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しいたけ.さん「夫婦・家族が持つ『守る・守られる』の機能は大切だからこそ、決断は慎重に」

2020年9月25日 19:00 AERA/photo・gettyimages

 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

【教育のプロが語る“コロナ離婚”の意外な原因】

*  *  *
Q:フリーランスで仕事をしています。旦那とは23歳で結婚し、かれこれ20年くらい一緒にいます。子どもも大きくなり、お互い空気のような存在。やんわりと「締め」の空気が流れ、息子が高校にあがる3年後に卒婚しようと話し合いました。息子も了承済みです。が、コロナもあり安定のためにもこのまま続けるべきか迷います。(女性/美容関係/40歳/いて座)

A:いて座は夫婦関係も、欧米型のパートナーシップ感覚に近い人が多かったりします。だからなのか、いて座から卒婚の話を聞くことは多いです。

 そもそも「結婚」や「家族」には二つの大きな側面があります。一つは愛情。お互い引かれ合って好きになり、愛情で結ばれる。もう一つが「機能」です。大人になるとやらなければいけないことが多くありますが、一人の人間には得意なことと不得意なことがある。それを一つの組織としてカバーし合って難局を乗り越えていきましょう、つらいことがあったら慰め合いましょう、というのが家族の「機能」の一つでもあります。

 10年や20年の長い間を家族として過ごした人同士は、信頼関係があり、友達に戻っても家族としての機能は残せるケースがあると思います。家族のうちは、法的な契約も含めてできないことがありますが、合意の上なら友達に戻ってもより家族の機能を強化できるかもしれない。世の中には離婚後のほうが仲がいいご夫婦も多くいらっしゃいます。

いて座は、恋愛関係をキープしたいという気持ちが結構強いように思います。生活を共にしてその人の現実面が全部見えてしまうと、テンションが下がってしまう人たちでもあるのです。

 卒婚は、今後増えていくだろうなと思います。今の時代に生まれてきてしまった僕らは、80代まで成長し続けなきゃいけないから。昔は40代である意味一線から退けたけど、今は80代まで毎年アップデートしないといけない。刺激がないとアップデートできない人たちもいると思うんです。いくつになってもガールフレンドやボーイフレンドがほしい、気持ちとして若くありたい。合意の上ならそういう生き方もありだと思います。

 ただし、なんですが。やっぱりコロナのこともあり、今は慎重に進めたほうがいい、というのが個人的な意見です。1カ月後がどうなるかわからない時代に我々は急激に突入してしまいました。収まってはいくだろうけど、やっぱり防衛機能は強くあった方がいい。自分の仕事は順調でも、パートナーや子どもが、いつ気持ちや心が折れてしまうとも限りません。そういう時に「守る・守られる」という二つの機能は、維持しておいてもいい気がするんですよね。

 友達関係とか夫婦関係を解消する、切るというのはいつでもできます。落ち着いたら切っていってもいいけど、こういう状況が続く限りは支え合う人も必要です。来年以降まで様子を見られてもいいのではないでしょうか。

○しいたけ./占師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気

※AERA 2020年8月3日号

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インフル×コロナ、「ツインデミック」への警戒強まる 感染予防のためにできること

2020年9月25日 19:00 AERA

 9月に入り、波はあるものの、新型コロナウイルスの新規感染者は一時期よりは減少したように見える。だが、コロナウイルスは夏よりも冬に流行することが多い。秋冬にかけ、新型コロナとインフルエンザの「ツインデミック」を警戒する必要がある。AERA 2020年9月28日号から。

*  *  *
「インフルエンザのワクチンはいつから打てますか?」

 成宗診療所(東京都杉並区)には、9月早々からこんな問い合わせが続々と入りだした。

「例年、インフルエンザワクチンの問い合わせは、杉並区から高齢者に対して案内が送られる9月末になってから。今年はずいぶん早い」

 と加藤章院長は言う。多くの内科系や小児科系の診療所やクリニックが似た状況にある。

 背景には、9月に入り「第2波」こそ収まったように見えるものの、いまだに新型コロナウイルスが収束しない状況がある。今後、日本も含めた北半球でインフルエンザの流行する季節を迎えなければならないことで、新型コロナウイルスとインフルエンザの「ツインデミック」が起こる可能性があり警戒が必要だ、と国内外の専門家が警鐘を鳴らしている。

 日本感染症学会も、両方が流行する場合に備えた委員会を立ち上げ、提言を出した。

■コロナは冬季に流行


 通常の風邪を引き起こすコロナウイルスは、夏よりも冬に感染が広まりやすい。ハーバード大学の研究チームが通常のコロナウイルスの流行パターンに基づいて予測したところ、新型コロナウイルスも、冬季に夏季よりも大きな流行を起こす可能性があるという。

 第2波が収束方向に向かい、イベントの人数制限は解除され、GoToキャンペーンには東京が追加される予定だ。5~8月にインフルエンザの季節を迎えた南半球の多くの国で、インフルエンザの報告がほとんどなかったというニュースも加わって、警戒を緩めている人もいるだろう。

 世界保健機関(WHO)によると、オーストラリアは昨年、5~7月にかけて調べた検体の2~3割がインフルエンザ陽性だった。ところが今年は、調べた検体数は昨年より多いのに、4月以降、インフルエンザ陽性だった検体はほぼゼロだ。南アフリカやチリでも同様だ。

 日本では厚生労働省が国内約5千カ所の医療機関のインフルエンザ発生状況を、毎年9月に入る第36週から調べる。今年の第36週(8月31日~9月6日)の報告は、岐阜県、大阪府、沖縄県から1件ずつ、合計3件だけだった。昨年の第36週は3813件。岩手、山形、島根の3県を除くすべての都道府県から報告があった。一昨年は338件だった。

 インフルエンザ発生が少ない一因として、新型コロナウイルスの感染予防対策の効果が考えられる。

「ウイルス干渉」の可能性を指摘する専門家もいる。2種類のウイルスに同時に感染すると、体内でウイルス同士の競合が起こり、片方のウイルスの増殖が抑制される、というのだ。

 だが、基本的な感染防止対策まで緩めるわけにはいかない。

 季節性インフルエンザの流行規模は、もともと新型コロナウイルスよりはるかに大きい。国内の感染者数だけで通常、1シーズン約1千万人だ。しかも、発熱など新型コロナウイルスと症状が似ている。

 規模が小さくても、ある程度、インフルエンザが流行した場合、医療現場などでは大きな混乱が起きる可能性がある。

 倉敷中央病院呼吸器内科主任部長の石田直さんは言う。

「突発的に高熱が出るといったインフルエンザに特徴的な症状が出るか、味覚障害や嗅覚障害が起きるといった新型コロナウイルスに特徴的な症状が出ない限り、症状だけからインフルエンザと新型コロナウイルスを鑑別するのは困難です。従って、インフルエンザが流行して感染者が増え、熱の出た多くの人が、新型コロナウイルス患者を診療する態勢の整っていない診療所や一般病院の外来を受診すると、大混乱が生じる恐れがあります」

■検査をする重要性


 石田さんが委員長を務めた日本感染症学会の委員会がまとめた前述の提言では、症状のみでインフルエンザと診断して治療を行うと、新型コロナウイルスへの感染を見逃す恐れがあるとして、原則として両方の検査を実施するよう推奨している。ただし、新型コロナウイルスの迅速診断キットは供給数が少ないので、地域の流行状況や患者の行動歴などを考慮して感染リスクが低ければ、まずインフルエンザの迅速診断キットで検査するという選択肢も紹介している。

 提言によると、新型コロナウイルスとインフルエンザの混合感染の報告はまだ少なく、重症化するという報告はこれまでのところ無いという。

 今年はインフルエンザワクチンの接種希望者が増えそうだ。

 日本や欧米などの6カ国の小児医療センター17カ所で3月下旬から6月末に実施された調査では、回答した保護者2422人のうち、昨季、子どもにインフルエンザワクチンを受けさせなかった1459人中418人(29%)が、今季はワクチンを受けさせると答えた。

 調査を基に計算した調査対象国全体における1~19歳の子どものインフルエンザワクチン接種率は、昨季の38%から今季は16ポイント高くなる見通しだ。また、保護者自身の接種率も昨季の41%から18ポイント高くなる見通しだ。

 国際調査チームの一員、聖マリアンナ医科大学の勝田友博講師(小児科)によると、国内の子どもや保護者の接種率も、昨季の6割程度から、今季は8割ほどに上がりそうだという。

「新型コロナウイルスのワクチンがまだできていないので、インフルエンザについてはしっかりとワクチンを接種して重症化を防ぎ、もし両方のウイルスが流行した場合の混乱に備えるしかありません」(勝田さん)

■時期をずらした接種も


 ただし、希望者が全員、ワクチンを接種できるかどうかはわからない。今季、供給されるのは成人量で6356万回分の見込みだ。

 加藤勝信・厚労相(現・官房長官)は9月11日、閣議後の会見で国民に対し、重症化リスクの高い人など、優先順位の高い人からワクチンを接種できるよう、時期をずらした接種などに協力を求めた。65歳以上の高齢者や、60歳以上で心臓や呼吸器などの基礎疾患がある人は10月1日から。10月26日以降は原則として誰でも接種できるが、日本感染症学会が強く接種を推奨している医療従事者や基礎疾患のある人、妊婦、生後6カ月~小学2年生までの子どもが優先的に接種を受けられるよう呼びかけた。

 厚労省はインフルエンザの流行に備え、新型コロナウイルスの診療体制などの見直しも始めた。現在は感染症法上、「指定感染症」になっており、感染が疑われる人は原則、入院することになっている。

 しかし、インフルエンザの流行で発熱患者が増えれば、見分けがつかないので疑い患者が増え、医療機関や保健所などがパンクする恐れがある。すると、本来なら救える患者が救えなくなってしまう。

■バカンスで再び拡大


 厚労省は専門家によるワーキンググループ(WG)を作り、指定感染症としての措置や運用について見直しの議論を始めた。

「無症状者や軽症者を含めて原則として入院とする必要があるかどうかも、議論するテーマの一つです」

 WGメンバーの一員、齋藤智也・国立保健医療科学院健康危機管理研究部長は言う。

 今すでに感染者の多い自治体では知事の権限で無症状や軽症の感染者らにはホテルなどの療養施設で療養してもらうところもあるが、全国的にそれが原則となる可能性もある。見直しの議論は月内にはまとまる予定だ。

 インフルエンザウイルスは地球上から消えたわけではない。バカンスの季節に人々の移動制限を緩和したフランスやスペインなどで最近、春の第1波を上回る新型コロナウイルスの感染が起きているように、ツインデミックを防げるかどうかは、個人の感染予防対策や、国際的な人々の往来、さまざまな活動の再開の仕方に影響される。

 前出の石田さんは、感染予防対策の継続を訴える。

「手洗いやマスク、3密を避けるといった新型コロナウイルスの感染予防対策は、インフルエンザをはじめとする様々な感染症の予防にもなるので、継続してほしい」

(ライター・大岩ゆり)

※AERA 2020年9月28日号

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バブル崩壊より打撃の観光業「GoTo」東京解禁に期待 一方で地方からは憤りや恐怖も

2020年9月25日 19:00 AERA

 新型コロナの影響で大打撃を受けた観光業にとって救世主といえるGoToトラベル。だが、地方住民からは感染拡大への不安の声も聞こえてくる。AERA 2020年9月28日号から。

【教育のプロが語る“コロナ離婚”の意外な原因】

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 慌ただしく始まったGoToトラベルの利用者は8月末時点で1300万人を突破。コロナ前の賑わいにはまだ遠いが、旅行業界を下支えしている。事実、関西圏のある老舗旅館も恩恵を感じている。従業員は言う。

「コロナが流行しだした3月ごろから、お客様の数が信じられないほど減ったのを目の当たりにしました。GoToが始まってからは常連の方はもちろん、初めて宿泊するという方も増えています。これを機にリピーターになっていただければうれしいし、東京が加わることでより多くの方に宿泊していただければと思っています」

■バブル崩壊より大打撃


 今回の東京解禁に合わせた、東京発着プランの予約解禁は18日正午。7月からGoTo適用のプランを打ち出している大手旅行会社の読売旅行では、この解禁日時に合わせたツアーも設定。新規旅行客を呼び込もうと意気込み、今回のGoTo東京解禁が旅行の後押しになると歓迎する。

 東京商工リサーチによると2020年上半期の宿泊業倒産件数は前年同期を140%上回る72件。これは、東日本大震災後の自粛の影響を受けた11年に次いで2番目に高い。今後も自粛が長引けば、それに比例して厳しい状況を強いられる事業者も増えていくことは間違いない。

 読売旅行の担当者は業界の苦しい実情を語る。

「今年の4月から8月まではほとんど休業状態で、先行きが全く見えない状態でした。9月以降、GoToもあり旅行される方は増えましたが、それでも厳しいのが現状です」

 昨今のインバウンド需要により、観光業は右肩上がりを続けてきた。だが、予想だにしなかったコロナ禍で訪日客は激減。国内旅行者も足止めを食らった。立教大学観光学部の西川亮助教は言う。

「かつてのオイルショックやバブル崩壊時にも観光業は落ち込み、その都度立て直してきました。ですが、今回のコロナ禍はその時以上のダメージを受けています」

 西川助教とゼミ生らが6月に学生745人を対象に実施したアンケートでは、8割以上がGoToを利用したいと回答した。

 9月の4連休は外れたが、紅葉シーズンを目前にした東京解禁。同時に、旅行代金の15%相当の「地域共通クーポン」も付与されるなど、菅新政権の肝いりともされる観光事業の後押しには力が入る。これを契機に、コロナ禍のどんよりとした閉塞感を打ち破ることはできるのか。西川助教はこう指摘する。

■段階を経て県またいで


「学生たちからは、安く行けるなら使いたいという声も聞かれます。また、GoToで浮いた宿泊代で食事や土産物代など現地での支出増につながったりするのかや、地域クーポンが実際に利用されるのかも重要です」

 今回のGoTo東京解禁を経済立て直しの端緒にしたいと思う人たちがいる一方で、感染拡大への不安から解禁に違和感を覚える人もいる。

「いきなり活性化するのではなく、まずは県内の旅行や飲食への補助をして、感染拡大しなければ県をまたぐシステムにしてほしかった」

 東京解禁に強く反対しているという長野県に住む女性(49)は憤る。この夏にGoToで押し寄せた観光客と接触を避けるために、女性は夏休み期間中も自粛する羽目になったという。

 都民の移動により、東京から感染が地方に拡大したり、東京に地方から旅行に行った人が感染を持ち込んだりすることに恐怖心を抱くのは、この女性だけではない。

「他県の人からは、大阪も東京と同じように思われているかもしれませんが……」

 そう嘆くのは、大阪府に住む女性(45)だ。もし東京解禁で感染がさらに拡大したら、「だから都会の人たちは」と、いっしょくたに批判されるかもしれない。

 旅行者たちが一番気にしているのは、旅先の住民の反応だ。西川助教らのアンケートでも、回答した学生の約95%が行き先を決める際には地域の意向を考慮したいとしている。だが、GoToを使って観光を推進したい国と感染対策を優先させたい自治体との意識差が生じるケースもあり、意向を考慮するにしても何を指標にすればいいのかがわからないという声もある。

【客室からの“非日常の光景”にドキッ、都心一等地の露天風呂も おススメ都内高級ホテル3選】

■握手より笑顔で会釈


「国や都道府県が推奨したとしても、最終的に影響を与える範囲は市区町村や特定の地区レベルです。まずは地元の事業者や住民の意識に配慮する気持ちが大事です。そして、旅行をするのであれば、基本的な感染対策はもちろん、むやみに住民と話さないなどの注意も必要になるでしょう」(西川助教)

GoTo事業への心配は、感染拡大だけでなく、その手続き業務に対してもある。東京に住む女性(57)は、7月末の旅行の際には混乱を感じたという。

「当時は東京は除外だったので、旅館の予約を一度キャンセルして、神奈川県に住む同行者に予約し直してもらったらGoToの対象になりましたよ。今は宿の予約の際に東京都かどうかで入り口が違いますが、当初は案内も不十分で、現場も混乱していると感じました」

 今回急きょ決まった「東京解禁」でも現場が混乱しないか、心配は尽きないという。

 ただ、「感染防止対策を十分に行ったうえでの経済活性化」は、旅行を含めすべての場面でいま求められている。観光庁はホームページなどで「新しい旅のエチケット」「新しい旅のルール」を公開。「握手より、笑顔で会釈」「おみやげは、あれこれ触らず目で選ぼう」などの標語を掲げている。

 旅先で出会った人に地域の伝統を教わったり、居酒屋で地元住民と話す時間も旅の醍醐味の一つだった。だが、コロナ禍の旅行ではしばしお預け。一人ひとりがコロナ禍を自分事として捉えながら旅することが求められている。(編集部・福井しほ)

※AERA 2020年9月28日号より抜粋

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「8割おじさん」のはち切れそうなシャツから妻が感じたサイン 西浦博<現代の肖像>

2020年9月25日 19:00 AERA

 新型コロナウイルスがどう広がるか、西浦博さんはデータ分析で闘ってきた。感染リスクを減らす対策は、経済に打撃を与える。専門家にしか言えないからと、「接触8割削減」を標榜する「8割おじさん」にもなり、42万人が死亡する被害想定も発表した。今は、徐々にデータも集まり、コロナの制御のめども立ってきた。第3波から命を守るために、エビデンスを積み上げる。

* * *
 新型コロナウイルスは、いま、どこで誰の体内に侵入しているのか。感染はどう広がり、いつピークがくるのか。誰もが痛切にそれを知りたがる。感染の動きが把握できれば、医療機関は重症者用のICU(集中治療室)や人工呼吸器などの量、導入のタイミングが読める。

 だが、見えない感染をビビッドにとらえる指標は、西浦博(42)が表舞台に立つまで日本にはなかった。被害想定すら示されてこなかったのである。

 2020年2月、西浦は北海道大学の研究室を出て上京し、厚生労働省で数理モデルを使ったデータ分析に着手した。横浜港に入ったクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号で集団感染が起きていた。船内でのPCR検査で陰性になり、14日間発症しなかった乗客を下船させた場合のリスク評価を求められる。厚労省内は国内に感染が広がるのではないかと緊張感がみなぎっていた。

「何人発症する可能性があるんだい」と厚労大臣の加藤勝信(64)が真顔で訊く(肩書は当時、以下同)。「この方法だと10人ぐらい発症します」と西浦は答えた。実際に下船後、発症した患者は9人だった。厚労幹部は数理モデルの確かさに「ほーっ」と溜め息をつく。

 2月下旬、省内にクラスター対策班が発足し、西浦にデータ解析が託され、北大の研究員10人が合流した。中国の感染データをもとに西浦は日本の流行ピークを4月と見通す。3月に入り「人と人の接触8割削減」を唱え、被害想定も行う。

 ほどなく数字をめぐる政府とのせめぎ合いが始まった。欧州ではコロナが猛威を振るい、重症者が人工呼吸器もつけられないまま次々に斃れている。西浦は基本再生産数(1人の患者が平均して直接感染させる人数)を欧州並みの「2・5」とし、8割削減のシミュレーション資料を政府の諮問会議に出した。ところが、知らぬまに「2・0」と感染力を低く見積もった数値に書き換えられていた。「この試算が表に出たら自分のものではないと公言しよう」と覚悟を決める。経済的打撃を嫌う政治家は「6割でどうだ」「だめなら7割では」と値切ってきた。西浦は突っぱねる。

■ストレスから体重増加 妻がそっとウェアを送る


 4月7日、首相の安倍晋三(65)は緊急事態宣言を出す会見で、「最低7割、極力8割削減」と幅をもたせた。西浦は「あくまで8割。すぐに休業補償をしてハイリスクの場所を閉じてください」と主張する。「8割おじさん」の誕生である。

 日本中の街から人影が消え、経済は真っ逆さまに落ち込んでいった。

 4月15日、西浦は記者意見交換会で「まったく感染対策をしなかったら、約85万人が重症化し、その約半分(約42万人)が死亡する」という被害想定を発表した。即座に激しいバッシングが起きる。

「国民への脅し、扇動」「現実離れした数理モデルは根拠が乏しい」「発言の責任をとれるのか」。官房長官の菅義偉(71)は「推定死者数は、政府としては公表していない」と火消しに走る。厚労省の説明によれば、非公表の理由は国民が推定値に怯え、パニックになるからだという。接触8割削減の方針は「過大な制限」と集中砲火を浴びた。政策決定したのは政府なのだが……。ついには「脅迫状」が大学に送りつけられる。

 札幌の自宅で、妻で医師の知子(45)はテレビに映った夫を見て、「まずいな。相当ストレスをためている」と気をもんだ。そして、洗濯した着替えを送る宅配便の箱にそっとジョギングウェアを入れた。体は正直だ。西浦は、医大生時代、体脂肪率を10%以下に保ち、トライアスロンのアイアンマンレースに何度も出場している。卒業後はマラソンに切り替えた。今年1月に出場したハーフマラソンは2時間少々で完走した。毎日、自宅から北大まで10キロのランニング、もしくは昼休み1時間のバイク漕ぎで体調を整える。体重は92~93キロをキープしていた。しかし厚労省庁舎と新橋のホテルを往復する日々である。「ストレスがたまると食べる」ことを知子は知っている。シャツのボタンは、いまにもはちきれそうだった。

 5月上旬、1日の新規感染者数は全国合計で二ケタに減り、8割削減の効果が表れる。西浦は、妻の「走って」という無言のメッセージを受け、皇居周回コースに出た。相変わらず、批判的なメディアもあれば、ツイッターに「#西浦寝ろ」のハッシュタグができて応援メッセージも寄せられる。西浦の予測を参考に重症者用ベッドと医療従事者を確保し、病院の医療崩壊を食いとめた医師からは、「ありがとう。今回ばかりは自分が殉職するかと思った。助かったよ」と感謝された。

 感染症の数理モデルの開拓者は、賛否の強い風を受けながら皇居の周りを黙々と走った。

 専門家集団のリーダーで、地域医療機能推進機構理事長の尾身茂(71)は西浦の存在感をこう語る。

「感染症は、とくに流行初期はわからないことばかりです。感染がどう起きて広がるかは、いわば神のみぞ知るところ。そこに近づくための大切な視点を西浦さんは提供し、貢献しています。ただ仮定の数値の置き方次第で結果は違う。絶対視はできません。そもそも感染症対策は、疫学情報だけで白黒つけられるものではない。人びとの行動変容や経済、社会のありようも関係します。その複雑さに耐えて判断していくしかないのです」

 西浦本人が、批判された被害想定をふり返る。

「42万人死亡の被害想定には、対策を立ててハイリスクの接触が減れば、数は大幅に下がる、がんばりましょうという励ましも添えるべきでした。伝え方の反省はあります。ただ、科学的なコミュニケーションで被害想定を公表しない国はありません。政府は上から専制的に制約を人びとに課すのではなく、リスク・インフォームド・デシジョン(リスクに基づく決断)に乗りだしてほしい。それで数字を発表したのです」

 接触8割削減については「あの緊急事態で日本は法的にロックダウン(都市封鎖)できなかった。スローガンを作って流行制御するしかない。専門家で僕しかその評価はできないのだから踏み込んだのです」。どちらも「まったく後悔していません」と西浦は言い切った。

(文・山岡淳一郎)                                             

※AERA2020年9月28日号から抜粋

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お魚の寿命ランキング1位はなんと最長500年! 真鯛40年・ウナギ70年を圧倒する謎の魚とは

2020年9月25日 19:00 AERA

 9月21日は敬老の日でした。我々日本人の平均年齢は、女性が約87歳、男性が約81歳となっており、女性の2人に1人は90歳まで生きると言われています。人生100年時代が現実のものになりつつあるようです。

 ところで皆さんは、魚の寿命について考えたことはありますか?

 魚の年齢は、ウロコや耳石などを調べることで推定することができ、一般的には、体の大きな魚は小さなものに比べて寿命が長い傾向があります。

 比較的なじみのある魚でみてみると、ワカサギやアユなどは平均寿命が1年程度と非常に短命です。

 寿司ネタとして有名なところでは、サバやイワシなどは7~8年程度、ブリやスズキ、マグロ、ヒラメなどは10~20年程度と言われています。イカやタコは非常に短命で、1年程度で生涯を終えるものが多くなっています。

 比較的長寿な魚としては、20~40年生きると言われている真鯛や、50~70年生きると言われているウナギなどがあげられるでしょうか。

 一般的に魚は、年齢が上がるほどサイズも大きくなると言われていますので、大相撲の優勝力士が掲げている大きな真鯛は、掲げている力士と同じか年上の30年近く生きている可能性が高そうです。

 ちなみに真鯛は大きくなりすぎると味が落ちると言われており、2~3年程度の30センチセンチ前後のものが脂の乗りと身の締まり具合のバランスがよくて美味と言われています。

 長寿のイメージが強いコイについては、一般的には50~80年程度生きると言われており、過去には200年以上生きたものがいるとも言われています。やっぱりとても長生きなんですね。

【台湾の寿司ネタランキングで圧倒的人気の魚】

 でもさらに信じられないほど長生きの魚がいるんです。主にグリーンランド周辺など北大西洋の冷海水域に生息しているニシオンデンザメです。

 一般的にサメの寿命は長く、ジョーズで有名なホオジロザメは人間並みの70年以上生きると言われていますが、ニシオンデンザメの寿命は桁違いに長く、平均で200年以上生きるようです。

 数年前には、なんと体長7・4メートル、推定512歳のニシオンデンザメが発見されています。

 今から約500年前と言うと、日本では室町時代の末期から戦国時代が始まる頃です。織田信長も豊臣秀吉も徳川家康もまだこの世に生まれていません。

 戦国の乱世からその後の江戸時代、明治、大正、昭和、平成そして令和と、地上での人間の営みとは関係なく、北極海の海底で人知れず過ごしてきたサメのことを考えると、日々のいろんなことがどうでもよく思えてしまいます。

 このニシオンデンザメは、地球上で最ものろい脊椎動物と言われており、通常泳ぐ速度は時速1キロ程度とのことです。

 サメなのに、こんなにのろくてエサを捕獲できるのかと心配になりますが、あまりに動きがのろいために、気づかずに近づいてきた魚を不意打ちで襲ったり、居眠りしているあざらしを襲ったりしているようです。冷たい海の中で、極めてゆっくりとした動きで、代謝も低いため、そんなに大量のエサが必要というわけでもないようです。

 さらに動きがのろいだけでなく、成長も遅く、1年に1センチ程度しか成長せず、性的な成熟も150歳程度と言われています。

 こうしてみると、ニシオンデンザメの生き様は、決して急がず焦らず、マイペースを貫く、究極のスローライフのようなものでしょうか。ちょっとあこがれる部分もありますね。

 今回は魚の寿命について書いてきましたが、いかがだったでししょうか。魚って意外と長生きだと思いませんか?

 くら寿司では、漁師さんに取っていただいた魚を、余すことなく100%活用する「さかな100%プロジェクト」に取り組んでいます。

 食べられる身の部分は、お寿司のネタのほか、中落ちやかまの部分もコロッケなどに使用し、骨や内臓といった食べられない部分も、魚粉にして、くら寿司で使用する養殖魚のエサの一部にしています。

○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2019年11月から、執行役員 広報宣伝IR本部 本部長

※AERAオンライン限定記事

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香取慎吾、即興とスピード感にワクワク 三谷監督の無茶ぶりも「コントっぽくて楽しい」

2020年9月25日 19:00 AERA

 9月に配信がスタートしたAmazonオリジナルドラマ「誰かが、見ている」は、香取慎吾×三谷幸喜の最強タッグによるシットコムだ。主演の香取さんが、撮影現場でのエピソードを語った。AERA 2020年9月21日号から。

【草なぎ剛「涙が止まらなかった」 現場で喰らった“フルスイングのビンタ”】

*  *  *
香取慎吾(以下、香取):1日だけ稽古して、次の日には本番っていう、その繰り返しでした。しかも稽古中に台本にない要求が三谷さんからあったり、逆にもともとあったセリフをカットして新しいものを足したりすることもあって。ようやく全体像が見えてきたところで、「じゃ、明日よろしくお願いします」みたいな(笑)。スピーディーですよ。

 劇中には、ポテトチップスやビールを床にぶちまけるといった「これぞシットコム」的なものから、ラジコンカーを操作して棚の隙間に入った小物を取るなど、動きで魅せるシーンが多数登場する。こうした動作も、初めから決まっていたわけではないという。

香取:トレーニングマシンの使い方がわからない女性(橋本マナミ)に、使い方を教えるというシーンがあるんですけど、三谷さんからは「本来の使い方ではない、舎人なりの使い方をやってみてください」と言われて、即興でやってみたりしました。「ここで足を上げると首がいい感じに締まるんで……」みたいな打ち合わせをしたりして(笑)。楽しかったですね。

 一発本番の舞台は「緊張するから苦手」と語る香取だが、シットコムは「コントに近いものが感じられて好きだ」と話す。

香取:それこそコントは、ウン十年とやってきたので。テレビのカメラ位置とか、感覚的に把握しながら動くのが好きなんですよ。そして、お客さんの反応を見ながら、難しいことに挑戦するのが好き。裏ではものすごい走ってるんですけど、さも走っていないように登場するとかね。そういうのはワクワクしますよ!

 香取が初めてテレビ番組に出演したのは、1988年のドラマ「あぶない少年III」で、わずか11歳だった。以来、「笑っていいとも!」や「SMAP×SMAP」など、平成を代表するエンターテインメント番組を通じて、笑いや演技の感性を磨いてきた。

香取:僕にとってテレビは、やっぱり「育ててもらった場所」。最近は、新型コロナの影響で家にいる時間が増えて、久しぶりに長時間テレビを観ていたんですけど、今まで当たり前のように出ていたテレビの中に自分がいないという事実に改めて気付かされた時間でもありました。同時に、とても恵まれた環境だったんだなと感じることもあって。

 いま、僕のユーチューブ動画は大体5人くらいのスタッフで作っているんですけど、企画を出すときに、ついテレビ番組と同じスケールで考えてしまうこともあります。でも、それは何十人、何百人もスタッフがいないと実現できないことだし、なので、どうすれば少人数でも面白い動画ができるのか、頭を捻りながら作っています。僕自身、楽しみながら作っていて、スタッフも若くてやる気があるので、つい遅い時間まで撮影しがちなんですけど、無理はさせたくないので「今日はもう大丈夫だから帰ろう!」と率先して声をかけるようにしています。

■視聴者と作りたい


 新しいメディア、新しい働き方の中で模索を続ける香取だが、活動の幅はより広く、自由度が増した実感がある。自身のユーチューブチャンネルでは、長年タレント活動と両輪で続けてきた画業の制作過程を公開。若手アーティストとの対談や楽器演奏、「歌ってみた」動画も披露し、豊かな創造性を発揮している。

香取:こういう動画のストックが、あと20~30本ぐらいあるんです。今後は、自分が好きなファッションについて語るコーナーや、視聴者のみんなと一緒にエクササイズできるコーナーも作りたいなと思っています。ただ、僕のユーチューブは基本的に本物の方に「なりきる」パロディーなので……(笑)。トレーナーを演じるとしたら、どんなキャラクター名にしようか、今考え中です。

(ライター・澤田憲)

※AERA 2020年9月21日号より抜粋

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【沖昌之】野球場のマウンドでドヤ顔の黒猫 ここは俺様のテリトリーだニャ

2020年9月25日 19:00 AERA/写真・沖昌之

 主に外猫を撮影し、猫の自然な姿をとらえた写真が人気の猫写真家・沖昌之さん。「今週の猫しゃあしゃあ」では、そんな沖さんが出会った猫たちを紹介します。今回は「夏祭りの神輿、担ぎ方はこうじゃないと!」をお届けします。

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 この子は野球場の近くをテリトリーにしています。お世話をする人にご飯をもらったあと、散歩をして、マウンドでゴロンゴロンするのが大好き。特に今の暑い時期は、ひんやりとしているベンチがお気に入りです。この日は、ベンチの下でゴロンと転がり始めて、鉄骨に手をかけたので、「かっこいいな」と思い、シャッターを切りました。おなかのモフモフとのギャップも好きです。見て、このドヤ顔!

【沖昌之】花壇で蝶と戯れる猫 ボクは花よりチョウチョがいいニャ!

<沖昌之>
猫写真家。主に外猫を撮影し、猫の自然な姿をとらえた写真が人気。写真集に『必死すぎるネコ』『明日はきっとうまくいく』など。インスタは@okirakuoki

※AERA 2020年9月21日号

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苦労人、パンケーキにうんざり 中身ない菅氏の報道繰り返すメディアの罪をたかまつななさんが指摘

2020年9月23日 18:00 AERA

 お嬢様キャラの社会派お笑い芸人として注目を浴び、慶応義塾大学卒業後、NHKに約2年半勤務し、現在は時事ユーチューバーとして活動するたかまつななさん。今回の総裁選でも現場での取材を続けたたかまつさんに、新政権の印象を聞いた。AERA 2020年9月28日号の記事を紹介する。

*  *  *
──たかまつさんは候補者の出馬会見などを熱心に取材されていました。

 有力者の思惑で決まってしまうのはある程度は仕方ないですが、今回は女性や若い候補者が一人も出てこなかったのが残念でした。記者会見で驚いたのは、質問する記者も男性ばかりだったこと。菅さんの出馬会見のとき、東京新聞の望月衣塑子記者の質問に菅さんはちゃかすように答えて、記者席の前に座っていた人たちからは菅さんにこびるように笑いが起きました。番記者を始めとした政治記者だと思います。私は望月さんの考えにすべて賛同しているわけではありませんが、非常に強い違和感がありました。

■ときめく言葉なかった

──会見が内輪の催しに。

 私が政治に興味を持ったきっかけは、政局ではなく社会問題を解決する手段として政治があると考えたからです。なのに、現場から見えた課題をぶつけることがあまり見られませんでした。今回は女性活躍や子育て、教育の話はほとんど出てこなかったのが驚きでした。菅さんの会見ではこちらがときめくような言葉もなく、総裁になってほしいとは思いませんでした。

──森友や加計など疑惑が数々起きた安倍政権は若い人たちにとってどう見えていましたか。

 そんな見方をするのは意識が高い感覚だと思います。多くは政治に興味がないと思います。自分が若者を代表していいのかは分かりませんが、「令和おじさん、かわいい」とか、その程度の感覚ではないでしょうか。

 一方で、第2次安倍政権の後半では大学入試改革や9月入学など学生の子たちがデモや署名活動をして政治を動かしたという現象もありました。私自身はNHKにいたこともあって責任を感じています。これだけ政治に無関心な若い人たちが動かざるを得ない状況を作ったのは、メディアの検証が機能しなかったからではないでしょうか。

──そのメディアの影響か、菅人気は突然、高まりました。

 私の不勉強かもしれませんが、菅氏が総理になるとは想像もしていませんでした。それにしても、世論調査の数字までなぜ急に変わったのでしょうか。明らかにPRのためと分かってテレビ番組に出演させて、厳しい質問をしないメディアの罪深さを感じました。「苦労人」や「パンケーキ」はどうでもいいです。菅氏が継承すると言っている安倍政権を検証することもなく、そうした報道を繰り返すメディアは本当にいかがなものかと思いました。

──それでも実際に菅政権が誕生しました。

 デジタル庁や不妊治療、携帯料金もいいですが、「この人でなければ」と思わせるようなこれからの日本のあり方を示してもらえなかったのは、とても残念に思っています。

(聞き手/編集部・小田健司)

※AERA 2020年9月28日号

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ものづくりは「評価」より「没頭」を大切に しいたけ.さんがアドバイス

2020年9月23日 18:00 AERA

 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:興味があることが多すぎて何事も中途半端です。一つくらいがっつり完成させたいと思っていますが、どうしたらいいでしょうか。ネイルを再開したいけど目が悪くなってきてます。人形などを作って売りたいけど、いまいち納得できません。などなど……。ありすぎて書ききれません。(女性/アルバイト/43歳/ふたご座)

A:趣味でもプロでも、ものを作る人や表現をすることには、ラインが二つある気がします。一つ目のラインが「没頭・納得」のライン。ものづくりに集中してそれに触れている時間が幸せで、気づけば数時間経っちゃった、っていう。もう一つが「評価・発表」のライン。二つともものづくりには大事なんですが、今の時代、二つ目の「評価・発表」が重視されすぎじゃないかと思うんです。絵を描く人がツイッターにあげて、いいねがあんまりつかないと落ち込む。そういう話はよく聞くし、相談も結構多いです。

 ものづくりをする人が中途半端じゃなくやりたいと思ったら、やっぱり前者の「没頭」のラインを大事にしたほうがいい気がします。

 具体的にどうするべきか。僕の意見ですけど、始めてから半年ぐらいは他の人の作品を見ない。自分が今レベル5だとして、レベル10の人の作品を見てしまうと、よっぽど根性が据わっていない限り気落ちします。それよりもでき上がった自分の作品を何回も見て、例えばここの輪郭の描き方はうまくなる可能性があるなって、自分の作品だけに打ち込む。どう膨らませるか、どう削るか、自分の作品を見つめる時間に、楽しさや幸せがあるはずです。評価を焦りすぎなくて大丈夫です。

 中途半端に終わってしまう人や切り上げちゃう人は、心のツッコミが強すぎるような気がするんですよね。「何やってんの、私」という自分へのツッコミ。ふたご座もその傾向があります。没頭して一つの作品を作り続けられる人は、ツッコミは保留して、ちょっと路線がずれてしまってもやり続けることができる。

 例えば「ヒマワリの絵を描く」という課題があったとします。そのとき、ヒマワリの隣にいるトカゲの絵を描いちゃった人がいて、途中で「あ、課題はヒマワリだった」って気づくんだけど、「でもトカゲ楽しいからこのまま描いちゃえ」ってトカゲの絵を完成させる。課題の評価は0点かもしれないけど、完成させたという意味で、絵描きとしては一歩前に進んでいるはずなんです。没頭や集中の時間が長いほうが成功の確率はおそらく高いと思います。

 それでお伝えしたいアドバイスなんですが、まずは日々の中で「今日はいい没頭をした」という時間を増やしてみてください。例えばメロンを食べる時は、メロンにとことん集中する。20秒でいいから「メロンだけおいしく食べた」っていう幸せ感と共に没頭する時間があると、のちのち作品にもつながると思います。

しいたけ./占師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気

※AERA 2020年9月21日号

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コロナ禍で初のパラ陸上日本選手権、感染恐れ出場見送りの選手も…来夏の「TOKYO」開催占う試金石に

 来年の五輪・パラリンピックへの試金石となる第31回パラ陸上日本選手権が無観客で開催された。入念に感染対策が取られる中で記録は好調。一方で、課題も見えてきたという。AERA 2020年9月21日号では、コロナ禍でのパラ陸上日本選手権を取材した。

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 コロナ禍でスポーツ大会の延期や中止が相次ぐ中、9月5、6日に日本パラ陸上競技選手権が開かれた。日本選手権レベルの開催は健常者大会を含めても緊急事態宣言後初で、来年の五輪・パラリンピックに向けたモデルケースに、と注目された。

 埼玉県熊谷市で行われた大会では、注目の女子走り幅跳び・中西麻耶(阪急交通社)がアジア新記録を出すなど、世界新1、アジア新8、日本新17が生まれた。主催した日本パラ陸上競技連盟内部でも開催に慎重な意見があったが、走り高跳びの鈴木徹(SMBC日興証券)らアスリート委員から「やってほしい」と要望が出されたことが開催を後押しした。

■取材はアクリル板ごし

 障害がある選手の中には感染した際の重症化リスクが高い選手もいるため、感染予防対策として、選手や競技役員、メディアなど会場入りするすべての人に大会の2週間前からの体調管理と検温を義務付けた。選手らにはアルコール消毒液を1本ずつ配布し、選手が共有する用具はスタッフが消毒した。密を避けるため競技役員やボランティアを3割減らした。

 取材現場も様変わりした。記者は各社2人までと制限され、密になりやすい試合後の囲み取材は記者会見スタイルに。選手の前にはマイクとアクリル板が置かれた。取材対象選手は各日6~7人と制限され、重症化リスクの高い選手は取材が見送られ、コメントが提供された。カメラ取材も原則としてグラウンドへの立ち入りは禁止され、投てきや跳躍などフィールド競技は代表者のみが近くで撮影し、各社に提供する形がとられた。

■今後は観客の有無焦点

 大会は無観客で行われた。これまで観客の手拍子で自らを奮い立たせてきた走り幅跳びの山本篤(新日本住設)は、5回目の跳躍の前に手拍子を求め、観客席にいた関係者数人が応じた。山本は「意外と少人数でも響いた。ファウルになったけど、手拍子があるとすごく気分が乗りました」と振り返り、「うまくやれば十分観客を入れてもできると思う」と運営側の判断に疑問を呈した。

 これに対し、パラ陸連の三井利仁理事長は「来年のパラリンピック成功に向け、エビデンスを求めるための第一歩。全てをやると問題点がどこなのか見えなくなってしまうので、まずは競技に集中したかった」と、無観客にした理由を説明。観客の有無は今後も焦点になる。

 記録続出で、選手が自粛期間中も工夫して練習を続けてきた様子がうかがえた。パラ陸連の増田明美会長は「これだけの記録が出たのは選手のありがとうの気持ちの表れ」と話し、選手からも開催への感謝が語られた。

 一方で出場を見送った選手や欠場した選手も多数いた。「感染を恐れて参加を見送ったとみている」と指宿立強化委員長。日本知的障がい者陸上競技連盟の奥松美恵子理事長は「単独で行動できない選手も多く、保護者が福祉や介護の仕事をしていて遠征に連れていけないことがある」と話し、介助の必要な選手がいる障害者スポーツならではの課題も浮き彫りになった。

 来年夏に向け熱中症対策も焦点だ。素早く体温を下げるアイスバスを初めて設置し、1人が利用した。パラ陸連強化委員会の上條義一郎・暑熱対策専門員は「障害の影響で汗をかきにくかったり、水分摂取を制限したりする選手もいる。障害は多様なので個別の対応が必要です」。

 開催できたからこそ、課題も見えてきた。経験を積み重ねた先に来年の成功がある。(編集部・深澤友紀)

※AERA 2020年9月21日号

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