来シーズン、最下位からの巻き返しを期す横浜DeNAの中心は若き2人が担う。佐野恵太外野手(27)は来季も主将を務めることが決まり、新人特別賞に輝いた牧秀悟内野手(23)は「2年目のジンクス」の打破に挑む。両者とも「優勝したい」と口をそろえ、決意をにじませる。
悔しいまま終われない
「チャンスがもらえるなら(主将に)挑戦したいという選択肢しかなかった」。佐野は3シーズン続けての主将就任に迷いはなかったと明かす。
三浦監督から打診を受けたのは秋季トレーニング中。指揮官からは「重荷になっていないか。大丈夫か」と配慮もされたが、すぐさま引き受ける意志を伝えたという。
「このタイミングできついからと辞めてしまうのは違うと思った」。強い決意の背景には過去2年間の悔恨がある。
主将を初めて担った2020年、首位打者とベストナインに輝いた。21年は個人タイトルこそ逃したが初の全試合出場を達成した。年俸は1億円を超え、選手として着実にキャリアを積んだ。
一方で、チームは20年が4位、21年が最下位。2年連続でBクラスに低迷し、心境に大きな変化があったという。「自分の成績だけじゃない。そう思えるようになったのは主将という役職に置いてもらってから。悔しいままでは終われない」
チームをけん引する立場となって3年目を迎える来季に向けて言う。「いいチームになっている。あとはいいチームから強いチームになるだけ」。24年ぶりとなるリーグ制覇、日本一の悲願に燃える星たちを、27歳が束ねていく。
1年目の気持ち忘れず
数々の新人記録を塗り替え、新人特別賞も受賞した牧。オフはイベントに引っ張りだこだったが、2年目に向け「100パーセントでやっていた1年目の気持ちを忘れないようにしたい」と気を引き締める。
鮮やかなルーキーイヤーだった。新人史上初のサイクル安打、セ・リーグの新人記録となる35二塁打…。シーズン終了後は球団新人選手として最高額の年俸7千万円(推定)で契約更改した。
広角に打ち分ける技術だけでなく、活躍の要因には地道な作業も挙げられる。相手投手の情報や対戦結果をノートに書き込む習慣を1年間続け、財産は3冊に上る。
華々しく光を放ったからこそ、周囲からは「2年目のジンクス」を懸念する声も自然と上がる。自身も「不安はもちろんある」と素直に認める。
それでも、首脳陣は心配していない。三浦監督は「徹底マークされた中で結果を残し、4番でも数字を上げた。間違いなく、さらにいい牧を見せてくれる」と絶大な信頼を口にし、石井野手総合コーチも「しっかり自己を持っている」と精神面を高く評価する。
牧は「2年目がすごく大事」とあらためて自覚を強くする。「後輩が入ってくる。自分でも引っ張っていけるように少しずつやっていきたい」
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