引き分け以上で三菱重工浦和レッズレディースの初優勝が決まる。
大宮アルディージャVENTUSを迎えるホーム最終戦は、WEリーグ制覇が懸かった大一番。今季、チーム最多タイとなる9ゴールを挙げ、攻撃陣をけん引する清家貴子は静かに闘志を燃やしていた。
「優勝は懸かっていますが、特に気負いはないです。私たちは、次の試合に勝つだけ。引き分けのことは頭にありません。いつもどおりの気持ちで臨みます」
前節はアウェイでAC長野パルセイロ・レディースにまさかの逆転負け。終了のホイッスルが鳴ったときは、肩を落としてうなだれた。
遠路はるばる駆けつけてくれたレッズレディースのファン・サポーターの姿を見ると、申し訳ない気持ちが込み上げてきた。それでも、『次で決めようぜ』と温かい声をかけてくれた。
「本当に自分たちのことをサポートしてくれているんだなと思いました」
挨拶を終えて、ロッカールームに戻ると、キャプテンの柴田華絵、経験豊富な猶本光らがチームの沈みかけた空気を変えてくれた。
『まだまだあるんだから、次に向けてやっていこう!』
長野Uスタジアムを出ると、すぐに気持ちを切り替えた。
バスの中では試合の映像を見返しながら、次戦に向けての修正点を確認。今週、トレーニングがスタートしてからは前節の反省を生かし、守備面の改善に力を注いでいる。もう同じような負け方はしない。長野での悔しさを胸に留めている。
舞台は『聖地』の浦和駒場スタジアム。ジュニアユース(中学年代)からの生え抜きである清家にとっては、原点と言ってもいい。当然、思い入れも強い。
「レッズレディースというチームを本当の意味で知った場所です。中学生の頃から試合運営の手伝いをしていましたし、熱烈な応援をずっと耳にしてきました。自分自身も駒場で成長し、多くの人に私という存在を知ってもらいました。私にとっては、家のようなところです」
真っ赤に染まる駒場のスタンドを想像しながら試合に向けて、心身ともに準備を整えている。優勝のプレッシャーを感じず、攻守両面でアグレッシブにプレーすることを誓う。
「スタジアムに足を運んで良かった、試合を見て面白かったと思える熱いゲームをします」
決戦は土曜日。6月3日、14時にキックオフされる。
(取材・文/杉園昌之)
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