プロ野球開幕から1カ月、ベイスターズが借金を二つも抱えていることなんて、想像だにしていなかった。オースティンのけがは残念ではあったが、梶谷、ソト、佐野、宮崎は打率3割以上と好アベレージの選手が並ぶ。どういうふうにつないでいくか。ベンチの手腕が試されており、現状ではただ打つだけなので接戦に弱いのもうなずける。
「走らない」「送らない」「仕掛けない」ではそれも必然か。ベンチはリスクを背負ってサインを出さないとならない。
最初からできないだろうと諦めているのは選手に失礼。走者が戸柱のときは足が遅いからバントをしないという理由もあり得ない。バントはしっかり転がせば、だいたいはセーフになるもの。
19日の巨人戦でも二回1死一塁から平良にサインを出せなかった。試合後、ランエンドヒットを考えていたラミレス監督が「サインを知っているか、定かではなかったのでそのまま打たせた」と選手への不信感も口にしており、チーム内に不協和音が響きかねない。
投手起用でも19日の巨人戦は最終回に山崎が同点とされ交代させられてしまったが、守護神に対して、ベンチは「打たれたらしょうがない。お前に任せたぞ」という気概がなく、ただプライドを傷つけている。16日の中日戦で先発した中川も1回で降ろした。どれだけ悔しい思いをしているか。起用した若手を育てようというものも感じられない。チームが空中分解する手前まできているように映る。
こんな苦しい状況でも佐野が4番として、キャプテンとして奮闘する姿には感銘を受ける。ホームランが出なくて立場的にも苦しいとも思うが、気にせずにこのまま打席に立てばいい。あとは時間が解決してくれる。
あと94試合。首位とは5・5ゲーム差にまで広がった。チーム打率はリーグ2位の2割7分7厘で、防御率も3・62とこちらも2位と健闘している。それでも、この順位にいることを見つめ直さないと。去年からの失敗で得たものがないことになる。ラミレス監督の限界なのかもしれない。
たかぎ・よしかず
1971年にドラフト外で大洋(現横浜DeNA)に入団。プロ16年で957安打、102本塁打、463打点。87年に引退後、1軍の打撃コーチなどを歴任。98年には「マシンガン打線」の生みの親として、日本一に貢献した。愛川町出身。71歳。
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