上田市の一般社団法人シアター&アーツうえだが20、21日、劇作家の故つかこうへいさんの代表作「初級革命講座飛龍伝」を同市中央の施設「犀(さい)の角」で上演する。演出はNHK朝の連続テレビ小説「まんてん」の脚本も手がけたマキノノゾミさん(64)=東京=が担当。犀の角を運営する同法人の代表、荒井洋文さん(52)=上田市=と同志社大(京都市)の先輩後輩の縁もあって上演が決まった。
荒井さんは学生時代、大学OBのマキノさんの手がける舞台にスタッフで関わるなどした。2019年に上田市で開かれた日本劇作家大会で荒井さんと再会したマキノさんは、犀の角を見学。幅10メートル、奥行き3・6メートルの小ぶりのステージを見て「つか作品の濃密さを表現するなら、この舞台の上だ」とひらめいた。
作品は、日米安保条約改定に反対する学生などのデモ隊が国会に突入した安保闘争から20年が過ぎた1980年が舞台。革命の精神を唱えた学生たちが社会に出た後、資本主義に染まって生きる姿を痛烈に風刺する。「つかさんは、逃げる大人になるなとの思いを込めた」。そう考えるマキノさんが演劇にのめり込む契機となった作品で、つかさんの死後、「僕の原点となった作品を次世代に渡したい」と上演機会を探ってきた。
出演する武田義晴さん、吉田智則さん、木下智恵さんの3人は、いずれもつかさんの主宰劇団に在籍していた俳優だ。3月下旬から犀の角で、マキノさんがせりふ回しや動きを伝える稽古を継続。最小限の台本だけで俳優にせりふを注入する、つかさん独特の「口立て」と言われる手法にちなんだ。マキノさんは「40年前の自分のように、つかさんの演劇をやりたいと思う若者が観客の中から現れるとうれしい」と話す。
20日は午後6時半、21日は午後2時に開演。チケットは3500円(25歳以下1500円)。6日午後3時半からは、海野町会館などで公開稽古の見学や出演俳優と交流できる催し、7日午後2時からは犀の角でマキノさんが小劇場演劇の魅力を語る催しを開く。いずれも参加料金は1500円(25歳以下千円)。
外部リンク