■富士見町出身の登山家、6月下旬から 松本市出身の映画監督和田萌さんも同行
諏訪郡富士見町出身の登山家平出和也さん(44)=東京都町田市、石井スポーツ所属=が6月下旬から、パキスタン北部にある世界第二の高峰K2(8611メートル)で未踏の西壁からの登頂に挑戦する。酸素濃度が地上の3分の1となる8千メートルで、垂直に近い氷と岩の壁を登る。これまで何度も海外の高峰を未踏ルートから登頂してきた経験を生かし「不可能を可能にしたい」と決意を語る。
K2はその険しさ、気象の変化の激しさによる難易度の高さから「非情の山」とも呼ばれる。1954(昭和29)年、イタリア隊が南東稜から初登頂。日本などの登山隊も別ルートから登頂を成功させている。多くは約5千メートルのベースキャンプ(BC)に近い南壁からのルート。壁の基部まで日数を要する西壁からの挑戦は少なかった。
西壁からの過去の挑戦で、最高到達地点は標高約6千メートル地点とされる。残る2千メートル余のルートの記録はなく、未知の部分が多いという。平出さんは2018年、同じ石井スポーツ所属で今回一緒に登る登山家の中島健郎さん(39)=千葉県=と西壁が見える地点まで登って下見。本番では酸素ボンベなしで挑み、8月上旬に帰国する予定だ。
平出さんの挑戦を映画などにしてきた松本市出身の映画監督和田萌さん(40)=東京都=も記録のためBCまで同行。BCから先は平出さんらがカメラを回し、登山後に映像作品として発表する計画もある。平出さんは「応援してくれる長野の人たちに、いい報告ができるようにしたい」と話している。
平出さんは、世界的に活躍した登山家に贈られる「ピオレドール(黄金のピッケル)賞」を3回受賞。20年には信毎選賞も受けた。
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