AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:仲良しのママ友が不倫しています。私には何でも話したいと、旅行の写真まで見せてきます。友人の子どものことを思うと、すごく嫌な気分になります。私の親も同じだったからです。子どもがいて不倫する人たちの気が知れません。うまくやってね、と心にもないことを言っている自分も嫌になってきました。(女性/医療関係/48歳/しし座)
A:最近の僕のテーマなんですが、「どう大人が傷を癒やすべきか」をいつも考えるんです。毎週占いを書いている身として、例えば「週末は気分転換してください」と言うことはできる。でも気分転換で傷が完全に癒やされることはないと僕は思っていて。じゃあ傷が癒やされる瞬間っていつかというと、理解者に会ったときだと思うんですね。
世の中、理解者に巡り合えていない人が想像以上に多いと思います。彼らは「じゃ頑張ってね」と言われて放っておかれる人たちです。中にはすごく努力家で立派な成果を出している人もいるけど、どこかでやっぱり傷を抱えて生きている。不倫を肯定するつもりはまったくありませんが、理解者に出会おうとしてもなかなか出会えない中で、錯覚でも「この人は私のことを理解してくれる」と舞い上がってしまった場合、恋愛関係になってしまう人たちも出てくるのだと思います。
その状況は理解はできないけど、少し共感はできる。
そして、人と人が生きていく上ではこの「理解はできないけど共感はできる」ことが大事なような気がします。
すごく忙しいのに毎晩夜遅くまで飲み歩いてる人とか、帰って寝ればいいじゃん、と思うんだけど、その人はきっと満たされない何かがあるからそういう生活をしているわけで。その活動で何かを埋めてるんだな、というのは共感できる。無理に説得してもますます悪化するだけですよね。「まぁ私は理解できないけど、ちょっとは共感できる」と思えることが、お互いに住み良い世の中を作っていくんじゃないかなと思うのです。
ただ、あなたの場合、「生理的に受け付けない、ごめん」と告げることもすごく大事です。不潔さを感じることとか、生理的に受け付けないことを、頑張って克服する必要はないから。例えば、他の人が口をつけたコップを使えない人って、世の中にいるじゃないですか。そこは無理に頑張るポイントではまったくないわけです。そういうことを話してくる友人には、理屈ではなく「ごめん、生理的に無理」って言えば理解してくれると思います。
関連して言うと、気にくわない人のSNSとか、つい追いかけてしまうのは、「自分は大丈夫」と思いたいから。
嫌いな人の存在は、人生に必要な毒物ではありますが、ハマりすぎに注意してください。「自分を正当化するために今日もまたチェックしてしまった」とほんの少しほろ苦さを感じることができていれば、大丈夫です。
※AERA 2020年2月17日号
【「思い出に殺されない」ために必要なのは“自分なりの無関心ルール” しいたけ.さんがアドバイス】
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