Q 文楽とは、どんなものでしょう。
A みなさんが江戸時代にタイムスリップしたと想像してみてください。テレビがない時代なので、ドラマやワイドショー、大河ドラマを人形劇で見ている、そんな感じです。だから大人向けのお話が多いのです。
Q 碩太夫さんのような「太夫」は、どんなことをしているのですか。
A 文楽のお話には、侍、お姫様、おじいさん、子どもなどいろいろな人形が出てきます。人形はしゃべりませんから、代わりに太夫がせりふを言うんです。それだけでなく、物語の背景や場面の様子などを説明するのも太夫で、三味線を弾く人と一緒に、音楽のようにして語っていきます。こういう音楽を義太夫節と呼びます。
Q いつごろから、太夫になりたいと思ったのですか。
A 中学2年のときに、初めて文楽の舞台を生で見たんです。子どもの頃、サークル活動で人形遣いをやったり義太夫節を聴いたりしてはいました。でも、すぐそばで文楽を見て、人形が本当に生きているみたいで、びっくりしました。それに、太夫さんの語りは迫力があって、圧倒されました。そのとき「これになりたい」と心が決まりました。
Q どうやって、太夫になったのですか。
A 文楽研修という国の養成制度があって、高校卒業後にそこに入りました。両親からは反対されていたので、高3の進路を決める時期は、けんかばかりしていました。研修は大阪だったので、一人暮らしをしながら通いました。
Q 不安はありませんでしたか。
A 好きなことができるようになって、「これからだー」という気持ちでした。いろいろありましたが、今は両親も応援してくれていて、とても感謝しています。
Q 初めて文楽を見るとしたら、どんな公演がおすすめですか。
A 大阪には文楽専用の国立文楽劇場があって、毎年、夏休み期間に合わせて特別公演があります。「舌切雀」など子ども向けのお芝居もありますが、中高生なら本格的な大人向けの演目もいいと思います。僕たちが語る声と、人形がどんな風に一体になるか、生で見てもらいたいですね。
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