YBCルヴァンカップ グループステージ第2節の清水エスパルス戦は痛恨のドロー(△1-1)で終えたものの、次につながる収穫もあった。
左サイドバックで先発フル出場した荻原拓也のパフォーマンスは出色だった。持ち味である精度の高い左足キックは、セットプレーを含めて随所で光った。
目を見張ったのは、ブライアン リンセンの今季初ゴールを演出した鋭いピンポイントクロス。相手のGKとDFの間のスペースに流し込み、本人も確かな手応えを得ていた。
「あれは完璧でした。数日前に練習した形が出せましたので。狙い通りです。イメージしたよりも巻いたボールになりましたが、目標設定(狙った場所)が良かったと思います」
それでも、荻原の心は満たされていなかった。チームで手にしたのは、勝ち点1。ホームの浦和駒場スタジアムでスタートから最後までピッチに立ち続けた責任をひしひしと感じていた。
「自分が出場した試合で、勝ち点3を持ってくることができなかった。勝てなかったことが本当に悔しい。それがすべて。映像を見て突き詰めていかないと。いま以上にコンディションを上げて、チャンスの数を増やしていけば、もっとチームの力になれると思っています」
もどかしさを抱えながらも、自信をみなぎらせている。自慢の走力を生かして、スペースに飛び出したかと思えば、ドリブルで縦に突破して、中央に折り返す。
出場時間を重ねるごとに左サイドで好機をつくる回数は確実に増えている。2年半に及ぶレンタル移籍で培った荻原の能力はまだ底知れない。
「自分がシュートを打てるところにポジションを運んでいくことができれば、相手にとってより脅威になると思います。それを実行するためには運動量も、予測力も、攻撃的なマインドも必要になってきます」
頭の中では、ゴールを奪いに行くイメージはできている。
清水戦ではバランスを考えて自重したが、理想はあと10m前でプレーする回数を増やすこと。右サイドでボールを運んでいるときに左サイドを猛然と駆け上がり、ゴール前まで一気に飛び込んでいきたいという。
「そうすれば、景色が変わってくると思います。次はリーグ戦で結果を出したい」
徐々に『100%の荻原』に近づいている。時速35.5kmの最高速を誇る爆発的なスプリント力を生かせるようになれば、レッズの大きな武器になる。
(取材・文/杉園昌之)
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