株価が暴落したニュースなどを見ると「やっぱり投資は怖い」と思う人が多いだろう。そんな暴落をチャンスに変えられるのが「積立投資」だ。
AERA増刊『AERA Money 今さら聞けない投資信託の基本』では、積立投資の中でも「毎日積立」に注目し、その利益を試算している。
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積立投資のいいところは、「始めどき」を考えなくてもいい点だ。「今、投資をはじめるのがいい時期か、悪い時期か」を正確に予測することは誰にもできないが、積立投資ならいつ始めてもいい。
「資金をいっぺんに全額投資してしまうのではなく、月末に5000円ずつなどの小分けに買って時間を分散することで、大きな損をなるべくしないことを目指しませんか。これが積立投資のいいところです」
と、マネックス証券マーケティング部の西尾貴仁さんも背中を押す。簡単なのに威力のある投資法なのである。
ある金融商品に一括投資した場合と、10年間、毎月1万円ずつ投資した場合の、運用成果を比較すると、「毎月1万円」のほうが最終的に利益は多くなる。
積立投資の場合は、価格が下落する過程でもコツコツ買っているため買値が平均的に下がるからだ。そのあとに価格が値上がりすれば、大きな利益を得られるというわけである。
積立投資は、毎月積み立てる金額を定額にすると、より損をしにくくなる。
「同じ金額を積み立てる形で投資すると、価格が下がったときにはたくさん買えて、価格が高くなったときには購入数量を減らせます。投資の失敗の代表格である高値づかみを防ぐことができるうえに、価格が安いときにたくさん買うことができるのです」(西尾さん)
これが「ドルコスト平均法」と呼ばれる、損をしにくい投資法だ。この方法なら、あれこれ投資のタイミングについて考えなくてよい。毎月、自動的に定額で積立をしているだけでいいのである。「投資は手間をかけず、ほったらかしにしたい」というわがままな欲求が、最も効率のいい運用につながるというわけ。
ネット証券などの金融機関では自分の決めた金額で投信を積み立てられる。ふだん使っている銀行を使って毎月自動で買うことも可能だ。
銀行で投信を買えば、もちろん銀行口座から自動引き落としができる。資金移動に関する手数料も一切かからない。
毎月積立方式はかなりメジャーだが、最近はネット証券各社が「毎日積立」のサービスをはじめている。
毎月と毎日。毎日のほうがより分散できるわけだが、どっちがトクになるのだろう。西尾さんに試算をお願いした。
日本株の指数・日経平均株価と、米国株の指数・S&P500に連動するインデックスファンドに「毎日積立」で投資をした場合と、その資金をまとめて月末に全額投資した場合の、運用成果の差を検証した結果は?
積立金額は1日当たり100円(つまり1カ月だと約3000円)と仮定すると、3カ月では損益で約3%、金額にして約200円ほど毎日積立のほうが有利だった。
たかが200円と思うなかれ。これが1カ月約3万円分の積立なら約2000円の差である。
6カ月、1年と期間が長くなると差は縮まるが、それでもわずかに毎日積立のほうが好成績。あくまで「このファンドの場合」というただし書きはつくが、参考になる。
(取材・文/安住拓哉、編集部・中島晶子、伊藤忍)
※アエラ増刊『AERA Money 今さら聞けない投資信託の基本』の記事に加筆・再構成
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