地産地消をコンセプトに掲げる洋菓子店「コンディトライ・アン・マリーレ」(大町市)を営むパティシエの間橋杏さん(39)。果物や乳製品など地元食材にこだわったケーキなどは、観光客や地元住民らに根強い人気がある。子育てと店舗経営を両立。店内にキッズコーナーやベビールームを設け、「母親目線」の空間作りも心がける。
東京都出身。母親の手伝いが菓子作りの原点になった。高校卒業後、二葉製菓学校(東京、現・吉祥寺二葉製菓専門職学校)へ進学。3年時にはウィーンへ留学した。
オーストリアは洋菓子の本家としての意識が高く、「プライドを持って仕事をしているパティシエが多い」。特に乳製品を大切にしており、牛乳は牧場から銀色のミルク缶入りで店に届く。砂糖を入れなくてもコクがあり、甘く感動した。「地産地消を目指すきっかけになった」
星野リゾート(北佐久郡軽井沢町)に就職し、軽井沢ホテルブレストンコート(同)やリゾナーレ八ケ岳(山梨県北杜市)でデザート作りを担当。地元の食材でアイデアを練るのが楽しく、いつしか自分の店を開きたいと思うようになった。
大町市には別荘があり、中学時代に遊んだ縁があった。両親と一緒に信州に移住。2011年に開業し、結婚と出産、子育てを経て、職住一体の現在の店を構えた。
人気のシュークリームは、生地とカスタードクリームに松田乳業(大町市)の牛乳を使う。地元産の「紅玉」にカラメルをかけたパイ生地の「りんごのシブースト」、市内の中山高原で取れた菜の花の油を生地に混ぜた「菜の花シフォン」もある。夏から秋に実る果物を「どう生かそうか」と思いを巡らせる。
5月ごろからは、県内産の蜂蜜や千曲市のアンズなどを使ったかき氷の販売も予定。「異なる味や食感を組み合わせる考え方は洋菓子作りと通ずる」と楽しみながら挑戦するつもりだ。
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