「彼との出会いは、2019年のクリスマスイブ。関西の行きつけのバーでした」
そう語るのは、兵庫県在住の40代女性、A子さん。彼女が出会った “素敵な男性” とは、日本航空(JAL)で機長を務める50代のX氏だ。
「私は航空ファンなので、パイロットは憧れの職業。すぐに意気投合しました」
そして、2人はその日のうちに肉体関係を結ぶことになった。A子さんには夫がおり、X氏には妻子がいる。許されざる恋が始まったのだ。
「彼は関東に住んでいました。私も出張でよく東京に行くので、その際に横浜の中華街などでデートしていたんです」
しかし、コロナ禍の影響で会う機会が減っていた2人の関係は、崩れ出した。
「私の誕生日の2021年5月には、シールなどの航空機関連のグッズを送ってきました。私はまるで子供扱いされているように感じて文句を言ってしまい、喧嘩になりました」
険悪な仲は修復されず、9月には大喧嘩に発展。A子さんは別れる覚悟を決め、「勝手にさせてもらう」とX氏に告げた。X氏はこの言葉を、A子さんがX氏との不倫関係を会社にバラすことだととらえ、解決金として100万円を手渡してきた。しかしその後、X氏は弁護士を通じてA子さんに金銭の返還を求めているーー。
ここまでなら、パイロットという立場とはいえ、市井によくある泥沼のダブル不倫。しかし、X氏はA子さんの機嫌をとるために、JALの利用者なら誰もがゾッとする、ある行動を取っていたのだ。
「9月中旬、Xさんが謝りたいということでLINEを送ってきました。本来なかったフライトの予定を無理やり入れたから、10日後に会ってほしい、というものでした。不倫相手と会うためだとは言えないでしょうから、会社に嘘をついたのだと思います」
本誌は、そのメッセージの写真も入手。X氏が “ねじ込んだ” 予定とは、まず伊丹空港まで行き、翌日に機長として伊丹空港から羽田空港まで操縦して帰ってくる、というものだった。
結局、X氏の提案した前日にA子さんは東京へ出張する用事があったため、2人は東京で落ち合い、同じ便で羽田空港から伊丹空港まで向かうことになった。A子さんはたんなる旅客として。X氏は、翌日の伊丹→羽田便の機長を務めるためだ。もちろんX氏は出張扱いで、伊丹へ向かう道中、機内で何かあった際に職員として活動する義務もある。
「伊丹空港でレンタカーを借りて、自宅まで送ってくれました。彼は翌日、“予定通り” 伊丹から羽田の便で機長として操縦したそうです。冷静に考えれば、彼は不倫のついでにフライトしたわけです。『私のため』と言われても、あまりに軽率だと思います」
わずか10日前に “私的な用事” でスケジュールを変更する。JALの元機長で航空評論家の杉江弘氏はこの行動を「ありえません」と批判する。
「今回の場合、本来の機長を務める予定だった方と交代したわけです。“スワップ” といいますが、これは多くの関係者に影響を与えるので、会社と事前に相談し、交代してもらうパイロットに根回ししておく必要もある。
X氏のように、突然交代してもらうのは、不可能ではありませんが異例です。しかもそれが不倫のためとはとんでもない。法律的には、飛行機のドアが一度閉まれば、首相が命令しても、機長の判断は曲げられません。機長はそれほど強大な権限を持っており、責任重大な仕事なんですよ」
JALにX氏の “予定変更” について質問状を送ったが、個人情報を理由に回答は得られなかった。そこで、直接X氏に電話で尋ねたところ、A子さんとの不倫関係についてはおおむね認めたうえで「伊丹への出張はもともとスケジュールで決まっていました。機嫌を取るために『あなたのために変更してもらった』とA子さんに嘘をついただけです」と弁明した。
「X氏の主張が事実だとしても、軽々しく嘘をつくべきではないでしょう。機長職は、家庭円満で精神的に安定していないと、務まりません。今回の事例が安全運航に即、影響したとは思えませんが、きちんと乗務するためにも自戒してほしいですね」(杉江氏)
X氏への取材後、弁護士を通じてX氏からA子さんに200万円で記事を掲載しないでほしいと依頼があったという。
「なんでもお金で解決しようとする姿勢にも失望しました。自分を見つめなおしたほうがいいと思います」(A子さん)
機長の責任感は、お金で買えない。
外部リンク