東京五輪の野球日本代表の稲葉監督は16日、東京都内で記者会見し、代表に内定した24選手を発表し、横浜DeNAからは山崎康晃投手(28)が選出された。
「誰よりも横浜スタジアムのグラウンドを知っている。日本のため、国の代表として、しっかり腕を振っていきたい」
ベイスターズからただ一人、「侍ジャパン」に選出された山崎は大きな挫折を乗り越えて、復活の階段を上ってきた。
6年目の昨季は0勝3敗、防御率5・68と不本意なシーズンを過ごし、プロ入り以来守り続けてきたクローザーの地位まで失った。「去年は非常に苦しくて、いろんな思いで球場に通っていた。五輪を考えられないくらい、自分のことでいっぱいいっぱいだった」と明かす。
2月の春季キャンプは初めて2軍スタートを味わった。東京五輪への思いを口にするのもはばかられるほどだったが、再び輝くために後ろは振り向かなかった。
150キロに迫る直球と鋭く落ちるツーシームを武器とした右腕が、投球の幅を広げるためにバットの芯を外す新たな球種を習得。開幕直前に1軍に合流してからは、セットアッパーとしてチームトップの31試合に登板し、3勝1敗、防御率2・08と安定感を取り戻した。
2017年夏の稲葉監督就任以来、全大会で代表入りを果たしてきた。19年の国際大会「プレミア12」では抑えとして初優勝にも貢献。指揮官からは「国際舞台の経験が豊富な彼にはリリーフ陣をまとめてもらいたい」と大きな期待を寄せられている。
「必ず負けられない戦いがそこにはある。リリーフは大事な要の部分で回ってくる。代表として恥じぬピッチングをし続けたい」。一度は諦めかけた日の丸のユニホームに袖を通し、本拠地ハマスタのマウンドで全ての力を解き放つ。
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