三浦大輔新監督の下、23年ぶりのリーグ制覇を目指す横浜DeNAベイスターズが春季キャンプを終えた。「番長イズム」を吹き込んだチーム状況を振り返る。
2月21日、ロッテとの練習試合で三浦新監督が追求する攻撃スタイルが形となって表れた。
足を絡めて
六回に先頭の田中俊が粘り、四球を選んで出塁。直後に二盗を決めると、1死から中井の左前打で本塁へ生還した。終盤八回には宮本が単打を放つと、今度は敵失に乗じて一気に三塁まで進んだ。細川の内野ゴロに素早く反応してスタートを切り、本塁に滑り込んだ。
一連の攻撃について、三浦監督は「いつも安打を打てればいいが、難しいときはある。確実に点を取ることができた」と評価した。足を絡めて隙を突き、得点圏での一打で1点を奪う。新指揮官が目指すスモールベースボールを体現したからだ。
昨季はチーム打率、本塁打数でリーグトップも、得点数は3位にとどまった。超重量打線の長所を生かしつつ、効率的な野球でそのギャップを埋めようと、キャンプ中は機動力にこだわった。宮崎、佐野以外の全野手がバント練習に取り組んだのも、そのためだ。
盗塁は対外9試合で23回仕掛け、決まったのは8回。成功率は3割4分8厘と高くないが、12球団ワーストだった昨季の盗塁数を踏まえ、選手の意識は変わりつつある。「失敗しないと原因は見えない」と小池外野守備走塁コーチは積極的に走る姿勢を評価。指揮官も「続けないと、ものにできないと思っている」と失敗を繰り返しても、ゴーサインを送り続けた。
定位置争い
コロナ禍の影響で外国人選手が開幕まで間に合う公算は低く、現時点でレギュラーが決まっているのは左翼・佐野と三塁・宮崎だけ。そうしたチーム事情から、定位置争いは例年以上に激しい。巨人から移籍してきた田中俊は、走攻守で存在感を放った。これまで一塁ではチーム最多の4試合で先発出場。二、三塁でも起用されるなど、ユーティリティープレーヤーとしても欠かせない。
主に一、二塁を守るドラフト2位の牧(中大)は打力のみならず選球眼にも優れ、出塁率は4割を超える。チーム関係者は「四球を選べるのも長所。プロの直球に慣れれば活躍できる」と分析。捕手では4年目山本が打撃で成長を遂げている。
一方、センターは「決まらない状態が続いている」(青山ヘッドコーチ)のが悩みの種である。ここにきて神里が復調傾向だが、8年目の関根やキャンプ終盤に昇格した桑原がどう絡んでくるか。細川は状況に応じた打撃で成長の一端を見せたものの、持ち味の長打は鳴りを潜めている。
オープン戦は13試合。「開幕から逆算して勝つための野球をする準備もしないといけない」(同)と、シーズンを見据えた選手の絞り込みも本格化する。大砲のソト、オースティンを欠いた打線が9試合で放った本塁打は、佐野のわずか1本だけ。一段階上がる実戦を通じ、機動力野球の精度を高めていかなければならない。
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