120試合と短い今季のプロ野球で、ベイスターズは24日までにほぼ半分の56試合を消化した。投手陣であえてマイナス面から挙げれば、守護神山崎がセットアッパーに回るのは計算外だった。
決め球のツーシームが見極められて、明らかに球威も足りない。原因は登板過多や本人が苦手とする夏の開幕などいろいろあるだろう。逃げ切る試合展開に持ち込むためにも、後半戦の鍵は山崎が復調することだ。
山崎の代わりにクローザーを務める三嶋はものすごく頑張っている。ビハインドの展開を含めてあらゆる場面で投げていた昨シーズンに比べて、調整の仕方、気持ちの入れ方が確立された。セットアッパーの時よりも明らかに投球内容はいい。
登板数はリーグ最多の27試合のエスコバーを筆頭に、ベイスターズの救援陣が上位をほぼ独占する。エスコバーと三嶋は昨シーズンも70試合を超えており、心配はいらないだろう。開幕直前に配置転換した石田も、21試合連続で自責点0と本当によくやっている。
先発陣では平良の成長が目立った。球種、投球スタイルは変わっていないが、コントロールは間違いなく良くなった。勝ち星を増やしながら内容もだんだん良くなり、いい意味で力が抜けてきたように映る。それは大貫にも言えること。マウンドではひょうひょうとしているけど、顔つきがしっかりしてきた。今永の5勝はそれくらいはやってくれないと困るもの。
首位巨人とは4・5ゲーム差と今は、ギリギリのラインにいる。巨人も決して先発ローテーションが固まっているわけではない。今永、平良の故障離脱は痛かったが、先発投手に試合をつくってもらいたい。2年目の上茶谷、いまだ3勝どまりの浜口にはもっと頑張ってもらわないといけない。先発ローテーションに今永、平良、上茶谷が戻ってきたら、巨人を追い掛けるだけの戦力が十分にそろうことになる。
のむら・ひろき
野球評論家、桜美林大野球部特別コーチ。大阪・PL学園高を経て、1988年から横浜大洋(現横浜DeNA)でプレー。93年に17勝で最多勝、98年には13勝で日本一に貢献した。2002年に引退。通算301試合で101勝88敗。広島県出身。51歳。
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