「いやあ、いっぱいいっぱいでした。改めて難しいリーグだと思いましたね」
「ハノーファーでもマルセイユでも、完全にフィットしたと思えることはなかったですけど、特にこの半年間はいろいろな変化に対応することにかなり気を使いました」
「この環境を求めて移籍してきたので。この変化を楽しめるぐらい慣れたらいいなと思っています」
「ヨーロッパで活躍するのは難しいことですけど、サイドバックって他のポジションと比べると、やりやすい面もあるんですね。意外とやるじゃん、という感じで見てくれるので。
「サッカー選手のキャリアは決して長くないので。その中で味わえることは全部経験したいんですよね。だから今も、挑戦しています。ずっと挑戦者でいたいんです」
「レッズでは年長のほうですし、キャリアも少なからず積んでいるので、試合中の言動はかなり気にしています。プロとして勝たなければならないので、ときに判定に対して不満を示したり、相手に対して立ち向かう姿勢を見せながら。普段は静かなほうですけど、ピッチに立ったらスイッチが入る。そういう姿を見せたいと思っています」
「マルセイユ時代の監督である(ホルヘ)サンパオリのサッカーもそうでしたけど、従来のサイドバックとは異なるプレーを求められるというか。いろんなところに顔を出して、いろんなところでサポートしないといけない。そう言えば、リカルド監督もサンパオリの練習を見に行ったそうですね」
「従来のサイドバックのプレーは自分の基盤としてできていると思うので、新たなサイドバック像にチャレンジすることはプラスでしかない。今はポジティブに、日々成長するために学んでいます」
「試合中、ワイドにいるだけでなく相手や戦況に応じてポジションがどんどん変化していくので、チャンスがあれば、そのままゴール前まで詰めていける。ゴールにつながるということは、ちゃんと理由があると思う。うまくいっている証だと思います」
「僕自身はJ1で1年半しかプレーしていなくて、運良く優勝を経験させてもらった。当時は絶対的なチームがいなかったから(柏)レイソルが優勝できた、というのもあると思います。今は川崎(フロンターレ)が圧倒的な強さを誇っている。戦う前から『今週末は川崎戦だ』ってテンションが上がる。そういう圧を与えてくれるチームが誕生したのは、敵ですけど、すごく良いことだと思います。
「実際に一緒にやってみて、うまい選手、ビジョンのある選手、将来性のある選手、ポテンシャルを秘めた選手がたくさんいると感じます。もうひとつ殻を破れば、もう少し経験を積めば、化けるなっていう選手が多いので、一緒にやっていてすごく楽しいです」
「ただ、僕は結果を残すためにこのチームに来たので、出来上がった選手たちと戦いたい。僕が成長の手助けをするとかじゃなく、対等な立場でプレーしたい。だから僕に対しても遠慮なく指示を出してほしい。もちろん、そういう集団になれる可能性があるので、心配はしてないですけどね」
「僕は強いリーダーシップでチームを引っ張るタイプではないので、プレーで示すようにしています。局面局面で、ここは行くんだぞ、っていう気持ちをプレーに乗せて、見せているつもりです。特に川崎戦の最後のところは、絶対に負けたくないという気持ちを、自分の得点という理想的な形で出せたんじゃないかと思います」
「以前のレッズには、(田中マルクス)闘莉王さんやヒラさん(平川忠亮)、都築(龍太)さんをはじめ、対戦していて怖いなって感じさせる選手がたくさんいましたよね。そうした圧が、試合中には絶対に必要なんです。ヨーロッパではそれを11人全員が出せて、監督も出せて、スタジアム全体でも出せるんですよ。そうなるとチームは本当に強い」
「素晴らしい雰囲気でした。ただ、選手としてはやっぱり声が欲しい。プレーに集中していても、ファン・サポーターの声は耳に届きます。それによって鼓舞されるんです。だから、1日でも早く日常が戻ってくることを願っています」
(取材・文/飯尾篤史)