AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:日に何度か、子どもの頃の失敗や誰かに叱られたこと、仕事やプライベートで「こうすればよかったな」と後悔したことなどがフラッシュバックします。後悔してもどうしようもないと頭でわかっていても、苦い思い出を忘れられません。苦い思い出は蓄積されていくので、いつか思い出に殺されそうです。(女性/会社員/31歳/しし座)
A:しし座の人ってあんまり多くの物事とか人に、あえて興味を持たないように生きているところがあったりするんですね。僕は「しし座の無関心」と呼んでいるんですが。
なぜ無関心でいようとするのか。それは興味を持った途端に勝ち負けが決まってしまう面があるから。例えばハワイに興味を持って好きになったとします。そうするとハワイでどこに行って、どういう旅行プランにするのか、競争と勝ち負けが生じてきます。「え、あの店行ってないの?」「あの穴場、知らないの?」なんて言われたりする。
しし座は、他人からそういうことを言われるのをすごく嫌います。だからあなたが言う「思い出に殺される」も、大げさじゃないと思う。勝ち負けを引きずってしまうんです。そうならないために、ある種の自己防衛として、興味や関心をなるべく持たないように、持ったとしても秘密として抱えているしし座は多いと思います。
思い出に殺されず、ネガティブなものやとやかく言う他人から離れて生きるのは、しし座が幸せになるための必須条件で、これはもう物理的に距離を取るのが大事です。
一度その闘技場に立ってしまうと、「嫌な奴にさえも勝たなきゃいけない」という強迫観念が出てしまいがちです。このコミュニケーションで勝たなければいけない、と引けなくなってしまう。ちゃんと壁を閉ざす、一回一回後ろに引く、ということを、家族や友達が相手でもやってください。2回打ち返したら一旦バリアを張る、あえて反応を悪くするなどルールを決めてもいいと思います。その警戒心は無駄にはならないと思う。
かに座もしし座と同じような側面を持っていますが、かに座のほうが見切りが早いです。この人はやばいぞ、と思ったらすぐに見切りをつける。しし座は、ちょっと違和感を覚えても、もう一歩踏み込んで対応しちゃうから、そこでダメージが深くなる気がする。後ろに引く準備はしておいたほうがいいです。
そして、できれば神社やお寺に一人で行ってみてください。思いの丈を話せる場所に。神社やお寺は「でもこうじゃない?」とか「でも相手の立場になって考えてみなよ」とか言う人がいません。ある意味、反応がない場所。だから安心して心の内を明かせるんです。掃き清められた場所だから、いわゆる娑婆(しゃば)とは空気感も違う。週1回、「今週はこんなことがありました」と手を合わせて報告することは、思い出に殺されないためには必要な気がします。
しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気
※AERA 2020年12月14日号
【「こんなはずじゃなかった」今年の空白感は挫折訓練だと思って しいたけ.さんがアドバイス】
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