする?』など、選択肢を示してあげると答えやすくなるでしょう」
LINEをきっかけに、夫とのコミュニケーションを改善して、夫婦円満な老後を手に入れよう!
「女性自身」2020年10月13日号 掲載