cat_1_issue_oa-aera oa-aera_0_r6wse7ombhpz_教育のプロが語る“コロナ離婚”の意外な原因 「子育ての軸」を持たない夫婦は弱い r6wse7ombhpz r6wse7ombhpz 教育のプロが語る“コロナ離婚”の意外な原因 「子育ての軸」を持たない夫婦は弱い oa-aera 0

教育のプロが語る“コロナ離婚”の意外な原因 「子育ての軸」を持たない夫婦は弱い

2020年9月4日 18:00 AERA/photo・istock

 新型コロナウイルスの影響で長く続いた自粛生活。この期間に、家庭でもいろいろな問題が起こりました。花まる学習会代表・高濱正伸先生は、「今こそ夫婦で話し合いを」と言います。それはどうしてでしょうか?「AERA with Kids秋号」で紹介している、高濱正伸先生の誌上セミナーの一部を公開します。

「消毒しない」「旅行したがる」能天気な夫…妻との“コロナの意識差”で家庭不和に

*  *  *
 今や人生100年時代と言われています。テクノロジーもどんどん進化しているし、環境も変わるし、今回のコロナのような思いもよらないことも起きる。今の子どもたちが大人になる10~20年後にどんな世界になっているか、どんな職業が「食っていける」のか、そんなものは誰にもわからない。これからの人生に正解はないんです。

 正解はないからこそ、大切になってくるのは、やはり家庭のあり方だと思うんです。そして「わが家はこれでいこう」という軸が必要になってくる。

 新型コロナウイルスの影響で長く自粛生活が続いてきたこの期間に、家庭で起きたことのひとつに夫婦関係の変化がありました。いわゆる“コロナ離婚”と言われる問題が、ゴロゴロ表に出てきました。

 ところが逆に、仲が良くなる夫婦もいたんです。夫婦関係はもはや二極化したと言ってもいいくらい、はっきりと運命が分かれました。

 “コロナ離婚”といっても、実はコロナのせいじゃない。離婚に至る原因でいちばん多いのは何だと思いますか?

「常識の違い」なんだそうです。

 食事など普段の生活のマナーもそうだし、人に対する礼儀とか「当たり前のことが、なんでできないの?!」とか「これが当たり前の考えだと思っていたのに何でこうも違うの?」とか。「常識の違い」から湧く怒りは根が深い。ふだんは見て見ぬふりができていたのに、このコロナの非常事態で「バーーン!!」て爆発しちゃったんですね。

 そもそも違う家で育った二人が夫婦になって子どもを持ったら最初にやるべきことは、家庭内の常識を一致させること。どっちの家に従うってことではなくて、子どもを含めた新たな家族の、新しい常識を作るんです。

 それをしないと子どもが赤ちゃんの頃はいいかもしれないけれど、子どもにしつけが必要になったとき、進路を決めるときになったとき、方向性がブレブレになってしまう。

 例えば、父親は地方の公立校出身で母親は中学校から私立に行っていたりするケース。母親は当然中学受験をさせたいと思うけれど、父親は「私立なんて行く必要はないだろう。会社だって役職につくのは公立出身者が多いし」と言ったり。それに対して母親は「やっぱり中高一貫行くと勉強の環境がよくて、いい仲間もできるよ」と言ったりする。

 まさにそれが常識と常識のすれ違い、ということです。私も進路指導をしていたとき、夫婦の意見が一致しない家庭を山ほど見てきました。

 それまでにきちんと話し合うことをしてきていないと、一方的に「俺はこう思う」と自分の常識だけを主張して、それが正しいと疑わなかったりする。すり合わせなきゃいけない、ということすらわかっていない。そうなると、「あの人には言ったところでムダ」となり、ますます話し合いから遠ざかる。だんだん亀裂が深くなると、もはや話し合うこと自体がムリ、という恐ろしい将来になってしまうのです。

 今まで夫婦で話し合いをあまりしてこなかった人にとってはとても耳の痛い話かもしれません。

 でも、今からでも遅くない。むしろ今こそ話し合いのチャンスだと思うんです。このコロナの時代だからこそ、話し合うべき問題が新たに出てきている。例えば今後もコロナが収まらなかったとき、学校は今まで通り行かせるのか、休ませるのもありなのか。塾や習い事の合宿などは出席させるべきか、否か、とか。危機的状況こそ話し合いのチャンスだと思います。

 とはいえ、夫婦の話し合いは難しいのも事実。

 たとえ結婚して、同じ家に住んでいても男と女は完全に分かり合うことはできない。だからといって完全に諦めるのではなく、無理に合わせるのでもなく、まずは「そういうものだ」とお互いに認めることが大事。

 つまり夫婦で意見が違うなら違うで、相手はどうしてそう考え、行動するのかを考えてみる。相手を否定する前に異性の言動の特徴を知ったり、自分を客観的に見てみるようにしてください。この二つがあるだけで夫婦のコミュニケーションはグンと高まります。(構成=AERA with Kids編集部)

※「AERA with Kids秋号」から

外部リンク

cat_1_issue_oa-aera oa-aera_0_j0hbm9jrhb6l_浜辺美波 好物は意外と渋い海産物 俳優として憧れるのは原節子! j0hbm9jrhb6l j0hbm9jrhb6l 浜辺美波 好物は意外と渋い海産物 俳優として憧れるのは原節子! oa-aera 0

浜辺美波 好物は意外と渋い海産物 俳優として憧れるのは原節子!

2020年9月4日 18:00 AERA

 今夏に主演ドラマ「私たちはどうかしている」の放送を控える浜辺美波さんがAERAに登場。ドラマや映画など話題作への出演が続く浜辺さんが現在の活動にかける想いを語った。

*  *  *
 リラックスした様子で、スタッフとあいさつを交わした。撮影中、食べたいものを尋ねられ、「もずくとお刺し身」と即答した。意外と渋い。

 2011年、11歳でデビューした。映画「君の膵臓をたべたい」(17年)をはじめ、「センセイ君主」(18年)、「賭ケグルイ」(19年)など、近年は話題作への出演が続く。夏には、横浜流星とW主演を務めるドラマ「私たちはどうかしている」が控えている。

 新型コロナウイルスの影響による外出自粛期間中は、家でのんびり過ごした。

「アニメや韓国ドラマの『愛の不時着』を観たり、お料理が好きなのでネットで検索して作ってみたり。あと、ミサンガ編みにもハマっています。まだ一つも完成してないんですけどね(笑)」

 20歳を迎える前に、落ち着いて考える時間ができたことは、「これからの自分のためによかったと思う」と言う。

 久々に「君の膵臓をたべたい」を観て、考えたことがある。

「たった数年前の作品ですけど、いまの自分とは別人かと思うほど違って見えて、あの年齢のあのタイミングでしか、たくさんの人に刺さる作品にはならなかった気がして。私にとっては奇跡のような作品だったと改めて感じました」

 事務所に入ったころ、「わが青春に悔なし」(1946年、黒澤明監督)を観て、原節子の姿に心を奪われた。

「すごくきれいで、モノクロなのに瞳が輝いて見えて、『これが真ん中に立つ人の姿なんだ』と思ったのをよく覚えています。そういう、人を惹きつける魅力のある人になりたい。まだまだ未熟なので、先輩方の背中を見ながら、いまの年齢だからこそできることをやり尽くしたいです」

(編集部・藤井直樹)

※AERA 2020年6月29日号

外部リンク

cat_1_issue_oa-aera oa-aera_0_onfbxhb7cr9j_キンプリ岸優太が今欲しいものは「貯金の数字」に込めた意味 メンバーは爆笑! onfbxhb7cr9j onfbxhb7cr9j キンプリ岸優太が今欲しいものは「貯金の数字」に込めた意味 メンバーは爆笑! oa-aera 0

キンプリ岸優太が今欲しいものは「貯金の数字」に込めた意味 メンバーは爆笑!

2020年9月4日 18:00 AERA

「みんなで楽しめる場所」という意味が込められたセカンドアルバム「L&」を9月2日に発売するKing & Prince。小中学生向け月刊誌「ジュニアエラ」9月号は、彼らにアルバムのこと、今、欲しいものなど、いろいろな話をインタビューした。

【キンプリ平野「食っちゃ寝」】

*  *  *

――1年2カぶりにアルバムが発売になりました!


平野紫耀 うれしいですね~。アルバムを聴いて、みんなに元気になってもらいたいという思いを込めて作ったので、少しでもハッピーになってもらいたいですね。

永瀬 廉  「&LOVE」をはじめ、いい曲ばっかりですからね。このアルバムの中から一番好きな曲を決めるの、すごく難しいと思います。

神宮寺勇太 タイトルにも、このような状況だからこそ、僕らとファンのみなさんで楽しめる場所を作ろう、という思いがこもっています。「ランド」を「L&」と表記するアイデアは海人と僕で考えたんだよね。

高橋海人 そう。言葉遊びをしたいなと思って。「L&」だと、いろいろな含みも持たせられますからね。ジンに電話して「こういうの思いついたんだけれど、どう?」「いいじゃん、いいじゃん」みたいな感じでどんどん決まって。すごく楽しかった。

岸 優太 そういう素晴らしいアイデアを出してくれる仲間がいるので、僕は本当に助かっています(笑い)。ぜひ聴いていただいて、ライブのときはどうなるのかなとか、想像を膨らませてほしいです。楽しんでいただけたらなと思います。

――タイトルにちなんで「今、お気に入りの場所」は?


神宮寺 う~ん……前はみんなと一緒にくだらないことを言い合ったり、ゲームをしたりする楽屋がお気に入りの場所だった気がするけれど……。最近は、新型コロナの影響でバラバラなんですよね。

高橋 そうなんだよねぇ。あ、そんなジンにおススメのものがある。僕、先週ハンモック買ったんだけれど、すごくリラックスできるよ! ま、場所もかなり取るけれど、本当にみんなにおススメしたい。

平野 いいね。でも、俺はトイレかな。なんか落ち着くの。あたたかいし、便座が。狭い空間が好きで、前にもハマったんだけれど、2回目のブームが来ています。

永瀬 俺はベッドの上ですね。落ち着くし、一日をリセットするという意味でも好き。仕事がなかったら、朝起きた後でも1、2時間はベッドの上で過ごしています。

岸 俺は、やっぱりLAっすね~。

永瀬 やっぱりって(笑い)。

岸 まだ2、3回しか行ったことがないですけれど、湿気がなくてカラッとした空気感が最高で。コロナが終息したら、絶対また行きたい! 

――デビューから振り返って、大失敗したことやピンチだった思い出は?


岸 デビューが決まって最初の取材に遅刻したことは忘れられない大失態ですね。言い訳させていただくと、渋滞に引っかかってしまったのですが……着いてすべての人に謝って。みんな笑って許してくれましたけど、あれは一生忘れないと思う。

神宮寺 俺はもう、失敗の連続ですよ。コンサートが終われば、もう少しこうしたほうがよかったなぁとか反省することばかりだし。でも、それをメモに残したりして、その失敗がいつか成功のもとになるとポジティブに捉えるようにしています。

高橋 ライブと「ブラック校則」の撮影が完全にバッティングしたときはピンチだったな~。ライブでも覚えることがたくさんあるなか、セリフ量がすごく多いんですよ。どうやって乗り越えたか? もう、気合のみ! でも、大変な環境を楽しんでいるところもありましたね。

平野 う~ん……俺、覚えてないんだよなぁ。忙しいからとかではなくて、基本、昨日食べたごはんとかも覚えていない(笑い)。俺の体が、昨日のことはもう考えるなという作りになっているんだと思います。

永瀬 俺も一緒ですね。何か失敗をしても、2、3日は……いや1、2日は、寝る前とかに「うわ~、そういえばやってもうたな」とか思い出すけれど。あ、でもありました!「音楽の日」に出演させていただいたときに、「koi-wazurai」で最後、片足を立ててポーズ決めるときに、一人だけよろけてしまいました(笑い)。初めてのミスです。

――今、一番欲しいものは?


岸 僕の場合は、貯金の数字ですよね。

全員 (爆笑)

高橋 やめて、そういうこと言うの!

岸 違う違う、お金が欲しいとか、そういう話じゃないよ! 僕にとってその数字は、ゲームのHPとかライフみたいな感じなんですよ。減ると元気がなくなるし、増えると元気になる。お金とはそういうものだよ、って、ジュニアエラの読者のみなさんにも伝えておきたいですね、大切なことなので。

永瀬 俺は新しい趣味。最近は前ほどゲームをしなくなったから。でもゲームほどハマれるものがなくて困っている。探すとなると、意外と難しいんですよ。

平野 俺はリラックス方法ですね~。休みの日に地元に帰ったり、自然が多いところに行ったりすることが一番リフレッシュできるんですけれど、今は移動が難しいから、困っています。

高橋 ゆっくりお風呂に入るとかは?

平野 しないかな。寝ることが大好きなので、お風呂入る時間があったら寝たい。だから、リラックスできる方法を見つけるのが今の目標。

神宮寺 俺は少し気が早いけれど、どこかのタイミングでソロ曲が欲しいかな。作詞作曲をするのが夢だったけれど、それが今回かなったので、次の目標として。

高橋 いいね。じゃあ、僕は「技術」。ダンスも歌も演技もトーク力も、すべてにおいてもっともっとうまくなりたいから。そういう意味で、誰も妥協せずに努力し続けているメンバーなのがうれしい。僕ら、まだ3年目ですから、これからももっともっと向上できるように頑張ります!

(ライター・大道絵里子)

※月刊ジュニアエラ 2020年9月号より

外部リンク

cat_1_issue_oa-aera oa-aera_0_j1a0bi1n6ayb_岩田健太郎「世界を知らない」という自覚が感染症のプロを生んだ<現代の肖像> j1a0bi1n6ayb j1a0bi1n6ayb 岩田健太郎「世界を知らない」という自覚が感染症のプロを生んだ<現代の肖像> oa-aera 0

岩田健太郎「世界を知らない」という自覚が感染症のプロを生んだ<現代の肖像>

2020年9月4日 18:00 AERA

 ダイヤモンド・プリンセス号の感染症対策を告発する動画を公開し、一躍知られるようになった。「失敗したことではなく、責任者が失敗と向き合えないことが問題だ」とこの国の本質的な問題を突く。真実を前に一切忖度しない感染症の専門医は第一人者か、アウトサイダーか。
AERA 2020年9月7日号に掲載された「現代の肖像」から一部紹介する。

*  *  *
 26年前の8月、長野県の乗鞍で医学生向けの一風変わったセミナーが開かれた。全国の微生物学の教授たちが、自分たちの身銭を切って合宿施設を手配し、有志学生を集めて行った感染症についての勉強会であった。今でこそ、新型コロナウイルスの出現で微生物研究は医学界のトッププライオリティだが1990年代前半は感染症を学ぶことはもはや時代遅れ、という考えが一般的であった。医学生たちの大半ががんや生活習慣病の研究に流れていく中で、このままでは微生物学に関心を持つ学生が途絶えてしまうという危機感のもと、同学を専門とする教授たちが、若い学究をリクルートしようと開いたものである。順天堂大学の教授・平松啓一を筆頭に当代随一の講師たちによる最新微生物学の講義が惜しげも無く行われた。

 なぜ、今頃、感染症なのか? これをやって出世やカネになるのか? そこに即物的な解答は無い。それでもジリ貧とさえ言われたジャンルの学問を学ぼうとしただけあって、全国からやってきた18人の学生はいずれも個性的な若者で、そのひとりに島根医科大学(現島根大学医学部)の4年生、岩田健太郎(49)はいた。

 産業医科大学5年生でこのセミナーに参加し、今は職業性感染症学の権威として労働安全衛生総合研究所統括研究員の任にある吉川徹は振り返る。

「乗鞍セミナーは先生方の熱意と感染症の世界の面白さから、その後の医師としての人生に大きな影響を受けました。学生たちもユニークでしたが、中でも岩田さんはあの頃から、抜きん出ていました」

 岩田の、どんなところが抜きん出ていたのか。

「英語のレベルが高くて他言語の文献からも情報を得て物事の本質を考えていた。医学は本来、美術や哲学、自然科学などすべての基礎学問の土台の上に存在するものですが、日本では偏差値重視で医学に入ってしまうので、その大事な分野が薄いまま医者になる人が多い。そんな中で彼は、必要なリベラルアーツがしっかりとあったわけです」

 特に感染症は……、と吉川は続ける。

「特に感染症は、人の生活にものすごく関わります。生き死にはもちろん、家族や社会とのつながりに大きな変化をもたらす。生活すべてに関わるわけで、芯がある岩田さんがその道に進んだことは大きいと思います」

 感染症のプロは、世の中の様々な価値観を念頭に置いてその中で感染症を考えないといけないというのが、岩田の持論である。ジャズのプロはクラシックとの違い、あるいは絵画などとの類似を語れる。感染症のプロもコロナ対策と経済も両方考えて、社会の中でコロナの問題を相対視できないとダメなのだと言い続ける。

 だから、岩田の関心領域は今でも多ジャンルに及ぶ。デスクには、常に読みかけの本が積まれているが、2020年8月のそれは、ウディ・アレンの評伝、ルソーの哲学書、日本の古典小説、数学の専門書など6冊、これらを同時並行で読んでいく。時間が空くと、語学学習に余念なく、これも6カ国語を1・5倍速で耳に入れる。日課にしているジョギングも必ず、好きな春風亭一之輔の落語を聞きながら走るのだ。

 しかし、一秒も時間を無駄にしない日常についてストイックと他者から修飾されると首を振る。

「僕は自尊心が低いからなんです。田舎育ちで世界を知らないという自覚があるんです。だからそれを知りたいという欲望に転化する。調べれば調べるほど、分からなくなるからまた学ぶんです」

(文・木村元彦、撮影・植田真紗美)

※AERA 2020年9月7日号から抜粋

外部リンク

cat_1_issue_oa-aera oa-aera_0_avv3edybpg1v_寝ても疲れがとれない「デジタル時差ボケ」急増…合計1日8時間以上、90分以上連続使用など要因に avv3edybpg1v avv3edybpg1v 寝ても疲れがとれない「デジタル時差ボケ」急増…合計1日8時間以上、90分以上連続使用など要因に oa-aera 0

寝ても疲れがとれない「デジタル時差ボケ」急増…合計1日8時間以上、90分以上連続使用など要因に

2020年9月4日 18:00 AERA/photo・小黒冴夏

 寝つきが悪い、寝ても疲れがとれない――。そんな症状に苦しむ「デジタル時差ボケ」がいま、増えている。あなたは大丈夫だろうか? AERA 2020年9月7日号は、自己チェックの仕方と解消法を紹介する。

■目の疲れは脳の疲れ デジタル時差ボケ急増


「非常に寝つきが悪くなりました」

 フリーライターの女性(42)は嘆く。

 もともと朝型で、夕方6時には仕事を終えるようにしていた。それが、コロナ禍でオンラインでの打ち合わせや取材が増えた。しかも、相手の都合で夜に入れられるようになり、毎晩10時頃までパソコンに向かうように。すると、仕事を終えても、目が冴えてなかなか寝られなくなった。首の後ろや肩など、今までは痛くならなかった箇所が痛くなったともいう。

「寝つきが悪くなったことで、当然寝起きも悪くなりました。また眠りが浅くなってしまったためか、何度も夜中に目が覚めるのも悩みです」(女性)

 コロナ禍で睡眠リズムが崩れる人が増えており、「デジタル時差ボケ」として注目を浴びている。

「デジタル機器が発するブルーライトが、体内時計を乱し睡眠トラブルを引き起こしていると考えられます」

 眼科専門医で、Y’sサイエンスクリニック広尾(東京)理事長の林田康隆医師は言う。自粛モードでデジタル機器への依存度が増えたことによる、健康被害を危惧している。

 ブルーライトは太陽光にも含まれ、「睡眠ホルモン」とも呼ばれるメラトニンの分泌を抑制、覚醒作用があるとされる元来欠かせない光の一成分だ。

 しかしデジタル社会に生きる現代人は、四六時中デジタル機器の光を見つめるようになり、毎晩のようにブルーライトを取り込むことで体内時計を乱して睡眠トラブルを起こしていると、林田医師は指摘する。

■目と脳のバランス崩れ


 7月、林田医師はメガネブランド「Zoff」を運営するインターメスティックと共同で20代の男女500人を対象に、「デジタル時差ボケチェックシート」を使い「ブルーライトによるデジタル時差ボケが及ぼす、睡眠への悪影響の実態を探る調査」を実施した。すると58.8%もの人が「デジタル時差ボケ」に陥っていることが判明。そのうち95.9%が「寝ても疲れがとれない」、76.5%が「夜中に目が覚める」と回答した。さらに、テレワークをしている人はテレワークをしていない人に比べて、毎日寝落ちしている割合が約2倍になることも明らかになった。

 デジタル時差ボケに陥りやすいのは、合計で1日8時間以上デジタルデバイスの画面を見ている人、あるいは90分以上連続で使用している人など。しかし、今やデジタルデバイスは生活の一部。手放すことは難しい。そこで林田医師が勧めるのが、ブルーライトコントロールと、目の運動(眼トレ)だ。

「デジタル機器が発するブルーライトは微弱で安全ですが、これだけ過剰に見つめ続けるのは人類が初めて経験していることです。1日8時間以上スマホやパソコンを使用する人は、ブルーライトカットフィルムを画面に貼る、ブルーライトカット眼鏡をかけるなどの対策をしてほしい」

【「オンライン疲れ」の正体は“脳過労” 脳科学で考える「1日5分」効果的な解消法】

 また、目の使い方についてはこうアドバイスする。

「デジタル機器の使用中は、ピントは手元、視線は画面の範囲内、まばたきが極端に減るなど、目の使い方が非常に偏っています。その結果、目と脳の緊張のバランスが大きく崩れているので、これをほぐしてあげることが大切です」

■目の周囲の筋肉ほぐす


 そのためには、遠くを眺める、目をギョロギョロ動かす、目を閉じてホットタオルを当てて温めるなどが有効。さらに、目の周りの筋肉をほぐす「グーパーまばたき」、目でゆっくりとペンのキャップを追いかける「ペンさし運動」などは、簡単にできて効果も期待できるという。

「夜間の昼光色は脳を緊張させることもわかっています。ブルーライトだけでなく光を見つめ続ける現代、寝る前くらいはブルーライトを取り込まない方が無難です」(林田医師)

 脳科学者で公立諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授も、目と脳の疲れには密接な関係があるという。

「長時間作業を続けると目がゴロゴロして動きが悪くなったように感じることがありますが、実は、目が疲れたというのは脳が疲れたサインです」

 そのまま放置すると脳の疲れは蓄積し、肩凝りのように慢性化するという。そして、目の疲れを取るためにも眼球運動は大切だという。

「疲れたと思ったら、パソコンの四隅をゆっくり目で追うことで注意を分散させてみましょう。注意や集中力にかかわる脳のネットワークが活性化します。また、目を閉じたり開けたりするだけでも脳を休めることができます」

(編集部・野村昌二)

●デジタル時差ボケチェックシート

  • 日中、眠いと感じることが多々ある目の痛みや疲れ、乾きなどのトラブルを感じやすい
  • 合計1日8時間以上、テレビやPC、スマホなどの画面を見ているPC、スマホなどの電子機器を90分以上連続で使用することが多い
  • 紙の本や雑誌ではなく、電子書籍を利用することが多い
  • 寝る前にはたいていベッドでスマホを見る
  • 起床後、朝日を浴びる習慣がない
  • 首や肩が痛い、凝る
  • 移動時間や隙間時間はスマホやゲームをしている
  • 毎日適度な運動をする習慣がない


★6個以上…デジタル時差ボケ
★4~5個…デジタル時差ボケ予備軍

※AERA 2020年9月7日号より抜粋

外部リンク

cat_1_issue_oa-aera oa-aera_0_5slk351wwhml_予測に縛られない思考は壁を超えるきっかけに しいたけ.さんが「10代を空費した」にアドバイス 5slk351wwhml 5slk351wwhml 予測に縛られない思考は壁を超えるきっかけに しいたけ.さんが「10代を空費した」にアドバイス oa-aera 0

予測に縛られない思考は壁を超えるきっかけに しいたけ.さんが「10代を空費した」にアドバイス

2020年9月2日 18:00 AERA

 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

*  *  *
Q:中学・高校と、不安や自意識から夢中になれることもなく、勉強ばかりしていましたが、結局病んでしまいました。それから、自分を見つめ直し、楽しいことを中心に今を生きていこうと決めました。今では趣味も見つかり、心の潤いを感じています。しかし、10代を空費したと時々、暗い気持ちになります。(男性/浪人生/18歳/やぎ座)

A:さらっと書いていますが、本当にすごいことだと思います。楽しいことを中心に今を生きようと決めるのは、なかなかできることじゃないです。

 病んでしまうくらいまで一度入り込むと、今度は楽しむのも「楽しまなければいけない」とプレッシャーになってしまう。楽しいって、バランスが難しいことなんです。

 10代をほとんど空費してしまったというあなたにお伝えしたいのは、「ムダってすごく大事なもの」ということ。よく言われるかもしれないですけど、聞いてくださいね。

 大人になるとどの人も、何らかの形で仕事に関わらなければいけなくなります。仕事とは、予測された成果を出すために努力する行為だと思うんです。気晴らしでやるのは仕事ではないし、こうなったらいいなという希望的観測だけじゃなくて、どうそこに近づけていくか。数値の目標も出てきて、たどり着くために頑張らなきゃいけない。

 そんな中、仕事が思った以上に面白く転がったり、仕事で面白い人たちと結びつくことができたり、奇跡を起こす人たちが出てきます。その人たちこそが「ムダを知っている人」だと僕は思うんです。

 仕事や勉強に勤勉であることの最大のデメリットは、「予測に対して縛り付けられてしまうこと」だと思うんですよね。それも素敵な能力ではあるのですが、まじめで予測に忠実なだけでは壁にぶち当たる。その壁を越えるときに、一見ムダな経験が力を発揮するんだと思うんです。

 それは「どこかで帳尻があうようにできている」という僕の占師としての感覚でもあります。5回中5回当たりを引いて幸せを手に入れちゃうと、実は崩壊が早い。1回ぐらいハズレくじを引いておく必要がある気がするんですよね。仕事でも、これは明らかにハズレくじなんだけど、これをやると自分にとっての新しい扉が開くかもしれない、ということがあります。

 10代を空費してしまった、というハズレくじと付き合っていけば、いつの間にか自分の限界を超えて、とても面白いことになると思います。

 昔の人は、新品の服を買ったときはあえてどこか汚しておいたそうです。日光東照宮の「逆さ柱」も、あえて未完成の状態にしておき魔よけの意味を持たせた。「あえて完璧にしない」というのは昔から思想としてあるんですね。

 やぎ座はプライドが高くて、間違ったこと、外れたことをやってしまった時に傷つきがち。でも、外れている部分こそが個性であり、才能として伸ばせる部分なんです。

しいたけ./占師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気

※AERA 2020年8月31日号

外部リンク

cat_1_issue_oa-aera oa-aera_0_b7tia3kv4ral_コロナ後遺症「なし」はわずか13% 徒労感や呼吸困難、ICUでのストレスも関係か b7tia3kv4ral b7tia3kv4ral コロナ後遺症「なし」はわずか13% 徒労感や呼吸困難、ICUでのストレスも関係か oa-aera 0

コロナ後遺症「なし」はわずか13% 徒労感や呼吸困難、ICUでのストレスも関係か

2020年9月2日 18:00 AERA/写真・朝日新聞社

 新型コロナウイルスに感染して回復した後も、油断はできない。後遺症が何カ月も残る人のいることがわかってきた。AERA 2020年9月7日号から。

*  *  *
「感染から4カ月たっても微熱や倦怠感が続いている」
「嗅覚や味覚が戻らない」

 SNSやYouTubeなどに投稿された動画で、新型コロナウイルスによる肺炎などからいったん回復して退院した後にも、さまざまな症状が残り、なかなか復調しないで困っている体験を紹介する人が、世界中で後を絶たない。

 ローマにあるバチカン・カトリック大学付属病院の医師らは7月、新型コロナウイルスで入院していた元感染者のフォローアップ外来を受診した143人の体調を米医師会雑誌に発表した。発症の約2カ月後にまったく何も症状が無くなった人は18人(13%)だけだった。32%は1~2種類の後遺症があり、55%には3種類以上の後遺症があった。44%は、生活の質が下がったと感じていた。

 後遺症としてもっとも多くの人が挙げたのは疲労感(53%)で、次いで呼吸困難(43%)、関節痛(27%)、胸痛(22%)が多かった。嗅覚障害や味覚障害が残る人もいた。

 中国やフランスなどの医師からも、新型コロナウイルスで中等症以上の重い肺炎になった患者の多くは、肺炎から回復しても肺の機能が低下し、退院後も息苦しさなど呼吸器関係の症状が残ることが報告されている。

 新型コロナウイルスの長期的な影響についてはまだわからないが、同じコロナウイルスの仲間によって2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)では、発症から半年以上経っても、後遺症に悩まされている人が一定程度いた。

 香港大学の医師らがSARS発症から半年後の元感染者110人を調べたところ、3割の人はエックス線検査で肺に異常がみられた。さらに2年後に調べたところ、肺の機能が正常に戻っていない人がまだ2割いた。身体的な後遺症にとどまらず、2割近い人は2年後になっても、うつや心的外傷後ストレス障害(PTSD)といった精神的な後遺症に悩まされていた。

 こういった後遺症が残るのはなぜだろうか。

 日本呼吸器学会理事長の横山彰仁・高知大学教授によると、肺の機能が落ちるのは、ウイルスに感染して肺炎が起きた際、免疫細胞がウイルスを攻撃しようとして出すサイトカイン(生理活性物質)が過剰に出て、肺自体も傷つくからだという。

 特に、肺で酸素と二酸化炭素のガス交換を担っている「肺胞」が損傷してしまう。肺胞は、空気を含む袋状で、柔軟に伸び縮みすることでガスを交換しているが、損傷すると線維化して硬くなり、ガス交換が十分にできなくなる。それが、呼吸困難をもたらすという。

 肺機能の低下は、新型コロナウイルス以外が原因の重い肺炎やARDS(急性呼吸窮迫症候群)になった後にもみられる。

 一方、ほかの原因では起こりにくい、新型コロナウイルスに特徴的な後遺症には、血の塊が血管内でできる「血栓(けっせん)症」や、心筋炎、腎障害などがある。

「血管の内側の内皮細胞が、ウイルスに直接、攻撃されたり、ウイルスを攻撃しようとして免疫細胞が出したサイトカインによって傷ついたりして生じる血管障害によって、肺や心臓、腎臓などに後遺症が生じている可能性がある」(横山さん)

 重い肺炎で人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO(エクモ))をつけて集中治療室(ICU)で治療を受けた患者が、退院後にうつやPTSDになるのは新型コロナウイルスに限らない。チューブが気管に入れられて身体が拘束された状態になっているために大きなストレスを感じるだけでなく、会話もできないといった状態が原因となっている。

 新型コロナウイルスの場合はより精神的な影響が大きくなる可能性があると懸念されている。感染防止のために家族とも面会ができないのが一因だ。また、通常の肺炎では、鼻マスクなど拘束のより少ない方法から始めるが、新型コロナウイルスでは患者がウイルスを周囲に飛散させる可能性を考慮し、いきなり人工呼吸器をつけることが少なくないからだ。

 英国医師会雑誌は8月3日付の論説で、「新型コロナウイルスの感染者は、SARSで長期経過を調べた患者よりも高齢で、持病のある人が多い」として、新型コロナウイルスの長期的な影響については、SARSと同程度だとは限らないと指摘した。

 高齢者は、身体的な後遺症だけでなく、精神的な後遺症も重くなる傾向がある。新型コロナウイルスに限らず、ICUなどで入院治療を受けた患者には、せん妄が起きることがある。英国民に医療を提供する国民保健サービス(NHS)によると、若い患者の多くは回復すればせん妄も消失するが、高齢患者の場合、25%の人は退院後3カ月経ってもせん妄が残り、20%は半年後も残るという。(ライター・大岩ゆり)

※AERA 2020年9月7日号より抜粋

外部リンク

cat_1_issue_oa-aera oa-aera_0_b7ifztnp1q29_新型コロナ「ワクチン開発」の現在地 世界と日本の動きに違いは? b7ifztnp1q29 b7ifztnp1q29 新型コロナ「ワクチン開発」の現在地 世界と日本の動きに違いは? oa-aera 0

新型コロナ「ワクチン開発」の現在地 世界と日本の動きに違いは?

2020年9月2日 18:00 AERA/写真・朝日新聞社

 新型コロナウイルスのワクチン開発には「壁」もあるが、なかには異例のスピードで治験に入っているものもある。AERA9月7日号ではワクチン開発の今を取材した。

*  *  *
「来年前半までに全国民に提供できる数量を確保することを目指す」

 8月28日午後、辞任の速報がニュースで流れるその直前に安倍晋三首相は政府の対策本部で、新型コロナのワクチンについてこう述べた。

 衝撃が走った官邸同様に、ワクチンをめぐる動きも慌ただしい。1週間前の21日には、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会があり、続く記者会見で会長の尾身茂氏は、高齢者、持病がある人、治療にあたる医師らを優先して接種する方針を説明した。高齢者施設や保健所の職員の優先の必要性など、今も検討は続く。

 さらに尾身氏は、記者会見でこうも述べている。

「一般的に、呼吸器ウイルス感染症に対するワクチンでは、感染予防効果を十分に有するものが実用化された例は今までなかった。(中略)発症予防とか感染予防効果については、今後の評価を待つ必要がある」

 ワクチンさえできれば元の生活に──そう期待が大きいだけに、尾身氏の言葉には面食らった人たちもいるだろう。

 日本ワクチン学会理事長を務める福岡看護大学の岡田賢司教授は、こう説明する。

「呼吸器ウイルスについては、ワクチンに対して最終的に何を求めるかということだと思います。感染予防なのか、発症予防なのか、重症化予防なのか。感染予防を求めるのが理想的です。ただ、今のインフルエンザワクチンを注射して血液の中に中和抗体を作っても、ウイルスが気道に付くことは防ぎ得ません。インフルエンザワクチンは重症化予防が主な目的で、感染予防までは望めないと思います」

■ワクチン開発に「壁」


 それにしても、ワクチンに詳しいナビタスクリニック(東京都)の久住英二医師は、尾身氏の発言には疑問を感じるという。

「第2相試験まで順調な結果が出ているワクチン候補もあります。さらに第3相試験で打つことに利益があると判定されたものについて接種するわけですから、尾身先生が呼びかけるべきは『皆さんが自分事として接種に協力してほしい』ということだったのではないでしょうか」

 まずは開発が成功しなければ元も子もないが、感染症のワクチン開発にはそもそも特有の壁がある。感染の流行は、地域性や季節性などの変動要因から、治験を進めにくい面がある。日本製薬工業協会は「日本のみならず、事業性の側面からも見通しが立てにくい感染症領域は非常に取り組みにくい領域」としている。

 しかし、各国では次々と開発が進む。

 世界保健機関(WHO)の発表によれば、世界では8月25日現在で31種類が人に投与する治験に入っており、142種類が治験前の段階にある。英オックスフォード大と英製薬大手アストラゼネカが開発中の「ウイルスベクターワクチン」など6種類が、1万人以上で発症や重症化を防ぐ効果をみる第3相試験に入っているという。

■異例のスピードで治験


 前出の岡田教授は、中でも「核酸ワクチン」と呼ばれる新しい種類のワクチンに注目する。

「今回はウイルスのDNA配列が早く公開されました。核酸ワクチンは、そのDNAを使って人にとっては異物である『スパイクたんぱく質』を体内に発現させて、免疫を作ります。従来のワクチンはウイルスそのものを5~10年かけて不活化したり弱毒化したりしていましたので、今回は極めて異例なスピードで治験に入っています」

 日本国内で最初に治験が始まり、製薬企業アンジェス(大阪府)と大阪大が共同開発する「DNAワクチン」もその一つだ。ほかには、塩野義製薬が国立感染症研究所と共同開発する「組み換えたんぱくワクチン」、KMバイオロジクス(熊本市)が東京大学医科学研究所などと進める「不活化ワクチン」などの候補がある。(編集部・小田健司)

※AERA 2020年9月7日号抜粋

外部リンク

cat_1_issue_oa-aera oa-aera_0_mbvowgfq1z2g_なぜ大学閉鎖なのにGoToはあり? 1年生に深まる孤立と不満「後期もオンラインなら心が折れる」 mbvowgfq1z2g mbvowgfq1z2g なぜ大学閉鎖なのにGoToはあり? 1年生に深まる孤立と不満「後期もオンラインなら心が折れる」 oa-aera 0

なぜ大学閉鎖なのにGoToはあり? 1年生に深まる孤立と不満「後期もオンラインなら心が折れる」

2020年9月2日 18:00 AERA

 コロナ禍のなか、4月に入学して以降、一度も大学に行っていないという新入生も多い。 孤立を深めるなか、「後期は対面授業」を切望する声が上がる。大学はどう応えていくのだろうか。 AERA 2020年9月7日号から。

*  *  *
「いつになったらキャンパスの土を踏めるのだろう。後期は対面授業を本当に受けられるのか」

 中部地方の実家で暮らす大学1年生の女性(18)は、じりじりした思いで大学の後期授業の発表を待っている。今年4月、首都圏の大学の農学部に入学した。しかし、キャンパスに足を踏み入れたことは一度もなく、写真でしか知らない。入試は地元で受験し、合格はインターネットで確認。新型コロナウイルスの感染拡大で入学式がなくなり、前期の授業は全てオンラインだった。

 この間、実家で暮らし、学校近くに借りた部屋は毎月7万円の家賃だけが引き落とされていく。夏休みの今も、大学の友だちと呼べる人はいない。前期はひたすら部屋にこもってひとり課題をこなしてきた。

「体育の実技までオンラインでした。部屋でひとり、体操をしながら『何の力がつくのだろう?』とむなしくなりました」

■「新しい友いない」3割


 課題が提示される場所や提出場所は、教員によってまちまち。見落として失敗しても、自己責任にされてしまうのか。なぜ学生に寄り添ってくれないのだろう。まだ見ぬ「大学」への不信感と疎外感ばかりが募る。

「後期授業も全部オンラインになったら、心が折れます……」

 コロナ禍で、今春、多くの大学は入学式をやめ、学校を閉じ、オンライン授業にシフトした。「学生や教職員の健康を守りつつ、教育を提供する」ための試行錯誤のなか、新たな課題も噴出した。「大学1年生の孤立問題」はそのひとつだ。

 新歓イベントをはじめ、教室での授業、サークルの勧誘など、従来、新入生が大学コミュニティーに溶け込むきっかけとなってきた出会いや交流の場が失われた。オンラインでの代替や独自のサポートをする大学もあったが、全国大学生協連の7月調査では、1年生の28%が「新しい友だちがいない」と回答。オンライン授業のみを受けてきた1年生では33%に上る。

 7月中旬、前出の女性が「私と同じ」と胸を打たれたマンガがSNSに登場した。美大1年生のmakiさん(18)が描いた「大学生は、いつまで我慢をすればいいのでしょうか。」だ。多くの共感を呼び、「いいね」が40万件つき、17万回リツイートされた。


 5月下旬、都市部の緊急事態宣言が解かれると、小中高校や飲食店は再開し、社会が動きだした。ところが大学は門を閉ざしたままで、大学生だけが社会から取り残された。

 小中高校と大学の違いについて言われるのは、大学は学生が広域から通学し、万単位の人が行き交う。教室の席が固定されておらず、移動範囲も広いため、感染者が出たときに追跡が難しい。大学生は酒を飲む機会もあるため感染リスクが高い。

 これに対し、makiさんはこう反論する。

「広域の移動や感染の追跡ができないことが理由で、大学生が学校に入れないのなら、なぜ『GoToトラベル』はありなのでしょうか? お酒を飲むのは、サラリーマンも同じです。いつまでも大学生だけを閉じ込めないでほしい」

 大学1年の子を持つ、保護者たちも危機感を募らせている。

「娘は朝から晩までパソコンと向き合う、実質引きこもり状態でした。こんな生活を延々続けて、社会に出てから大丈夫なのでしょうか?」(東京都・52歳)

「オンラインで講義を受けるだけなら『大学に行く意味は何?』と考えてしまいます。今後、大学選びも変わっていくのでは」(大阪府・51歳)

■裏カリキュラムの喪失


 若者の事情に詳しい、関西学院大学社会学部の鈴木謙介准教授は言う。

「学生たちの不満は孤立以上に、自分たちが割を食った点にある。6月時点で、大学側の丁寧な説明が必要でした。いま重点的に目を向けないといけないのは、大学から離れた場所で孤立している学生や留学生たちです」

 前期終了後、各大学は夏休みや後期授業の方針をホームページなどで発表した。前期は全面オンラインだった大学も、後期は対面授業を組み合わせる「ハイブリッド型」を表明しているところが少なくない。

 しかし、対面授業を実施するには、教室内のソーシャルディスタンスの確保など感染対策が不可欠。大学のキャパシティー面からも、全ての授業を対面で実施することは難しい。実習や実験を優先するなど、限定的なものになる可能性が高い。冒頭の女性の大学も、後期は週に1日程度、対面授業が受けられるようにする方針を打ち出しているが、詳細はまだわからない。

 果たして、限定的な対面授業の再開だけで「1年生の孤立」や「学生コミュニティーの構築」の課題は解決されるのか。鈴木准教授は「別の手だても考えないと難しい」と言う。さらに「全面オンラインの一番の問題は『裏のカリキュラム』が失われた点にある」と指摘する。

「表のカリキュラム」は大学が提供する「学び」。「裏」はサークルなど、授業以外の学生同士の協働だ。それによってコミュニティーが形成され、授業や学校生活でわからないこと、困ったことがあったときに「縦・横の助け合い」が機能してきた。

「重要なのは『表』も『裏』も有機的に働き、不可分な関係にあることです。大学の授業はかつてと違い、一方通行の一斉講義だけでなく、アクティブラーニングなどの協働型のものが増えている。学生同士のコミュニケーションベースとなるつながりが大事で、大学も関係作りをサポートするようになっている。私自身も担当学部で携わっています」(鈴木准教授)

■メンタル不調が倍近く


 今年の1年生が大学コミュニティーに参加しきれなければ、来年以降、続く新入生の拠り所も脆弱になりかねない。

 オンライン授業は、Zoomなどを使う「同時双方向型」と、収録した授業動画やテキスト教材を好きな時間に受講する「オンデマンド型」がある。鈴木准教授は、学生の通信環境への配慮などから、教員たちはデータ容量の大きい同時双方向型の授業の抑制を求められたが、それが学生の孤立を招く一因にもつながったと指摘する。

「いつ、だれが受けているのかわからないオンデマンド型の授業が多いと、孤立感が増すのは当然です。加えて、オンデマンド型では協働型の授業は難しく、問題は大きい。解決するには、通信環境が十分でない学生が同時双方向型を受講できるよう、大学内に発話のできるパソコンブースを整備する必要がある。今後の重要課題のひとつです」

 学生からは、メンタルの不調を訴える声も上がる。筑波大学の保健管理センターで学生を診察する、精神科医の白鳥裕貴さんはこう危機感を口にする。

「毎年、春の健診でスクリーニングに引っかかる学生は5%程度。今年はウェブでの問診になりましたが、10%と倍近いです」

■学生と教職員で自治


 不調の原因で最も多いのは睡眠不足。オンデマンド型の授業はいつでも受講できるからと、生活リズムを崩しているケースが少なくない。孤立が原因の場合は、可能な限り実家で過ごすようにして、安心できる居場所の確保が大事だという。

「学生の苦境には、大学教員も心を痛めてきました。ただ前期は、教員自身もオンライン授業の整備に必死で、手いっぱいだった側面があります」

 そう語るのは、関西学院大学法学部の岡本仁宏教授だ。多くの教員にとって、オンライン授業は初めて。しかも短期間での整備を余儀なくされた。岡本教授が3月末、フェイスブックに立ち上げた「新型コロナ休講で、大学教員は何をすべきかについて知恵と情報を共有するグループ」には2万人が参加し、活発な情報交換を重ねてきた。

 大学が再開に慎重になる背景には、3月の京都産業大学や8月の天理大学ラグビー部の集団感染などでの激しいバッシングがある。岡本教授は言う。

「対面授業を再開した場合、感染のゼロリスクは不可能。最新の感染状況や疫学的知識に基づく公的指針が明示され、大学の負うべき現実的な責任範囲が限定されること。さらに、若者の教育を担う大学を支えるための社会的合意や支援が重要です」

 加えて、学生は困ったことや不満があれば、大学に対し声を上げていい、という。

「ただし、単なるサービスの受け手としてでなく、学生と教職員が共にこの未曽有の危機を乗り越えていくために。それが大学の自治ではないでしょうか」

(編集部・石田かおる)

※AERA 2020年9月7日号

外部リンク

cat_1_issue_oa-aera oa-aera_0_m8leubd02mrb_関ジャニ大倉、男性同士の恋愛映画に“はにかみ” 「今だからこそ演じられる役だった」 m8leubd02mrb m8leubd02mrb 関ジャニ大倉、男性同士の恋愛映画に“はにかみ” 「今だからこそ演じられる役だった」 oa-aera 0

関ジャニ大倉、男性同士の恋愛映画に“はにかみ” 「今だからこそ演じられる役だった」

2020年9月2日 18:00 AERA/写真・getty images

 主演映画「窮鼠(きゅうそ)チーズの夢を見る」の公開を控えた大倉忠義さんがAERAに登場。アイドル、そして俳優として確実にキャリアを積む大倉さんが現在の活動にかける思いを語った。AERA 2020年9月7日号から。

*  *  *
 撮影スタジオに流れる音楽のリズムに合わせ、軽やかに身体を揺らす。朝から何本もの取材を受けてきたというが、疲れを見せることなく、爽やかな笑顔でカメラに向かった。

 関ジャニ∞でドラムを担当し、ドラマや映画、舞台で俳優としても活躍する。質問に対し、落ち着いた口調で静かに語る姿は、主演映画「窮鼠はチーズの夢を見る」で演じた大伴恭一と重なる。学生時代から知る今ヶ瀬渉(成田凌)から思いを寄せられ、初めは煙たがるも次第に惹かれていく。つかみどころのなさが魅力であり、心のなかが読めないからこそ誰もが恭一に吸い寄せられていく。

「何を考えているのかわからないですよね。虚栄心だったり、プライドだったりを無理に隠そうとしているんじゃないか、とも感じました。実は他人からよく見られたいと思っている人なのかもしれないですよね」

 男性同士の恋愛を描いた作品は、大倉の俳優としてのキャリアのなかでも強い印象を残す。完成した作品を観たときはどう感じたのか。そう尋ねると、はにかんだ笑顔を見せた。

「自分の出ているシーンが多いので、客観視ができなかったです。出演した作品を観るといつも『これでいいのかわからないなー』という気持ちになります」

 少しだけ熱っぽく語ったのは、年齢ごとに演じられる役が異なる、という話題に及んだときだ。もし20代で恭一を演じていたら、奥行きのない人物像になっていただろう、と。

「仕事でもプライベートでも、20代で経験したことは自分の人生にとって大きなことばかりでした。それらがすべてつながったいまだからこそ、この役を演じることができたのだと思います」

(ライター・古谷ゆう子)

※AERA 2020年9月7日号

外部リンク