前を向いて、有意義な時間に
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、多くの学校が臨時休校の措置をとるなか、中高生のみなさんは、それぞれの学びに大きな制約を受けています。いまは勉強する楽しさを見いだすのは、簡単なことではないかもしれません。でも、でも! 「エンスタナビ」というタイトルにはEnjoy Studying Navigation(勉強を楽しむことをガイドする)という意味がこめられています。中高生はいまの状況を受けとめたうえで、どのように次のステージに向かおうとしているのでしょうか。朝中高特派員に聞きました。(山田泉、編集委員・大島淳一)
映像授業やアプリ活用も
Aさん(千葉・中学2年)
休校で3年生を送る会などの行事は中止。卒業式は縮小され、今月末に予定されている離任式も生徒は参加できません。休校になると知った当初は「再開するまでゆっくり休もうかな」と考えていました。しかし、休校から2日が経つと「刺激がない生活に飽きてしまい、学校に行きたい、外出したい」と思うようになりました。
通っている塾では、休校中の小中学生は原則として来てはならないことになっています。自習室の利用も不可。質問などがある場合、保護者が塾に行って聞くか、電話でやりとりをします。
勉強について「学校での学習時間+塾での学習時間」をあてるように意識しています。学校や塾のワーク、塾の先生から休校期間中に進めるようにいわれたワークや資格試験対策が中心。毎日の生活もほぼ一定のペースで過ごすように心がけています。朝は午前7時ごろに起床して朝食。3時間ほど勉強してから昼食をとります。テレビをみたり、編み物をしたりして2時間ほど過ごしたあと、約3時間を勉強に。ちょっとした休憩(おやつ)をはさんでさらに勉強をつづけ、夕食や入浴をすませて午後10時ごろに就寝するといったサイクルです。Aさんは「4月から高校受験に向けた1年になるので、いまのうちに中1や中2の内容の復習に取り組みたい」。
自宅には小学1年生の妹もおり、Aさんが勉強しているときに妹が遊んでいることも。「意識が散漫になり、勉強の効率が下がるのが難点。(学校や塾のように)競い合い、高め合う環境がないのでやる気がわかないこともある」とAさん。一方で自宅にはインターネットの環境が整い、映像などを活用した勉強に取り組めます。「紙だけでは飽きてしまうので、勉強用のアプリなども活用するといいかも」
進学への気持ち、机を整理
Bさん(東京・中学3年)
Bさんは都立(公立)高校入試の合格発表をひかえた2月末、中学が休校になることを伝えられました。卒業するまでにテーマパークへの校外学習や、小学生との合唱交流などが予定されており、「楽しみにしていたことがたくさんあったので、すごくショックを受けた」とふり返ります。
高校入試の合格発表は休校期間中の今月2日。合格を手に入れ、春からの進学先(都立高校)が決まりました。
感染の広がりを防ぐための措置だからと理解しつつ、休校に対して悲しみや怒りのような気持ちがわいたこともありました。でも、いまは高校進学に向けて自分自身の気持ちを見直す時間ができたと受けとめています。高校に提出する書類について、ゆっくりと時間をかけて考え、ていねいに仕上げたことがその一例といえるかもしれません。
中学からは休校中の課題が1週ごとに出ています。卒業するまでの登校日に提出するリポートもあります。「でも、学校や塾での取り組みにくらべるとやる気が起きず、なかなかはかどらないのも事実」とBさん。よくわからないことがあれば、勉強が得意な姉(高校2年)や家族に質問するといいます。
高校入試から解放され、勉強との「距離」が少し開いたいま、Bさんは休校期間を使って友達との時間にあてたり、一日中読書に没頭したりしています。
その一方で春からの生活をきちんと視野に入れていることもこんな言葉から伝わります。「受験が終わったからといって机の上が汚くならないよう、毎日気をつけて掃除をしている」。高校に入学してからも使えそうな教科書や教材を選別したり、新しい教科書を入れるスペースを設けようと自分の部屋を片づけたりしたそうです。
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